これまで、目標設定については

  • 将棋で考える目標設定
  • バックオフィススタッフがいい感じの目標を設定するコツ
  • 評価時に「使える」目標設定をするためのコツ

  • で書いたことがあったのですが、そう言えば評価についてはまだ書いたことなかったな、と気づいたので書いてみることにしました。

    1.何をやったかではなく、何が起きたのかを書く


    評価時に「使える」目標設定をするためのコツで触れた「インパクトを書け」の裏返しなのですが、評価において注目すべきなのは、自分が今期何をしたかではなく、それによってどんな影響(インパクト)が会社にあったのか、です。
    具体的には、●●研修を実施しました、ではなく、●●研修を実施した結果、●●が前期比20%削減されました(増加しました)みたいに書くってことですね。
    インパクトを意識して目標設定をしていたのであればそのインパクトを実現できたかにまず着目すればよいわけですが、やってみてわかる副次的効果みたいなものもあるはずなので、そこらへんにも言及できるとなお良いと思います。
    以下詳細。

    (1)やる前とやった後の変化・差分を書く


    影響を書く場合、やった後の話だけでなく、やる前についても言及し、両者の変化や差分を明確にすると、その意義が伝わりやすくなります。
    具体的には、期首●●という状態だったところ、●●を実施した結果、●●という状態になりました。って感じですね。

    (2)定量化する


    当然ながら、影響は定量的に示すことでより伝わりやすくなります。
    回答スピードを早くしました、より、依頼から回答までにかかる平均日数を●日から●日に短縮しました、と書いたほうがインパクトがよく伝わるということです。ただ、定量化には計測が不可欠で、計測には手間やコストがかかるんですよね。評価のために計測するのは基本的には本末転倒なので、手元の情報の分析でざっくり定量化するような割り切りがたいせつだとも思います。

    (3)インパクトはないということをあえて書く


    中期的な目標に取り組んでいるタイミングでは、評価期に目立ったインパクトを出せていないということも充分に有りえます。そのようなケースでは、あえて今は仕込みの時期であり、今期は特にインパクトのある成果はないですよ、と自ら書くとともに、来年こういう状態を作るために、今期はこういう仕込みをした、という書きぶりをするのがおすすめです。
    また、一握りの超優秀な人を除けば、大抵の人は「今期大した成果を挙げられなかったな」という期にぶつかることは避けられません。そんなときには無理やり成果らしきものを書くよりも、出そうとしたインパクトと、それを出せなかった理由を書いたほうがよいことも少なくないと思います(これは社風や評価者の性格によるところも大きいと思いますが)

    (4)卑下しない


    ちゃんとインパクトを出せているのであれば、卑下する必要はありません。
    やったことの難易度が大したことがない場合でも、それによってもたらせたインパクトが大きいのであれば、堂々とそれを誇るべきです。

    2.他者からの評価を書く


    他者からの評価、例えば●●さんから「回答が早くなって助かった」とのフィードバックをもらった、みたいなものは実際にインパクトが発生していることを端的に示せるのでとても有用です。
    とはいえ、他者からの評価を聞かせてもらえる機会はそう多くないので、評価前にキーマンにインパクトの有無と内容をヒアリングしてしまうのがおすすめです。
    また、研修後のアンケートも他者からの評価のひとつなので、インパクトの説明に使えそうな質問(明日からの業務に適用できそうですか、とか、知らなかった情報を得られましたか、みたいなもの)を入れておき、それを使うもの良い手です。
    これは、ヒアリングやアンケートの結果を見て、自分で思っているほど良いインパクトが出ていないということを予め把握し、「え、それって君が言うほど良い影響出てないよね?」みたいな自他評価ギャップを避けるという意味でも役に立つので、やって損はないと思います。

    3.具体的なエピソードを添える


    これはそのまんま。
    例示でいいのでインパクトを証明できる実例を沿えてもらえると理解しやすくなります。

    4.評価してもらいたいことが伝わりやすいように書く


    評価してもらいたいこと(良いインパクトを出せたこと)を冒頭に持ってきて、厚めに書く。やったけど大きなインパクトが出なかったことは「やったけど、まぁ当然のことなんで」みたいな感じでさらっと書く。設定した目標に対する自己評価を順に列挙するのと比べると大きく印象が変わります。

    さいごに


    ここまで読んで「めんどくせー」って思った方も居るんじゃないかと思いますし、実際めんどくさいとも思います。また、「そんなアピールしてまで評価されたいとは思わない」という考え方もいらっしゃることは理解しています。
    ただ、評価に限らず、自分がやったことを認めてもらうということは結構気持ちがいいものですし、生きる活力にも直接つながってきたりもするので、ちゃんと取り組む価値はあるんじゃないかーと思っているんですよね。
    自己評価って、要は「これやったよ!褒めて!すごいと言って」ってことで、おとなになるとなかなかそういうことを正面切って言える機会はなかなかないと思うので、それを堂々と言える場として、評価を楽しんでもらえるといいんじゃないかなって思います(というのはさすがに良くいいすぎかもしれないけれども)。
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    2021年も最終日になったので振り返りをしてみようと思います。

    twitterを使って振り返り


    2021年は色々なことが起こりすぎたので、tweetから記憶を掘り起こしてみました。
    今年の夏頃、「後者の意味でのワークライフバランスを必要としている」状況ではなくなったんだけど、その結果バランスが崩れて日常が過剰にワークに傾くことになったので、外部要因でライフをある程度重視せざるを得ない状況というのは、(当事者にとっては厳しいことは間違いないし、程度問題ではあるんだけど)プラスに働く面もあると今は感じている。
    長時間働いていると、緩くなるんだよね。自分のアウトプットの品質や業務の密度に対する自分からの要求が。


