先日の法務系LTイベント「法務&知財系ライトニングトーク2017 <リーガルテック祭>」において、シティライツ法律事務所の平林先生が
※誤字修正しています


というご発言をされたのを受け、僕も日々契約書を書いていた頃に使っていた条項集を公開しちゃおうと思いたちました。
公開先はこちらです。

公開することを想定していない資料なので、実際にはめったに使わない条項も含まれてしまっていると思いますが、お気づきの点があれば教えてください〜

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エンジニアとのミーティングでFacebookのBSD+PATENTSライセンスについての当社の対応方針を質問されたのですが、その時点ではこの騒動を全く認識しておらず、「えっ、初耳です」的な、法務としてはなんとも情けないリアクションをしてしまうことになったので、ちょっと調べてみました。

という書き出しでことの概要をまとめようと思ったのですが、マンサバにきっちりまとめられていたので概要はそちらを参照していただくとして、ここではこのライセンスとどう向き合うべきかを書いてみたいと思います。

【OSSと特許の関係】
ライセンス条件に従っているにも関わらずOSSの利用が第三者の権利侵害を構成するというという状況にしっくりこない方もいらっしゃるかもしれませんが、仮にOSSが提供している機能について当該OSSと全く無関係の第三者が特許権を保有していた場合、当該OSSの利用は特許権侵害となる可能性が高いはずです。
もし特許権者に悪意があったら、協力者の顔をして開発中のOSSに自分の特許権を持つ技術を組み込んでしまい、広く普及したところで特許権に基づく主張を始めるという戦術も理論上は取ることが可能ですらあります。(Apache License2.0ではContributorによる特許ライセンスが明記されていますが、第三者を通じて特許権侵害コードを組み込むことで容易に回避できるので、悪意のある特許権者に対してはあまり有効な対抗策にはならないと思っています。)

【BSD+PATENTSライセンスの意味】
BSDLでソースコード及びバイナリコードの利用がざっくり許諾されていますが、同時にPATENTSで特許権のライセンスが特に記載されていることからすると、BSD+PATENTSライセンスのBSDでは特許権はライセンスされていないと考えるのが自然だと思います。
逆に言えば、当該OSSに特許権を有していない場合は、BSD+PATENTSライセンスとBSDLに違いはないということでもあります。
だとすると、BSD+PATENTSライセンスを敢えて選択し、多くの変更要請を受けながらもこれを維持したFacebookは、何らかの特許権を当該OSS(の機能)に関して保有しているのだろうということが推測できます。
そして、もしFacebookが当該OSSに関して特許権を保有している場合は、そっくり同じ機能を持つ別のソフトウェアを当該OSSに依拠せずに制作すると、当該別のソフトウェアはFacebookの特許権を侵害している可能性が高い、ということになります。

【BSD+PATENTSライセンスを採用したOSSを利用するのは危険なのか】
BSD+PATENTSライセンスを採用しているOSS、例えばReact.jsを利用している場合、PATENTSの条件により、自社や自社の関連会社(subsidiaries/affiliates)や代理店(agents)がFacebookに対して特許権に基づく主張をすると自動的にReact.jsの特許権ライセンスが終了するということになります。
これを受けて「Facebookの競合他社やFacebookに特許権の主張をする可能性がある会社はReact.jsの使用を差し止めるべき」という指摘がなされているようですが、React.jsについてFacebookがどのような特許権を保有しているのかを把握していない段階でこのような対応をするのはやり過ぎではないかと思います。(使っても使わなくても開発に影響がないライブラリであるなら別ですが、React.jsはそういった種類のものではないと理解しています。)
というのも、もしReact.jsの利用を差し控えて、例えば自社で必要な機能を開発したり、他のライブラリから必要な機能を調達したとしても、それがFacebookのReact.js関連特許に抵触している場合は、結局特許権侵害になってしまうことには代わりはないからです(React.jsを使う限りはPATENTSに基づいてライセンスを受けられますが、そうでない場合はライセンスのない実施にしかならない)。
そもそも、PATENTSに基づくライセンスはFacebookに特許権の主張をするまで終了しないので、もしFacebookに対して特許権の主張ができそうな状態になったら、そのタイミングで初めてReact.jsの利用停止を検討すれば良いだけのことです。
さらに言えば、もしFacebookがReact.jsに関する特許権を一切保有していなかったとしたら、特許権ライセンスが終了しても、当然のことながらReact.jsの利用は妨げられません(そりゃそうだ)
このような前提に鑑みると、BSD+PATENTSライセンスへの強い反発は、損得勘定というより、優越的地位を振りかざして非合理的な主張を押し付けるFacebookへの抗議という側面が強く、その利用は別段危険なものではない、というのが現時点における私の感触です。

