給与に対する不満は、抽象化すると大抵「このくらい欲しいのにこれしかもらえない」に収斂するわけですが、これって「あー、500億欲しいな〜」と寝転んで鼻ホジしながら言うのとほとんど同じことであって、その先には何もないよなと思ったので、よくある給与決定プロセスから逆算して給与を上げる働きかけをするとしたらどんな感じになるのかな、と思って考えてみることにしました。
こんな感じで書いたものなので、実際に自分で試したわけではありませんし、そもそも給与決定プロセスも5社分しか関与したことがないので的外れかもしれません。そんなわけである程度割り引いて読んでくださいね。あと、真に受けて怒ったりしないでくださいね
大切なのは、「決定プロセスから逆算する」という視点です。
もし、あなたの会社における昇給の基本方針が、一部の例外を除いて昇給見送り、みたいなものだった場合(儲かっている会社や大企業にいる人には信じられないかもしれませんが、元気のない中小企業では普通にあることです)、この会社にいながら直近での大幅な昇給を目指すのは、流れ星に願うこととそんなに変わりはありません。
つまり、昇給という面に限っていえば、がんばるだけ無駄、ということになります。
そして、もう少し解像度を上げると、評価は自己評価→部門長による評価(一次評価・二次評価)→最終評価というステップを踏んで決まるわけですが、これらの評価は、完全に独立してなされるわけではなく、前の評価を参照しつつ行われることが一般的です(この点も所属先によって違うはずなので実務を確認することをお勧めします)
前の評価が参照されるというとこは、アンカリング効果が効くということでもありますので、高い最終評価を獲得するための第一歩は、高く自己評価をつけることであるといえます。
たまに自分の真意よりも控えめな自己評価をつけておいて、「いやいや⚫︎⚫︎さんはこんなもんじゃないでしょ」と部門長評価で上方修正してもらうのを好む人もいますが、これは悪手です。昇給という面に限っていえば、下方修正されないギリギリラインを狙って高い自己評価をつけて評価社にプレッシャーをかけるのがお勧めです。大切なことなのでもう一度繰り返しますが、これは、こと昇給の獲得に限っていえば、という話ですからね。
そのため、昇給獲得のためにあなたがすべきなのはグレードを上げることとほぼイコールです。
そして、グレードを上げるためにすべきことは
なお、期末ではダメです。評価者の意思決定に介入することができないので。
ちなみに、これをしたからグレードがすぐ上がるとは思わないようにしましょう。物事には順序やバランスというものがあり、昇格はあなた個人の働きだけを見て決められるものではないからです。ですが、毎期プレッシャーをかけ続ければ、評価者はきっと動きます。誰だって嘘つきにはなりたくはないですからね。
最終評価者は経営者であり、PLの仕上がりについて責任を負っている人たちなので、そういう方が「こいつは昇給相当」と考えるのは、結局のところ「給与の金額よりアウトプットしている価値の方が高い」「こいつを昇進させた方が自分の仕事がやりやすくなる」みたいな実利に依るものか、または単なるお気に入りかのどちらかです。
お気に入りになれれば色々捗るのでそれはそれで目指すのもいいですが、やはり不確実性はとても高いので、正攻法である経営者に実利をもたらすことに注力するのがお勧めです。
実利というのはつまり、インパクトです。「全社でコンプライアンス研修を実施し、満足度は95%」でしたとか言ってる場合ではないのです。「コンプライアンス研修の結果、このリスクの発生数が昨年比⚫︎%になって重点リスクから外せました」が必要な成果だということです。あー大変。
他方で、「自分は⚫︎円欲しいのに、会社は⚫︎円しかくれない」と嘆くのは、お菓子売り場でチョコレートをねだる子供と本質は変わらないので、そういうステージから一歩外に踏み出すのもありなんじゃないかな、とも(自分のことは棚上げして)思ったりしました。
こんな感じで書いたものなので、実際に自分で試したわけではありませんし、そもそも給与決定プロセスも5社分しか関与したことがないので的外れかもしれません。そんなわけである程度割り引いて読んでくださいね。あと、真に受けて怒ったりしないでくださいね
よくある給与決定プロセスの想定
- 会社から各部門に昇給予算が渡される(ターゲット料率の場合もある)
- 自己評価に対して部門長評価を出す
- 部門長評価を昇給テーブルに当てはめて理論値昇給額を算出する
- 昇給予算に応じた部門内の調整をして部門長素案を決める
- 評価会議において部門長素案が揉まれて(部署間調整もなされつつ)最終評価と昇給額が決まる
大切なのは、「決定プロセスから逆算する」という視点です。
ステップ1(予算からの逆算)