    このエピソード自体はただの日常の一コマなんだけど、現状、このときやれていたような利用規約の見直しは全く行えていない。今年の前半はある程度やることを自分で選択できていたけど、後半はもう飛んできた球を打ち返すだけの(そしてしょっちゅう打ち漏らす)日々だった。
    このときからまだ1年経っていなかったのか、という驚き・・・


    春先に勤務先でコミュニティサービスの立ち上げ準備というお題をもらったので、コミュニティサービスというものを理解するために試行錯誤していた。個人としては様々な面で学びが合ったけど、同時期に動いていた勤務先の組織再編への対応を言い訳にまともな成果を何一つ残すことができずフェードアウトしてしまった。

    マニュアルベースの業務遂行は、定着するまでは単にマニュアル整備の手間が増えるだけで効果実感をしづらく、それ故に定着もしないという悪循環になりがち。2021年は、自分史上最も高品質なマニュアルベースの業務遂行ができていた(マニュアルがない業務が見つかるとは誰かがマニュアルを作って共有され、マニュアルと実務の相違が見つかると誰かが修正して共有され、業務引き継ぎがマニュアルを介して高頻度で行われる)時期があり、その効果を実感できたのは収穫だった。


    2021年、もっとも響いた指摘がこれ。この視点をもらってから、いろんな場面で同じ現象が発生していることに気づけるようになった。


    2021年は全く異なる2つのチームで行動指針策定のファシリテーションをして、なんとなくやり方をつかめてきたので、忘れないうちにどこかでまとめないとな。
    ざっくり言うと、組織のミッション・ビジョンの提示(ここだけマネージャーがやる)→課題(現状とビジョンとのギャップ)のブレスト→課題に対する共通認識の形成→課題解決につながる行動の定義という感じ

    2021年最も多くのご意見を頂いたtweetかもしれない。自分としても改めて評価基準について立ち止まって考える切っ掛けになった。
    昔は納得感やモチベーションを重視して評価基準を考えていたけど、今は被評価者の成長や人材価値の向上を重視して評価基準を考えていて、そこらへんのスタンスの違いは前述の行動指針の方向性や日々の言動にもかなり影響を与えていることを自分でも感じる。



    よかった本



    ものすごく優秀なマネージャーの考え方、スタンスはこういう感じなんだな、ということが理解できる1冊。


    経験ベースのGREAT BOSSとは真逆の、研究ベースのリーダーシップ論。
    軽妙な語り口だけどシンプル・端的に研究の要諦が示されている(っぽい)の読みやすかったし、得るものも大きかった。ただ、「まずは質問です。デデン(出題の音)」みたいな無用かつ寒い記載がしょっちゅう登場するので、そういうのが嫌いな方には合わないかも。



    何やらやばめのタイトルだけど、内容は成人発達理論(というものをこの本で初めて知った)の入門書。自分がどのステージにいて、次はどのステージへのチャレンジが必要になるのかを明確に意識できるようになる。
    この本を読んでから、マネージャーの視点・プレイヤーの視点を意識するようになった。



    心理的安全性に関する本は何冊か読んだけど、これが一番良かった。これ一冊読んでおけば他はいらないと思う。


    総括


    すでに動いているチームのマネージャーを引き継ぐのはかんたんではないのに、それを2本同時並行でやることになって、自分としても大変だったし、各所に多大なご迷惑をおかけしたというのが2021年の最大の反省の1つ。
    もう一つは新規サービスの準備というチャンスを全くものにできなかったこと。

    あと、WFHのせいでもあるし、兼務のせいでもあるけど、2021年の後半は、平日は用事がなければ23時過ぎくらいまで、土日も数時間ずつはだいたい働いてた。かといって、それに見合った成果を得られた感じはしないので、虚しさがすごかった。長時間労働はよくないってわかっているんだけど、終わってないからやらざるを得なくて、それによって労働密度が更に下がって次の長時間労働を有無という悪循環。同じ様に死ぬほど働いていた同僚から「なんか、薄まっているんですよね」といわれ、言い得て妙だなって思った。薄まるんですよ、品質も、自分自身も。

    と、あまり良い記憶がない1年だったけど、病むこともなく生き延びることができたし、どうやら峠も越えられたっぽいので、来年はもう少し人間性を取り戻したいと思います。
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    春は目標設定の時期。
    ということで、いくつかの会社でマネージャーをした経験から、法務、というかバックオフィスの人が良い目標を立てるためのコツをお伝えしようと思います。

    目標の構成要素は、ゴール・手段・インパクト


    バックオフィスの目標あるあるなのが、「何をするか」を目標にしてしまうということですが、これをやってしまうと、達成しても高評価の材料にしづらいという意味で、使い勝手の悪い目標になってしまいます。
    「何をするか」を目標にしてしまっている具体例としては、「契約書のレビューを●件以上処理する」とか、「現在進行している●●プロジェクトを完遂する」とか、「全社員向けコンプライアンス研修を実施する」といったものです。