【まとめとお願い】
BSD+PATENTSライセンスの存在をしったのもつい先日のことで、リサーチもウェブ上の資料を当たっただけなので、僕自身の特許に対する知見の欠如も相まって上記の内容に重大な誤りや勘違いが含まれている可能性があります。
にも関わらずこうして記事に書いたのは、偏に「間違いがあれば早めに気づきたい」という一心によるものなので、ぜひ間違っている(ようにみえる)ところがあれば、コメントやTwitter等でご指摘頂けるとうれしいです。

ではでは
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今月のビジネス法務(2017年10月号)の特集1は「法務部の生産性向上」ということで、定期購読している雑誌をなかなか読まない僕には珍しく速攻でチェックしました。


・・・が。


ぜーんぜん、生産性向上についての記事が載ってない!!

いや、全然ではなかった。
GMOペパボの株主総会の準備をガチのスクラムでやってみた件はちゃんと生産性向上について書かれていたし、雛形運用のようなありふれたものではあるけど業務の効率化策に関する記載もあったので、正確には

GMOペパボ以外は生産性向上のヒントになる記事はなかった

だった。


いやね、どの記事もいいこと書いてあるんです。これはほんと。ただ、その多くは業務品質の向上策についてのものなんですよね。
でも、生産性ってのは「インプットに対するアウトプットの比率」なので、業務品質の向上、つまりアウトプットの質の向上についてだけ触れるだけでは生産性向上について書いたことにはならないと思うんです。
また、業務効率化は付加価値の低下を最低限に留めることが当然の前提にされているはずなので生産性の向上策であることは間違いないんですけど、程度の差こそあれ業務の効率化には既にどのチームもある程度は取り組んでいるので、それによって目に見えて生産性が向上することはあまり期待はできません。

そもそも法務は生み出す付加価値について他者の評価にさらされる機会が他の職種に比べて極端に少ないことから、仮に付加価値をあまり生み出していなくても、そのことを咎められにくい職種の一つであるといえます。
加えて、法務以外の部署にとってリーガルリスクを敢えて放置するという判断は採りづらいので、生産性が低い(投入する労働力とのバランスが崩れている)付加価値向上策であっても、それを外野から非難するのは困難であることもこの傾向に拍車をかけます。
こういった事情を背景に、(最近はだいぶましになってきているとは思いますが)未だにセレモニーに毛が生えたようなNDAに対して丹念な修正を加えたり、実務上のリスクが極めて低い事案に時間を割いてきっちり対応したりするといった、乏しい付加価値に対する労働力の投入が普通に行われているように感じています。

そんな状況下で「法務部の生産性向上」が特集されているということだったのでとても楽しみにしていたのですが・・・。
もっと正面から「生産性」の向上に向き合った他社事例を読みたかったな、と残念に思いました。


なお、繰り返しになりますが、この特集が「生産性向上」ではなく、「業務品質の向上」をテーマにしたものであれば、普通に良い特集だったとは思います。

ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法
最近、とあるできごとをきっかけに、週に1人のペースで1on1をするようになったので、そのクオリティを上げるヒントが得られればという軽い気持ちで読んでみたところ、想像以上に良かった一冊。

マネージャーの役割
マネージャーの役割が、一番粗い粒度では「チーム全体のパフォーマンスを最大化すること」であることについては多分それほど異論はないと思うんだけど、それを細かく砕いた時にどのような表現になるのかは千差万別。
ある人は「部下の給与を上げること」と表現し、また、「注力すべきこととやらないことを決めること」と表現する方もいます。
この本では、ヤフーでは、部下を成長させることをマネージャーの資格の一つとしていることを明らかにしています。
役割ではなく、資格ということはつまり、それができなければ管理職から外れなければならないということであり、実際にこの資格を欠いていることを理由に管理職の任を解かれた人もいるとのこと。