昇給予算やターゲット料率は、会社によって設定や天井の堅さが大きく変わります。傾向としては、儲かっている会社や成長期の会社は緩く、儲かっていない会社や安定期の会社は渋くなっているはず。もし、あなたの会社における昇給の基本方針が、一部の例外を除いて昇給見送り、みたいなものだった場合(儲かっている会社や大企業にいる人には信じられないかもしれませんが、元気のない中小企業では普通にあることです)、この会社にいながら直近での大幅な昇給を目指すのは、流れ星に願うこととそんなに変わりはありません。
つまり、昇給という面に限っていえば、がんばるだけ無駄、ということになります。
ステップ2(一次評価からの逆算)
多くの会社では恣意的な運用やどんぶり勘定を防ぐ仕掛けとして評価と給与テーブルが紐づけられていますそのため、大幅な昇給のためには高い評価を獲得することが前提となります。そして、もう少し解像度を上げると、評価は自己評価→部門長による評価(一次評価・二次評価)→最終評価というステップを踏んで決まるわけですが、これらの評価は、完全に独立してなされるわけではなく、前の評価を参照しつつ行われることが一般的です(この点も所属先によって違うはずなので実務を確認することをお勧めします)
前の評価が参照されるというとこは、アンカリング効果が効くということでもありますので、高い最終評価を獲得するための第一歩は、高く自己評価をつけることであるといえます。
たまに自分の真意よりも控えめな自己評価をつけておいて、「いやいや⚫︎⚫︎さんはこんなもんじゃないでしょ」と部門長評価で上方修正してもらうのを好む人もいますが、これは悪手です。昇給という面に限っていえば、下方修正されないギリギリラインを狙って高い自己評価をつけて評価社にプレッシャーをかけるのがお勧めです。大切なことなのでもう一度繰り返しますが、これは、こと昇給の獲得に限っていえば、という話ですからね。
ステップ3(給与テーブルからの逆算)
給与テーブルを見ると、昇給のためには、結局のところグレード(階層)を上げなければ非連続的な昇給はないということは理解できると思います。そのため、昇給獲得のためにあなたがすべきなのはグレードを上げることとほぼイコールです。
そして、グレードを上げるためにすべきことは
- 期首にグレードを上げることを希望している旨を評価者に明示的に宣言する
- 期首にグレードを上げるために自分が獲得しなければならない能力や改善しなければならない点を具体的に評価者と握って、それを明確に達成する
なお、期末ではダメです。評価者の意思決定に介入することができないので。
ちなみに、これをしたからグレードがすぐ上がるとは思わないようにしましょう。物事には順序やバランスというものがあり、昇格はあなた個人の働きだけを見て決められるものではないからです。ですが、毎期プレッシャーをかけ続ければ、評価者はきっと動きます。誰だって嘘つきにはなりたくはないですからね。
ステップ4(部内調整からの逆算)
予算やターゲット昇給率は大抵は各部門に割り振られるものなので、自部門に自分より高く評価すべき人がいる場合は、あなたのお鉢に回ってくる昇給枠も少なくなります。なので、今期が自分の番なのかはよく周りを観察して確認することをお勧めします。「今期は君じゃない」というときに昇給!昇給!と騒いでも、ただうるさいだけの人になってしまいます。潮目に合わせてメリハリをつけるからこそ騒いだときのインパクトは大きくなるのです。ステップ5(最終評価からの逆算)
最終評価は、基本的には昇給が高すぎないかを検証する場です。なので、最終評価者が誰かを把握して、その人に「あー確かにこいつは昇給相当だな」と認識してもらう必要があります。そして、グレードが上がれば上がるほど、この必要性は高くなります。最終評価者は経営者であり、PLの仕上がりについて責任を負っている人たちなので、そういう方が「こいつは昇給相当」と考えるのは、結局のところ「給与の金額よりアウトプットしている価値の方が高い」「こいつを昇進させた方が自分の仕事がやりやすくなる」みたいな実利に依るものか、または単なるお気に入りかのどちらかです。
お気に入りになれれば色々捗るのでそれはそれで目指すのもいいですが、やはり不確実性はとても高いので、正攻法である経営者に実利をもたらすことに注力するのがお勧めです。
実利というのはつまり、インパクトです。「全社でコンプライアンス研修を実施し、満足度は95%」でしたとか言ってる場合ではないのです。「コンプライアンス研修の結果、このリスクの発生数が昨年比⚫︎%になって重点リスクから外せました」が必要な成果だということです。あー大変。
おわりに
上で書いたのは、エアロバイクを漕ぎながら40分で書き下したものです。ちゃんとした文献に依拠したものではないですし、前提や想定にも不正確な面が含まれていると思います。他方で、「自分は⚫︎円欲しいのに、会社は⚫︎円しかくれない」と嘆くのは、お菓子売り場でチョコレートをねだる子供と本質は変わらないので、そういうステージから一歩外に踏み出すのもありなんじゃないかな、とも(自分のことは棚上げして)思ったりしました。