    では、具体的にどうすればよいのかというと、目標を「ゴール」「手段」「インパクト」の3つの構成要素に分解して設定することです。
    ゴールは、何を目指すのか。
    手段は、そのために具体的に何をするのか。
    インパクトは、その結果、どのような影響が会社に生じるか。
    冒頭で記載した「何をするか」は、上記の「手段」とほぼ同じですが、大きく違うのは、「手段」はそれ自体が達成目標ではないということです。

    例えば、冒頭で具体例として挙げた「契約書のレビューを●件以上処理する」であっても、それを
    ゴール  :法務部全体の契約書レビューの対応キャパシティを増やす
    手段   :契約書のレビューを●件以上処理する
    インパクト:契約書のレビューの待ち時間が期首比較で0.5日短くなる
    といった要素の一つにするだけで、随分と印象が違えって見えるのではないかと思います。
    それと同時に、ゴールの達成やインパクトの実現のために、その手段が果たして適切なのか、という振り返りも自分自身で行うことが可能になります。

    インパクトの設定から逃げない


    多くのバックオフィス担当者にとって、ゴール、手段、インパクトのうち、最も書きづらいのは「インパクト」ではないかと思います。これは、ダイレクトに会社に影響を及ぼすようなバックオフィスの業務は少ないからなのですが、だからといって、インパクトを設定することから逃げてはなりません。
    例えば、同じ「全社員に対するコンプライアンス研修の実施」であっても、会社にどのようなインパクトをもたらすことができるのかを起点に考えられたものと、そうでないものとでは、達成したときの価値に大きな違いが生じるからです。
    なお、「強いインパクト」は、これまでの積み重ねやめぐり合わせなどが噛み合わないと、そもそも狙うことができないものだと考えたほうが安全です。その意味で、常に「強いインパクト」を狙う必要はありません。ただ、インパクトが皆無な、またはよくわからない目標を掲げることを避けるという意識は、常に持っておく必要があります。

    定量化すべきはインパクトであって、手段ではない


    目標設定の指針としてSMARTというフレームワークがよく用いられますが、このうちの「Measurable:計測可能性」は、手段に適用されがちです。例えば、「契約書レビューの処理日数を1日短縮する」といった具合に。ですが、実現すべきはインパクトであり、手段は文字通りそのための手段でしかないので、手段を定量化しても評価の観点ではさほど効果は得られません。仮に、手段としての定量目標をクリアしても、それによってもたらされたインパクトが些少であると評価者に捉えられてしまうと、高く評価する気にはなれないからです。逆に、定量化し、計測可能なインパクト要素を目標として設定している場合、それをクリアしたことはダイレクトに高い評価に繋がりやすくなります
    その意味で、定量化する必要性が高いのは手段よりもインパクトといえます。

    ゴールは、組織目標とリンクしていなければならない


    会社での仕事はチームワークなので、従業員個人の目標とは別に、それが明示的なものか暗黙のものかの差こそあれ、組織目標が存在します。組織目標を離れた個人目標は自己満足でしかないので、個人目標の達成が組織目標の達成に寄与しなければなりません。
    もし、組織目標が明確でない場合は、「企業価値の最大化」を組織目標として仮設定しましょう。なぜなら、企業活動は、企業価値を最大化するために行われているものなので、あらゆる組織目標も最終的には「企業価値の最大化」にリンクしているからです。
    バックオフィスにおいては、その活動が直接、またはわかりやすい形で企業価値の最大化につながるケースは多くありません。そのため、因果関係は長くなりがちなのは避けられません。しかし、風が吹けば桶屋が儲かる、のような細く長い因果関係ではなく、長くても骨太で、たしかに企業価値の向上につながるであろうと感じられるのがよい目標です。

    どこから目標を考えるか


    「ゴール」「手段」「インパクト」を定めるためのアプローチとしては、組織目標から導き出される「ゴール」を起点にし、そのために必要な「インパクト」を設定した上で、その「インパクト」を得るための手段を考えるという順序が最も自然です。
    ですが、やりたいこと(手段)や、実現したいこと(インパクト)が明確な場合には、「手段」や「インパクト」を起点にしても問題ありません。
    「手段」を起点にするというのは、つまり「自分はこういうことをやりたい」「こういう人になりたい」というところからゴールとインパクトを逆算する手法です。この手法をとる場合は、会社に「こういうことをやったらor自分がこういう人になったら、会社にとってこんないいことがありますよ」とプレゼンするようなスタンスでゴールやインパクトを設定することになります。
    「インパクト」を起点にするというのは、「こういう状態になったらいいな」というところから、それを実現するためにはどうすればよいか(手段)を考えつつ、組織にとって「こういう状態」を実現すべき理由(ゴール)をプレゼンするという進め方になります。


    最後に


    このエントリーは、普段目標設定面談や1on1でフィードバックしている内容をガガガーっとまとめたものなのですが、文章化することを通じて自分の思考が整理される効果を感じてます。
    こういう振り返りって、重要だよなーと、改めて感じました。
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    2019年の3月に思いつきで始めた法務互助会(立ち上げ当時はIT法務互助会)ですが、早いものでそろそろ満2年になります。

    おかげさまで、個別のお声掛けを除けば積極的な勧誘等を行っていないにもかかわらず、安定的に加入のご希望もいただいている状況です。(業務が忙しくなると承認が遅くなり、しばらくおまたせしてしまうこともあります。すみません)
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    ※初月は特異値(110人)なので除外しています