大企業だからできること?
社員の成長への取り組みについては、「ヤフーのような大きな企業、バッファのある企業だからそのなことが言える」といういう方は、特にベンチャー界隈では少なくないと思います。
ただ、本書によると、ヤフーにおいても社員の成長のために1on1を義務付ける、という施策の導入に対しては「1on1に割く時間の余裕はない」「意味があるのか?」といった反発があったそうです。
つまり、社員の成長への取り組みは、企業が充分に成長・成熟したら支障なく現場に受け入れられるようなものではなく、どこまでいっても人事と、そして何より経営陣の覚悟とポリシーに依るところが大きいということなのだと思います。
ちなみに、本書に収録されているQ&Aにおいて、「1on1に時間を取られて自分の仕事が終わらない」という悩みに対し、「上司の仕事は部下が活躍する舞台を整えることであり、1on1はそのための強力な手段。つまり1on1こそがあなたの仕事」との回答がなされています。
いやはや冷徹。

成長を待てない?
また、ベンチャーでよく言われることに、「成長には時間がかかる、待っていられない」という話もあります。
しかし、この点は本書では別段触れられていませんが、人が本当に成長するときは、何かをきっかけにして爆発的に伸びるものであり、そもそも成長は待つようなものではないと僕は思います。
マネージャーに必要なのは待つことではなく、成長の爆発を起こすために起爆装置を起動し続けることで、それこそがマネージャーの役割だと思うのです。
その意味で、座して待った結果部下がなかなか成長しないことは、誰より上司が恥ずべきことであり、「成長を待っていられない」なんてことは口が裂けても言えないのでは、とも思っています。

まとめ
本書の中で繰り返し言及されているヤフー人事の基本方針「才能と情熱を解き放つ」に対する、所詮パフォーマンスでしょ、売上の方が大切でしょ、という仮想の反論を前に、「だからこそ人事が理想を語らなければならない。人事が理想を語らなければ、いったい誰が語るのか」と言い切れるところにヤフーの強さの源泉を垣間見た気がしました。

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少し前までMac版とwindows版とでMS-Officeの仕様というか、出来に結構な違いがあり、それだけをもって法務の業務用端末をMacに切り替えることは現実的ではないと考えていたのですが、現行版のOfficeはちゃんと使いものになるっぽいので人柱として業務用端末をWinからMacに切り替えてみました。
で、1ヶ月ほど経ったので、感想をメモ。

【切り替えの内容】
Surface Pro 3→MacBook Early 2016

【3行まとめ】
  1. Macに慣れるまで辛い

  2. 環境構築がたいへん

  3. Macに慣れて環境構築が終わったら結構快適


1.macに慣れるまで辛い
自宅用としてMacBookを使っていたので特に問題ないと思っていたのですが、やはり業務用端末として使うとなると勝手が違いました。
地味に辛いのがウィンドウ切り替えで、windowsはAlt+Tabでウィンドウ単位で切り替えられるのですが、Macだと標準ではウィンドウの切り替えショートカットが用意されていません(アプリケーションの切り替えショートカットはあります)。で、Wordに至っては、わざわざ設定したウィンドウ切り替えのショートカットを無視するんです。一番ウィンドウを切り替える頻度が高いアプリケーションなのに。ひどい。
あとはcmdとoptionとctrlの各装飾キーの位置付けがよくわからないとか。特にoption。
cmdだって、ショートカットの装飾キーとして使うには場所が厳しくない?
と言った具合に、日常使いでは気にならなかった細かい点が少しづつストレスになるのですが、ほとんどの問題は設定をいじったりユーティリティアプリを導入することで解決できることに加え、残った問題も慣れればさほど気にならなくなります。

2.環境構築がたいへん
win→macの切り替えで一番苦労したのがやはり環境構築でした。
上記の1で「設定をいじったり」とか「ユーティリティアプリを導入する」とかるーく書いてしまっていますが、実のところ正解というか定石を知らないことから、壁に当たる都度解決法をググったり候補のアプリを導入してニーズに合っているかを検証しなければならず、手間がかかることこの上ないわけです。
なお、僕の場合、ファイルサーバに保存されている大量の日本語ファイル名のファイルを検索する機会がとても多いのですが、その用途に適したランチャーには未だに巡り会えていません・・・(今のところQuickSilverを使っていますが、日本語での検索の使い勝手が最悪です。)
なお、株式実務の世界ではまだIE必須のウェブシステムが残っているらしく、IEが提供されなくなったMacへの以降は現実的ではないとのこと。このご時世にIE必須って、まじかよ・・・

3.Macに慣れて環境構築が終わったら結構快適
といった辛い日々をなんとかくぐり抜けると、ようやく快適な日々が訪れます。
例えば、
  • スリープが普通に使える
    もしかしたら僕がハズレを引いているだけかもしれませんが、これまでのwin機はスリープ中もそこそこバッテリーを消費し、スリープからの復帰も遅く、surfaceに至っては稀にスリープから復帰しない(永遠の眠りと呼んでいた)こともあってスリープさせないよう半開き状態で持ち運ぶのが常でしたが、MacBookに変わってからは気軽にパカパカ閉じたり開けたりできるようになりました。

  • OSレベルでカーソル移動のショートカットがある
    win機ではwordやエディタなど限られたアプリ以外ではカーソルキーかマウスを使わなければカーソルを移動させることが出来ませんでしたが、Macでは基本的にどのアプリでもCtrl+fbpnhdが効くというのが意外に便利。特にGmailが便利になりました。

  • 軽い
    本体の軽さもさることながら、Surfaceみたいなごつい充電アダプタを持ち歩く必要がないのも便利。
といった点で快適さを実感できました。


といったところで、一旦アップします(今後気づいたことがあれば随時追記します。)
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久しぶりに書くのがこんなことというのもあれですが、でもまぁ、書いたので。




営業「なんで私が怒ってるかわかる?」
僕「え、わからない…」
営業「無茶な目標押し付けられたから来期の種まきもそこそこに必死になって達成したのに『やればできるじゃないか』の一言で片付けられて、前期比120%の目標が降りて来たからだよ!」

情シス「なんで私が怒ってるかわかる?」
僕「え、わからない…」
情シス「何もしてないのに突然動作がおかしくなった、みたいな見え透いた嘘をつくからだよ!」

経理「なんで私が怒ってるかわかる?」
僕「え、わからない…」
経理「何万回説明しても支払日基準で計上してくるからだよ。しかも今回は期をまたいでんじゃねえか!」

監査法人「なんで私が怒ってるかわかる?」
僕「え、わからない…」
監査法人「さっき送って来たファイルのファイル名に【監査法人に見せるver】って書いてあったからだよ。なめてんのか!」

経営企画「なんで私が怒ってるかわかる?」
僕「え、わからない…」
経営企画「さっき予算外の決裁申請して来ただろうが。まだ期初だぞゴルァ!」

法務「なんで私が怒ってるかわかる?」
僕「え、わからない…」
法務「先週『場合によってはいける余地もあるかもね』って答えただけなのに、法務もオッケーしてますって社長に言ったらしいな。貴様大脳ついてんのか!」

知財「なんで私が怒ってるかわかる?」
僕「え、わからない…」
知財「出願準備がようやく整ったってタイミングでエンジニアブログに発明の内容思いっきり書いてたよね。書 い て た よ ね !」

都知事「なんで私が怒ってるかわかる?」
都民「怒ってんのはこっちだよ!!!」

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法務系Advent Calendar1日目のエントリーです。

先日、大規模な法務部を擁する会社に遊びに行った際、
ある程度辞退されることを見越して多めに修習生を採用したら全員入社まで至って嬉しい悲鳴
とのお話をお伺いし、
  • そもそも修習生をターゲットにした採用活動をしているという事実
  • まとまった人数が修習修了後ダイレクトに(法律事務所を経ずに)会社員になっているという事実
に驚かされ、いよいよ無資格法務部員にとっては苦難の時代が到来しつつあるんだな、ということを実感したわけですが、そんなこともあり、今年は「無資格法務部員のキャリアパス」について好き勝手なことを書いてみようと思います。
なお、根拠は主観や想像ですので、誤解や誤認は笑ってご容赦頂くとともに、コメント欄でご指摘頂けると幸いです。


【前提】


  • ここでは「無資格」を、日米いずれの弁護士資格も保有していない人という意味で使います。
  • 企業内弁護士の人数は、今後も現在と同等またはそれ以上のスピードで増えていくと想定しています。
  • IT系企業に所属した経験しかないので、それ意外の業種には当てはまらないかもしれません