    また、所属人数が増えているというだけでなく、アクティブユーザーの数も順調に延びており、マンネリ化することもなく、日々活発に相談や知見共有、求人の募集や紹介などが行われています。
    スクリーンショット 2021-02-06 15.45.15



    先日、ファンをはぐくみ事業を成長させる 「コミュニティ」づくりの教科書という本を読んだことをきっかけに、法務互助会をコミュニティとして捉え直したところ、いくつか気づいたことがあったので、メモ代わりにエントリーに残してみようと思います。

    コミュニティにおいては、「受動的な参加者」は構成員ではない


    コミュニティづくりの教科書では、コミュニティを
    ・参加者が目的意識を持って能動的に活動に関わっており、
    ・参加者同士が対等にコミュニケーションできる
    という特徴を持った人の集まりである、と定義しています(kindle位置No.183)

    この定義に従うと、能動的に活動に関わっていない方を参加者として許容する団体は、コミュニティではない、ということになります。

    法務互助会でも定期的に前回の退会判定時から一度もポストがなかった方のアカウントを停止する処理を行っていましたが、その理由はシンプルに「投稿促進」を目的としていました。ですが、このような処理は、「ある団体が能動的に活動に関わっていない方を参加者として扱ってしまうと、その団体はコミュニティではなくなってしまうという」という意味で、より本質的な問題だったのだなぁ、と、同書を読んで気づきました。
    もちろん、後述するように能動的な関わりには「投稿」以外も含まれるので、「関わり」を正しく評価しきれていないという問題は残るものの、コミュニティの目的に照らすと「参加し続けるためには投稿しなければならない」というルールは最適だったように感じます(ちなみに、僕の記憶が正しければ、このルールは法務互助会の共同運営者である橋詰さんが発案されたものだったと思います)

    と聞くと、めんどくさいな、とか、煩わしいな、と感じる方も少なくないのではないかと思います。
    そして、お金を払ってサービスを受ける通常の取引と比べると、コミュニティに「参加」するということは、実際めんどくさくて、煩わしいことは間違いなと思うのです。(地方出身の方は、地元のコミュニティへの「参加」を思い出していただければ、その煩わしさをご理解いただけるのではないかと思います。)
    そう考えると、人が関与できるコミュニティの数は、キャパシティによる差こそあれ、一定の上限があるはずで、だとすると、今後コミュニティが増えていった場合は、「参加者」をコミュニティが奪い合いうという現象が起こるのかもしれません。

    人の集まりは、一定のコミュニティ的要素を含んでいる


    コミュニティ運営に関与して気づいたことの一つに、あらゆる組織の中心は程度の差こそあれ、コミュニティ的な色合いを持っているということがあります。
    例えば法務担当者の団体として最も大きい経営法友会は、通常の参加企業は単なるお客様でしかありませんが、その運営メンバーは(僕の勝手な想像ですが)能動的に企画等の活動に関わり、対等にコミュニケーションを交わしているのではないかと思うのです。
    また、企業の中の特定の組織やプロジェクト、そして会議体も、そのようなコミュニティの性質を持つことがあります。さらにいえば、コミュニティの性質、つまりメンバーによる組織への能動的な関わりを獲得したチームは、とても強いのではないかと思うのです。

    こういった視点を持てたのもコミュニティの運営に関わった副次的な効果だと思うので、良い経験だったな、と感じています。

    コミュニティへの関わり方の種類


    コミュニティに能動的に関わるといっても、その関わり方は多種多様であるということも実感しています。
    法務互助会での経験を基にざっくりと分類すると、以下のような感じになります。
  • オペレーター
    コミュニティの運営者。世話人。
    ポリシーを決めたり、(互助会では発生したことはないけど)揉め事が発生したら仲裁をしたり、入退会処理/ban/投稿削除処理などを行う役割。

  • コントリビューター
    コミュニティにネタ(コンテンツ)を提供してくれる方。
    知見や求人情報のような価値がわかりやすいコンテンツを載せるだけでなく、質問や、アンケートなどもコンテンツの一種なので、この役割に含む。

  • スプレッダー
    コミュニティの存在を広めてくれる方。
    広報的な広げ方だけでなく、互助会が役に立てそうな法務担当者の方に「こんなコミュニティがあるよ」と紹介してくれるのもこの役割。

  • サポーター
    上記3つの役割を支援してくれる方。
    イベントをする際にピザを取りに行ってくれたり、小さいところで言えばコントリビューターのコンテンツ投稿に対してリアクションemojiをつけたりする。

    このような役割を参加者が分担することで、コミュニティは生き続けることができると思うのです。
    もっと直接的に言えば、これらの役割のいずれも担わない方(語弊を恐れずに言えばフリーライダー)を許容しないことが、コミュニティを健全に存させるコツなのかもしれません。
    ただ同時に、参加者が「役割を担わなければ」と義務的に思うようであれば、そのコミュニティはすでに寿命が近いのだろうとも思います。
    フリーライダーを排除した結果、僅かな人しか残らないのであれば、そのコミュニティは役割を終えたものとして潔く閉じてしまったほうが良いのではないかと、今では考えています。


    最後に


    2つしか書いていないのに「最後に」もないだろうとは自分でも思いますが、とりあえず言語化できたのはこの2つというだけで、法務互助会を通じて気づいたこと、考えさせられたことは他にもたくさんあります。
    冒頭で記載したとおり、法務互助会の勢いはまだまだピークアウトしていないので、今後も積極的に関わることを通じて、コミュニティに関する知見を獲得したいと思っています。

    過去を振り返ると思いつきで新しいことを始めると、たいてい良い経験につながっているので、みなさんもなにかいいことを思いついたら色々考えずにとりあえずやっちゃうといいと思いますよ(いつもどおり無責任)

    (追記)
    大切なことを書き忘れてました。
    法務互助会に興味を持たれた方は、こちらからエントリー可能です。
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    先日マシュマロで頂いたご質問が、とても回答しがいのあるものだったので、いつものようにtweetをつなげる方式ではなく、エントリーにまとめて回答しようと思います。

    マシュマロ

    ご質問のポイントは、「最低限どのレベルまで交渉をし、修正してもらうように挑むべきか」なので、まずこの点についてご回答します。
    ある(自社に不利な)条件を受け入れるかどうかを決める基準は、「合意をしなかった場合に取ることになるもっとも良い選択肢(Best Alternative to Negotiated Agreement = BANTA)より、合意した方がよいか」です。ここまでは当たり前ですよね。
    そのため、まず上記の回答としては、「BATNA」よりも良いレベル、が答えになります。

    しかしここで考えなければならないのは視点の置き方です。目の前に提示された契約書を起点にするとBATNAよりもましなレベルを目指すことになるのですが、もしそのために労力が必要なのであれば、そもそもBATNAを選択すべきなのではないかということです。

    そしてもう一つ考慮が必要なポイントは、BATNAはタイミングや状況によってどんどん変わるということです。AWSを使うかAzureを使うかを選定しているタイミングと比べると、AWSにしようと決めて具体的な準備を開始している段階では、Azureを選択した場合のデメリットは大きくなる、といった具合にです。

    上記を踏まえると、契約交渉において契約条件をどう設定するかは(確かに重要ではあるけれど)要素の一部でしかない、と言えると思います。つまり、言いたいことは、提示された契約書の条件交渉にフォーカスするとできることはごくごく限定されるけど、契約交渉としてはやれることは他にもあるはずで、そちらは裁量が無限大に大きいですよ、ということです。


    なお、話は少しそれますが、一般的に契約交渉はゼロサムゲーム(一方が損したのと同じだけ他方が得する)であり、それが故に妥協を引き出しづらい種類の交渉類型です。
    そのため、取り合うパイ自体をでかくする(開発だけでなく保守もくっつけて契約不適合責任を設計する)とか、全然別の話にする(請負ではなく準委任(但し任意のタイミングで解約できる)にしちゃう)といった交渉をするのも法務の腕の見せ所であり、これこそが契約交渉だと思っています。
    綱引きは結局力が強いほうがかつわけで、力が弱いとわかっている場合には「力を強くする(良いBATNAを作る)」か、「綱引きではないゲームに切り替える(ゼロサム・ゲームではない交渉に洗浄をうつす」必要があるということです。

    文章にするといまいちお伝えしづらいのですが、当社に転職してくれれば口頭でここらへんを伝授しますので、募集が開始されたらぜひエントリーしてください(笑)


    そしてこのご質問にはもう一つ重要な要素が含まれています。
    そう、「締結を急ぎたい依頼部門から『法務を経由すると遅くなる』と言われる」という件ですね。
    これに対する回答としては、「依頼部門と法務」の対立構造を作らず、「依頼部門&法務と相手方」または「依頼者と部門長」の対立構造を作るのがおすすめです。
    例えば例示いただいている損害賠償責任について、「修正すべきです」と指摘すると、「急ぎたい依頼部門と、修正させたい法務」との対立が生まれてしまいます。これを「修正しないと、●●のケースで当社は●●の損害を賠償する責任を負うことになって困っちゃいますよね。この前、同じような案件で●●が●●円の損害賠償してましたし、対岸の火事とも言い切れないのが怖いんですよね。」と返してみる。みたいな感じです。
    こういう言い方をしても「修正しろってことですか?」みたいな無責任な言い方で詰めてくる依頼者は確かにいますが、その場合には「私が担当者だったらがんばると思います。万が一リスクが顕在化したらって考えると意外たくなっちゃいますからね(笑)」みたいな感じで答えるのがおすすめです。

    ここらへんは上記の交渉の話と違ってこれが正解、というものではなく、法務の担当者のキャラや法務部門・法務部長の社内におけるプレゼンスなどにも左右されるものなので、どうする、というところは環境に応じて考えていただくとして、対立ポイントをどこに置くのかのコントロールを意識しようというレベルに抽象化して使っていただければと思います。

    ---
    @kataxは、マシュマロで企業法務関連の匿名質問を受け付けています。
    無資格法務のキャリア・転職、部門運営、業務効率化などが関心領域ですが、どんなことでも構いませんのでお気軽にお送りください。
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    色々書こうと思ったことはあったんだけど、言葉にするとうまくまとまらなかったので箇条書きで振り返る。

    ソーシャルゲームやってみた
    これまで忌避してきたソーシャルゲームを1万円程度課金し、それなりに時間を使って遊んでみたところ、組織運営という意味では会社の組織と共通するところが多いなということに気づいた。
    この点はちゃんとまとめてエントリーにしたいと思った。
    あと、課金という単語が本来の語義と真逆の意味で使われているのがおもしろいですね。