【全体像】


実際のところ、有資格者であるか無資格者であるかを問わず、会社員というくくりで見ればキャリアパスの選択肢自体に大きな違いはありません。すなわち、マネージメント層を目指すか、スペシャリストとしてスキルを掘り下げるか、法務で培った知見をベースにジョブチェンジするか、の3択です。
今回は、法務の観点からこの3択を「法務マネージャーコース」「ガチマネージメントコース」「契約法務コース」「知財法務コース」「コーポレート法務コース」「内部統制・監査補助者コース」「投資コース」「人事コース」の8つのコースに細分化して考えてみたいと思います。
careerpath


【マネージメントルート:法務マネージャーコース】


  • 特徴


    いわゆる法務部門の責任者を目指すコースです。
    法務部門の責任者といっても、役員クラスから部門内のリーダークラスまでそのレベル感は様々です。
    積極的にマネージャーになりたいと考えている法務担当者だけでなく、将来について特に何も考えていない法務担当者も、基本的には成り行きでこのコースを進む(ものと周囲から見られる)ことになります。それでいて、実際にマネージャーになれるのは小さい組織でも数人に一人、大きい組織だと数十人に一人という狭き門なので、超絶レッドオーシャンの選択肢といえます。例えば、同年代に自分より上の覚えがめでたく、自分より優秀な同僚がいる場合、その同僚が辞めない限りマネージャーのお鉢が回ってくる見込みはありません。また、周りを見渡して自分にマネージャーになる見込みがなかったら、転職することでマネージャーの地位を手に入れたらいいんじゃないかと考えるアグレッシブな方もいらっしゃるかもしれませんが、実のところそれはそれで容易ではありません。なぜなら、マネージャーとして採用されるのは、原則としてマネージャーだけだからです。逆に言えば、似非でも飾りでもなんでも良いので、マネージャーっぽい肩書を手に入れることさえできれば、転職を通じて本当のマネージャーに華麗に転身することは不可能ではありません。

  • このコースのおすすめポイント


    マネージャーへの昇格の基準として、有資格者か否かはさほど重要視されないことが多いので、昇格の場面では無資格であることが不利に働くことについてさほど心配はいりません。
    また、ある程度年齢を重ねると、無資格法務はマネージメント経験がないと転職することが厳しくなるため、会社が傾いたときに離脱しやすくなるということも利点と言えるでしょう。

  • このコースの厳しい点


    所詮は部門責任者なので、待遇の上限や裁量の幅は限定的です。
    外資系等一部の企業においては、弁護士であることがマネージャーの要件になっており、そもそも無資格者に門戸が開かれていないことがあります。
    また、最近は将来有望なベンチャー企業には早い段階で弁護士が法務責任者として参画していることが少なくないため、「ベンチャー企業に法務として入って上場まで支援する。」という役割は無資格法務の手に渡りづらくなっています。



【マネージメントルート:ガチマネージメントコース】


  • 特徴


    管理本部長や子会社社長などの、法務の枠を超えたより広い領域をカバーするマネージャーを目指すコースです。
    もちろん、最終的には本社社長ということもありうるのでしょうが、起業したようなケースを除けば極めてレア(僕は2人しか実例を知らない)です。
    ここを目指すのであれば、法務の枠にとらわれず、意識的に経営・財務・経理・税務の知識を蓄え、経験を積むとともに、早い段階から「このポジションを目指している」ことを上司に宣言しておくことをお勧めします。とはいえ、望んでなれるものではなく、周囲が認める実力や人望と共に、卓越した運も必要になることでしょう。

  • このコースのおすすめポイント


    経営層の一員になるわけですから、他のコースと比べると待遇は良くなります。
    対外的なステータスとしても抜群で、外受けもバッチリでしょう。

  • このコースの厳しい点


    前述のように法務責任者も狭き門でしたが、このコースでは他部門のマネージャーとの競争にも勝つ必要があるため、それより更に難易度は上がります。しかも、管理部門のトップは、財務・経理系や経営企画・経営管理系の部門から迎えられることが多く、法務責任者にその役割は期待されていないこともさらに難易度の上昇に拍車をかけることでしょう(それ故に、早い段階でここを目指すことを公言すべきなのです。)。
    また、ここまで偉くなってしまうと転職は責任の放棄を意味することになりますので、自分の意思だけで転職することは難しくなります。とはいえ、そもそも自分の意思で転職しようと思っちゃうような人はここまで上り詰めることはできないのでしょうけれども。