    プレイヤーとしての自分とマネージャーとしての自分
    非常に優秀なメンバーに恵まれて、法務業務については、ほぼ」レビュー」と「権限移譲していない事項に関する意思決定」と「進捗確認」以外は稼働が発生しない状態になった。
    この状態で存在意義を出すためには、マネージャーとして何らかの価値を発揮する必要があるということであり、それは言い方を変えれば「自分がいる組織と、自分がいない組織の差分」が、「自分の給与」とバランスしていないとならないということでもあり、これは中々しんどい。
    ただ、これに向き合わずにプレイヤー業務に手を出したらそれは行き止まりでしか無いので、ちゃんと勉強して、マネージャーとしての価値を発揮していかなければならないということを改めて自覚した。
    あと、マネージャーの仕事は、優秀なメンバーを採用することであるという意味がよくわかった。

    リモートワークがワークする人しない人
    半強制的にリモートワークでの業務遂行が必要になり、幸いにも業務フローはほぼクラウド/アプリ/ウェブサービスに寄せていたので何かを変える必要は生じなかったのですが、自分を律するのが思いの外難しかった。
    やるべきことをやるべきタイミングでやれる人はリモートワークに向いているし、そうでない人は向いていない。これは、サボるという意味だけでなく、働きすぎという意味でも。
    とはいえ、リモートワークは今後はある程度標準的な働き方になっている以上、自分を「リモートワークに向いている人」に寄せていかなければならないんだよな〜、と思った。

    人を動かせる人
    対面ではないコミュニケーションの機会が希少になったことにともない、コミュニケーションスキルの価値が高くなりました。
    コミュニケーションスキルというと、なんとなくしゃべる上手みたいな印象を抱いてしまうのでもっとブレイクダウンすると、人を動かす力、ですね。
    これからは、リモート環境下でも人に影響を与え、人を動かせる人の価値がどんどん高くなっていくと思います。(そして、その逆もまた真だと思います。残酷な話だけれど)

    と言ったところで時間切れ。

    2020年も各方面でたくさんの方にお世話になりました。
    2021年も引き続き、よろしくお願いします。

    契約書の締結日にうっかり2020年1月って書かないように、みんな気をつけましょうね〜
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    僕がまだ駆け出しの法務担当者だった頃、きっかけは忘れてしまったけど、Business Law Journalの前身であったLexis企業法務という雑誌の創刊号を手にとったことを今でも薄っすらと覚えている。
    それまでの法務向けの雑誌がまとっていた格調の高さを軽やかに脱ぎ捨て、等身大の法務担当者の目線で構成された記事に物珍しさを感じ、上司に掛け合って定期購入を開始することになった。

    失礼な言い方になってしまうかもしれないけれど、僕に言わせると、BLJは、企業法務の雑誌ではなかった。
    BLJは、企業法務担当者の雑誌だった。

    BLJは、「読者交流会」という名の法務担当者を集めた飲み会を何度も繰り返し主催した。
    一人3000円の会費なのに、その倍くらいの予算が必要なお店で、業種や年齢の垣根を超えて法務担当者が交流する場をなぜBLJ編集部が主催しているのかが不思議で、何度か「なぜこんなことを続けているのですか?」と、不躾にも質問したことがある。
    もちろん、BLJ編集部としての(とても合理的な)狙いは確かにあったのだけれど、それは同時に、社内に人間関係が閉じがちな法務担当者にとって、間違いなく外の世界に向けて開かれた扉でもあった。

    また、BLJは、無名の法務担当者に記事執筆の機会を与えてくれる場でもあった。
    著名な企業の法務部長でも、時代の最先端を走るインハウスでもないけれど、日々悩みながら課題を解決し、知見を蓄積してきた法務担当者が、そのエッセンスを記事という形でBLJに発表し、人に読まれ、役に立ったという経験は、座席スポットライトを当て、観客をステージに引き上げるような営みだったと思う。そういった経験は、その人の一生を変えることすらある。


    つまりBLJは、企業法務の雑誌ではなく、企業法務担当者の雑誌だった。


    ある日、ライトニングトークという形態のイベントがエンジニア界隈で流行っているということを知った僕は、いつものノリでとりあえずやってみるかと企画してみたものの、当時所属していた会社は外部イベントに会議室を貸し出すようなタイプの会社ではなかったため、会場の確保がネックになっていた。
    そこで、読者交流会でのツテでBLJ編集部に「御社の会議室を貸していただけませんか?」とダメ元で依頼してみると、すぐにOKしてくれた。
    ただの読者でしかない一介の法務担当者が企画した前例のないイベントのために自社の会議室を貸し出す雑誌の編集部がどこにあるだろうか。ちなみに、BLJ編集部は会場を貸してくれるだけでなく、きっちりLTもしてくれた。さらに第3回目に至っては、読者交流会をマージして主催すら買って出てくれた。
    正直ちょっとおかしいんじゃないかとは思うけど、別に不思議ではない。だって、BLJは、企業法務担当者の雑誌だからね。


    何度か転職をし、そのたびに転職先でBLJの定期購読の決裁を取った。
    僕は企業法務担当者だったから、企業法務担当者の雑誌であるBLJを定期購読をするのはとても自然なことだった。
    定期購読が認められないときは、個人で定期購読をした。だって、僕は企業法務担当者だったから。