【スペシャリストルート:契約法務コース】


  • 特徴


    契約法務を専門領域にするプレイヤーです。
    ほとんどの法務部員は一定レベル以上の契約法務のスキルを有していることに加え、外部の弁護士との競争が最も激しいコースであることから、将来的に淘汰される可能性が低くない、かなりリスキーな選択肢なのですが、マネージャーになりたくない無資格法務担当者はなぜかこの道を進みがちです。いったい何を考えているんでしょうか
    スペシャリストである以上、英文契約を適切に処理できるスキルは必須であり、また、業法を含む幅広い法律知識の習得が必要になります。
    このコースを選ぶ人は変わり者であることが多く、実際周囲からも変人扱いされがちです。年下のマネージャーから「この人ほんと使いづらいわ・・・」って思われないようにしましょうね。

  • このコースのおすすめポイント


    マネージメント業務から開放されるので、比較的ストレスは少ないはずです。
    突き詰めることが好きな人は、日々の業務が楽しくなるんじゃないかと思います。

  • このコースの厳しい点


    ある年齢を超えてから転職することになった場合、給与が大幅に減ることを覚悟する必要があります。というか、そもそも転職自体が非常に厳しくなります。
    また、スペシャリスト向けの給与テーブルを用意していない会社では、給与の上昇余地は限定的であり、そもそもスペシャリストというより「出世できなかった人」としか見てもらえない可能性があります。
    他のコース以上に幅広い知識を日々インプット&アップデートし続ける必要性が高いので、年齢を重ねて記憶力が衰えたり無理が効かなくなると、比例してパフォーマンスも落ちてしまう可能性がマネージメント系のコースより高いです。


【スペシャリストルート:知財法務コース】


  • 特徴


    産業財産権周りの対応を専門領域にするプレイヤーです。会社によっては、著作権(というか自社著作物のライセンス)も知財部隊が担当していることもありますが、主戦場がそこではないということには違いはありません。また、商標は商標でいろいろあるのでしょうが、商標一本で存在感を出すことは難しいので、やはり知財法務の花形は特許といえるでしょう。
    知財法務においてはインハウスの弁護士の存在感はさほど高くなく、専門資格である弁理士はそもそも保有者が劇的に増加しているような状況でもないので、他のコースと比較すると無資格であることが不利に働く場面は多くはないはずです。他方、特許に関してはエンジニアからの転身組との競争が発生するという点には注意が必要です。(特許の世界ではむしろエンジニア出身の方が本流であることが多い印象です。)
    なお、弁理士試験は法律系資格試験であるという意味でエンジニアより有利なはずなので、このコースを進むのであれば弁理士試験の合格を目指すのも良いでしょう。

  • このコースのおすすめポイント


    スキルのポータビリティが非常に高いため、知財法務の実務経験があることは転職時に有利に働くことが多いです。
    もし弁理士試験に合格することができれば、更に安定感が増すことでしょう。

  • このコースの厳しい点


    特許は登録までかなりの費用が必要になることもあり、知財のスペシャリストを置けるのは一定以上の規模の会社に限られてしまうため、そもそも中小規模の会社に所属していると知財法務スペシャリストを目指すことすらできない事があります。


【スペシャリストルート:コーポレート法務コース】


  • 特徴


    株主総会や取締役会などの事務局業務を専門領域にするプレイヤーです。
    会社法や金商法を始めとした法令以外にも社内規程や慣習などのローカルルールに精通する必要があります。
    ルーチンワークを確実にこなす能力が求められる一方で、ルーチンワークを確実に回すことだけに集中してしまうと、いわゆる「タコツボ化」に陥りやすい点には注意が必要です。あなたの会社にもいませんか?タコツボってるコーポレート法務担当者が。
    開示やインサイダー規制の方面にまで領域を広げることができると、存在感が更に高まることでしょう。

  • このコースのおすすめポイント


    法務マネージャーは株主総会・取締役会の事務局に入ることになるので、法務マネージャーに転身した際にコーポレート法務の経験は必ず役に立つことでしょう。
    経営層との距離が非常に近く、また取締役会の中に入れることもあり、一般社員が触れることができない情報に接する機会を多く得られます。

  • このコースの厳しい点


    法務マネージャーのサポートという位置づけになりがちであり、そうなってしまった場合は物足りなさを感じる方もいるかもしれません。
    どんなに文献等にあたってしっかり作成したコメントも、経営陣の「一応○○先生(お気に入りの弁護士)のコメントも聞いといて」の一言で粉砕されることがあります。(ただ、これはインハウスの弁護士に対しても程度の差こそあれ発生します。)