    ただ、僕はいつまでも企業法務担当者で居続けることはできなかった。
    ビジネスパーソンとして担当領域を広げるチャレンジをしたかったし、法務という枠を超えたチームマネージメントにも携わりたかった。


    そのうち僕は、BLJをあまり読まなくなってしまった。


    そして、先日、BLJが休刊するという報に触れた。


    最初によぎった感想は「残念」でも「しょうがない」でもなく、「申し訳ない」だった。
    一方的に世話になり、勇気づけられ、機会を提供されながら、いつの間にか定期購読すらしていなかったことに、申し訳ないと思った。
    ただの読者なのに、自分でもちょっと変だと思うけど、本当にそう思った。

    自分ひとりの購買行動で何が変わるというわけではないけど、「最終号が自宅に届いた」というtweetを見かけるたびに、なんども申し訳ないと思った。

    そんな経験はないけれど、一方的に世話になっておきながら自分の都合で不義理をしてしまった親戚の訃報に触れたときは、こんな感情を抱くんじゃないかと思う。

    もう一度だけ言うけど、BLJは、たしかに企業法務担当者の雑誌だった。

    ありがとう、Business Law Journal
    またいつか「うちにはまだ届いてないぞ」ってtweetしたいね。

    メリー・クリスマス!
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    法務系アドベントカレンダー2020二日目のエントリーです。



    はじめに


    当初はアドベントカレンダーのネタとして、何かしらのTipsネタを書こうかとも思ったのですが、せっかく普段触れない人の目に触れる可能性のある機会なのでもうちょいエモいことを書いてみようと考え直し、法務の人の大好物である「法務の存在意義」を取り上げることにしました。

    さて、今も昔も、法務の人は「法務の存在意義」みたいな話題が大好きです。
    ただ、法務であろうが営業であろうがディレクターであろうが広報であろうが、会社に雇われている以上、存在意義を最も抽象化すると「企業価値の最大化」に行き着くはずなので、法務の存在意義も、結局の所、どうやって企業価値の向上に寄与しているのかという観点を離れることはでぎせん。

    では、法務は、というか法務であるあなたは、どうやって企業価値の向上に寄与しているでしょうか。

    コストはほんとに減ってる?


    企業価値を向上させるためには、収益最大化するというわかりやすいものに加え、収益とは直接結びつかない社会貢献という形でも寄与することができます。
    また、収益については売上とコストが影響し、コストはさらに足元のコストと、潜在的な将来コストに分解することができます。(もちろん、他の分類の方法もあると思います)
    これを図式化したものがこちらです。
    image
    さて、法務としてあなたが貢献しているのは、上記のどのポイントでしょうか。

    おそらく、ほとんどの方が「将来コスト(リスク)の最小化」を挙げたのではないかと思うので、それを前提に次の質問をします。

    あなたの寄与によって、将来コストは、どのくらい下がったのでしょうか。
    その下がったコスト分と、あなたに対して会社が負担しているコストである「人件費+法定福利費+福利厚生費+交通費(これは今発生していないかもですが)などなど」との差分が、地に足のついた「あなたの存在意義」だと思うのです。


    あなたが会社にとって有益なのは、あなたに支払っているコスト以上にあなたが会社に価値を返している場合に限られます。もしそれが釣り合っていない場合には、あなたは会社や他のメンバーにとってのお荷物でしか無いわけです。そうなると、もはや法務の存在意義をクリエーション機能、ナビゲーション機能などとかっこよく論じている場合ではありません。法務以前に、あなた自身の存在意義が危機に晒されているのです。

    また、業務効率化を推進することにより、足元のコスト削減に寄与している、とおっしゃる方もいるかも知れません。しかし、その削減したコストって、本来必要なコストだったのでしょうか。
    法務として、本来不要な障壁を高々と築き上げ、それを壊したことを指して業務効率化とうそぶいていないでしょうか。
    それは、一般的には業務効率化ではなく、マッチポンプと呼ばれている行為です。

    法務は有用だからといって、あなたが有用とは限らない


    こんなこと言うと、私が法務の存在意義を否定しているように捉えられてしまうかも知れませんが、そんなつもりは全くありません。
    もしそんなことを考えていたら15年も法務を生業とすることなどできなかったでしょう。
    みなさんと同様、私も、法務は会社にとって間違いなく必要な存在であると自信を持って断言できます。ですが、それをもって、私や、あなたが会社にとって必要な存在であるとは言えないのです。
    つまり、会社にとって法務は必要だが、同時に、会社は私やあなたのような法務を必要としていないということは両立しうるのです。

    会社や上司や同僚が何を求めているか、ではなく、企業価値の向上に寄与しているか


    おそろしいことに、企業価値の向上に寄与していない法務であっても、それを指弾されることは多くはありません。なぜなら、法務の価値を法務以外の人が正確に見積もることは難しいからです。
    そのため、企業価値の向上に寄与していないことに気づかずに禄を食み続け、気づけば何十年も会社に寄生していたということも起こりうるのです。

    このような状態を避けるためには、会社や、上司や、同僚があなたに何を求めているかを一旦離れて、企業価値の向上にどの程度寄与しているかという視点で自分を見つめ直す必要があります。修正が早くて助かった、という評価は、実は不要な修正を素早く行ったことに対する賛辞かもしれないのですから。

    リーガルテック花盛りの今だからこそ、今の業務をツールを駆使して効率化するのではなく、企業価値の向上に寄与しない業務をやめることで、より本質的な業務効率化に向き合う必要性がより固まっているように思うのです。

    後半駆け足になってしまいましたが、この辺で。


    3日目はdtk1970さんです〜
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    はじめに


    法務を含むバックオフィスは、一人ひとりが粒が小さめで、かつ幅広い業務を担当していることや、リアクション系の業務の割合が多くなりやすいことから、いい感じの目標を設定できないという悩みを抱える方が少なくありません。

    そんな悩みを受け、以前法務の目標設定って、難しいよねというエントリーを書いたのですが(最近書いたと思っていたのにもう4年経ってた・・・恐ろしい・・・)、理屈としてはわかるけど、実際に目標を書く際にはあんまり役に立たないという指摘を受け、今回は個別の目標をどんな感じで表現すればよいかについて、もう少し具体的なアドバイスをお伝えしたいと思います。ほんとうにちょっとしたことなのですが、これをやるとやらないとでは、結構印象に差が出るんです。


    評価者に響かない目標


    皆さんは、今期の目標として何を設定しましたか?(多分すでに忘れていると思うので、一旦思い出してください)
    無事思い出せたら、その目標がどのような要素で構成されているのかを確認してください。
    私の経験からの推測ですが、目標として、「何をやるか」しか書いていない方が少なくないのでは無いかと思います。
    例えば、「取締役会議事録を電子化する」とか、「●●業務のマニュアルを整備する」とか、「●●社とのM&A手続きを遺漏なく完遂する」といった具合です。(もちろん、実際にはもう少し肉付けがされた記載になっているとは思いますが)

    これらの目標はそれぞれ必要なことでしょうし、目標設定でよく言われるSMARTに則っていれば、形式的にも何らまずいところは無いのですが、残念ながら評価者には今ひとつ響きません。なぜなら、あなたがその目標を達成した場合に、法務部に、ひいては会社にどんな良いことが起こるのかがまったく伝わって来ないからです。

    ポイントは目的とインパクト


    ではどうすりゃいいのよ、というところで出てくるのが今回お伝えしたいちょっとしたアドバイスなのですが、それは
  • 「何をするか」を設定した目的を書く
  • 「何をするか」が実現された際のインパクトを書く
    の2点です。

    まず、目的についてですが、これは文字通り「なんのためにそれをするのか」ですね。
    例えば、「取締役会議事録を電子化する」であれば、ちょっと考えただけでも目的としては
  • 捺印者による捺印の手間の軽減
  • 事務局の捺印回収の手間の軽減
  • 事務局が捺印を代行する実務の改善
  • 議事録完成までの時間の短縮
  • せっかくのブームに乗りたいから
    といった具合に色々と思い浮かぶのですが、あなたが取締役会議事録の電子化を目標として設定した理由は何なのかを明確にすると、まず目標の輪郭がぐっとシャープになります。
    もちろん、上記の目的は相当生煮えなので、これだけではちょっと物足りないのですが、例えば、「ブームに乗りたい」というちょっとふざけた目的も、最新のトレンドを取り入れることで「当社の法務部門はイケてるぞ」と候補者にアピールする材料にするという視点を加えることで、目先の業務だけでなく、採用も視野に入れていますよ、ということを評価者に伝えられるわけです。(それが響くかは会社によると思いますが、なにもないよりマシなのは間違いありません)


    次に、インパクトについてですが、これは「それをしたことによってどのような影響が生じるか」です。
    例えば、「●●業務のマニュアルを整備する」という目標で考えてみましょう。それによって恩恵を被るのは誰でしょうか。もしあなただけが担当する業務であれば、インパクトの範囲としては物足りないでしょうが、全社員が関与する業務であれば「お、それはすごいね」となるかもしれません。また、そのマニュアルの存在によって、どの程度業務が効率化されたり、業務品質が向上したりするでしょうか。もし、作っても誰も見ないだろうね、というマニュアルであれば、インパクトは皆無なので、目標としてそれを掲げるセンスに疑問符がついてしまうかもしれません。
    このように、インパクトを明記することで、自己満足な目標を立ててしまうことを防ぐことができるのです。

    具体的にどう書けばよいのか


    上記を踏まえて目標を書く場合、
    【目的】のために、【やること】を行う。それによって【インパクト】という効果を得る。
    といった感じになります。

    そして、【目的】を書くにあたっては、組織の目標とリンクさせましょう。組織の目標を達成するために自分が何をするか、という位置づけを明らかにするだけで、組織と有機的につながった目標設定ができるのです。(OKR的な発想ですが、OKRを採用していなくても組織目標と個人目標のリンクが有用であることに違いはありません。)

    また、【インパクト】を書くにあたっては、【やること】と【インパクト】との間の因果関係を冷静に見積もりましょう。もし【インパクト】が物足りないのであれば、【やること】を変える必要があります。間違っても、【やること】を変えずに【インパクト】をいじってはいけませんよ。そうした瞬間、それは目標ではなく、願望や夢になってしまいますからね。

    といった感じで、誰でもすぐ実践できて、かつ即効性があるので、意識していなかった方はぜひお試しください〜
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