【別職種ルート:内部統制・監査役(委員)補助者コース】


  • 特徴


    内部監査系職種への転身コースです。
    内部監査において適法性のチェックは避けられないので、法務の経験を十二分に活かすことができることでしょう。
    受け身の監査(問題点の指摘)にとどまらず、監査を通じて各部の業務改善をサポートするという視点で業務にあたるようになると仕事の楽しさがぐっと高まるそうです。

  • このコースのおすすめポイント


    閑職と捉えられている会社もありますが、実は会社全体の情報を俯瞰できる立場から大きな裁量を与えられて業務を遂行できるという意味ではおもしろみのある仕事です。
    特に監査役(委員)補助者については経営側の意思で異動させることが難しいことから、落ち着いて業務にあたりたい人にとっては天国なのかもしれません。
    積極的にこのコースを希望する人はさほど多くないので、競争に晒される心配は少ないでしょう。
    基本的に全社の情報に隈なくアクセスできます。が、やり方を間違えると現場から激しく疎まれるのでご注意を。

  • このコースの厳しい点


    管理系部門の出世コースに組み込まれているような会社は別として、出世・昇進からは遠ざかることになることは覚悟したほうが良いかもしれません。
    監査においては会計・経理の知識が不可欠なので、新たな知識を大量にインプットする必要があります。


【別職種ルート:投資コース】


  • 特徴


    投資部門や投資子会社(CVC)への転身コースです。
    法務としてもM&Aや出資等のケースで事業譲渡契約や株式譲渡契約、合併契約などをチェックする機会はあると思いますが、このコースが想定しているのはむしろ法務にこういった契約のチェックを依頼する側の「投資先を見つけ、投資を実行し、投資後のフォローを行う」職種を想定しています。
    投資担当者をおける会社は非常に限定されており、そもそも所属先が投資担当者をおかない場合には自分の意向だけでこのコースに進むことはできません。また、投資業務は属人性が強いことが多く、ジョブローテーション等による人の入れ替えに消極的なため、投資事業を開始する際にメンバーに入れないと、後から参画することは簡単ではありません。投資事業の本流は現業部門であったり、間接部門でも経営企画・経営管理や財務系であることもこの傾向に拍車をかけます。

  • このコースのおすすめポイント


    投資実行の際にかならず考慮が必要になるリーガルリスクのチェックの際に法務の経験を活かすことが可能です。
    契約法務の経験を通じて「事業のつまづきポイント」に対する感度が鍛えられている方は、そのスキルが大いに役に立つはずです。
    コーポレート法務の経験を通じて様々なコーポレートアクションに関する書面総会・書面役会・登記を処理できる方はいちいち待たせる法務に頼む必要がなくなることから部内で重宝されることでしょう。

  • このコースの厳しい点


    投資先の企業価値を測定する上では経営・財務・会計の知識が不可欠なので、新たな知識を大量にインプットする必要があります。
    業務の性質上、すぐに成果が出るものではなく、また失敗に終わることも多いので、必死に頑張っても良い評価を得られない可能性があります。


【別職種ルート:人事コース】


  • 特徴


    法務のみならず、人事(基本的には総務も)を兼務するコースです。
    管理部門が小規模な会社では、専任の法務を置くことができないため、法務をやりたければこのコースに乗らざるを得ないというケースはよく有ります。
    有資格者はこのような兼務を避ける傾向にあるため競争は厳しくありませんが、会社の成長に合わせて法務を強化することになった場合に外から専任の法務担当者を調達され、総務・人事側に寄せられてしまうことのないようには注意しましょう。

  • このコースのおすすめポイント


    純粋な法務は労働法の知識に乏しいことが少なくないので、労務業務を通じて得られた労働法周りの知識や実務経験は大きな武器になりえます。
    経理側にマネージメント能力に優れた人がいない場合、レアルートのガチマネージメントコースに進める可能性があります。

  • このコースの厳しい点


    人事業務は給与計算、年末調整、採用なども担当すると業務負荷が非常に高くなるので、業務全体に占める法務の割合が低下しがちです。また、法務専任ではないことから、経費を使った書籍の購入やセミナーの受講などがすんなり認められないケースもありえます(必要なの?と聞かれてしまう。)。
    「法務部」という肩書が無い場合、法務専任で転職する際に経歴が不利に作用してしまう場合があります。
    「法務と、あとは人事や総務の仕事も一部やってもらいたいと思ってます。」と聞いていたのに、実際は法務の業務割合は20%くらいというケースはすくなくありません。こんなときは、ぶつくさ言わずに法務としての法務業務を開拓し、仕事を獲得していくしかありません。


といったところで、明日は柴田先生です〜。
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前回の法務系LTからほぼ2年ぶりに、 @overbody_bizlaw先生主催で第4回目となる法務系ライトニングトークが昨日開催されました。

ATND(セットリストも)はこちら
まとめはこちら

前回、@takujihashizumeさんと共催したときは、参加人数の面でもLTerの面でも手作りで運営するのはもう限界という共通認識を抱いたのですが、今回、 @overbody_bizlaw先生は阿佐ヶ谷ロフトAという(こう言っては語弊があるかもしれませんが)ヘンテコなイベントの開催に慣れているライブハウスを利用することでこの限界を軽々と乗り越えられており、まずはその発想力と実行力に脱帽でした。

また、LTerのみなさまも、ほぼ時間内または時間ピッタリにLTを収められていて、普段から人前で話すことの多い職種であるということを差し引いてもこれはすごいと関心しきりでした。



さて、私といえば、昨今話題に登ることの多いAIと法律問題について、IT系にも縁遠い方もおもしろさを感じて頂けそうな著作権の帰属という側面からすこしお話させていただきました。
特段の規制がかからなければ今後間違いなく登場するであろう自律的に高品質な創作物を制作し続けるAIにより、現在の著作権秩序は一定の変容を余儀なくされるはず、という問題意識を共有できていれば嬉しいです。
スライドだけだと意味不明のような気もしますが、一応アップもしておきました。


最後に、主催の @overbody_bizlaw先生、前半司会のhttps://twitter.com/NH7023さん、後半司会の@kyoshimine先生、プロフェッショナルな支援をご提供頂いた阿佐ヶ谷ロフトAさん、その他の本イベントの準備・運営に携わられた皆様、本当にお疲れ様でした&ありがとうございました。
とても楽しかったです!
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というわけで、先日、@takujihashizumeさんと共催で特許知財系ライトニングトークを開催しました。
僕自身はエンジニアでも特許の人でもなく、ただ単にマネージャーとして見てるだけなのでこれといって語れる材料を持ちあわせてはいないのですが、そこはLT、こんな感じでちゃちゃっとやっつけてみました。



不覚にも当社の鉄板ネタを使ってまで取りに行ったウケが、すべりとややウケの中間程度の笑いにとどまってしまったことで、ほんとトラウマになるかと思いました。いや、まぁ、嘘ですけど。
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法務のような、「自ら作り出す仕事」ではなく「請け負う仕事」が業務の多くを占める部門では、期初にしっかり目標設定をしても、自分の意思とは無関係に発生する突発案件に振り回されてしまい、終わってみれば「今期も色々あったからねぇ」で目標から離れた評価をするはめになりがちですが、目標が蔑ろにされる状態が当たり前になってしまうと、今度は中長期的な視点から取り組む仕組みづくりや業務改善に積極的に取り組む機運が低くなってしまうという弊害が生じます。

今まではしょうがないと思って目をつぶってきたのですが、メンバーの目標設定を支援する立場になった以上はそんな腑抜けたことを言っているわけにもいかず、しばらく考えた上でこんな感じでメンバーにアナウンスすることにしました。

評価の対象と評価基準は、以下の通り
1.既に出来上がっている仕組みを回すこと(日々の業務)
  例:リーガルチェック対応、会議体運営、定例の研修など
  →正確性、安定性、処理スピード、処理件数新たなチャレンジかで評価
   →但し、最高評価でもこれだけでは「中の上」止まり
2.仕組みを作る・改善すること
  例:契約書管理の電子化、リスク管理システムの立ち上げなど
  →影響範囲(全社、部内、自分)、業務へのインパクト、主体性で評価
   →この点が最低評価だったとしても中の下までしか落とさない
3.突発案件対応
  例:M&A対応、新規の訴訟対応など
  →正確性、主体性、新たなチャレンジかで評価

評価基準のイメージはこんな感じです。

hyouka



この3つの軸をベースに目標を設定してもらうことで、各メンバーの志向に沿った目標を設定しやくなると同時に、評価の際の納得度も高められるんじゃないかなと期待してます。

んじゃ、また。
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