2009年12月

今年もいよいよ大晦日。
というわけで、2009年に書き散らしたエントリーを読み返してみて、自分にとって印象深かったものを10本ピックアップしました。

3月26日
未払い残業代預金制度の開始のお知らせ
当時は半分冗談みたいに思っていたけど、9ヶ月たって改めて周囲の状況を見ると、着々と現実に近づいているような気がしないでもない。
おそろしや。

4月9日
4月から新たに法務に配属された方に贈る、知っておいてほしい7つのこと
ポジティブに法務という仕事を捉えてほしいという願いをこめて書きました。

4月16日
「お仕事は?」「法務です」のガイドライン
一部の人にめっちゃ受けた。

5月31日
"tsudaる"の著作権法上の留意点
初めて書いたtwitter関連のエントリー
法務以外の人が読むことを想定せずに法務チックな発想を全開にしたら叩かれてしまったのでした。

6月3日
父親が尊敬できる人間であるということは、最高に幸せなことなんだとK君は言った。
今は亡き父に対する僕の思いを赤裸々につづりました。
まさか半年で永遠の別れを迎えることになるとはまったく思いもしませんでした。

7月29日
mixiの利用規約に見る、「こんなはずじゃなかったのに」
法務としてキャリアを積めば積むほど嵌りがちな罠について。

8月10日
僕が7年弱の結婚生活で学んだ、とても大切なこと
はてなパワーを思い知ったエントリー。
ちなみに、これは人間関係全般に当てはまる法則だと思います。

9月14日
Mac提供者募集のお知らせ(売買スキーム編)
ここからLAW launcher for iPhoneの開発が始まりました。

11月21日
14日の深夜、急変の連絡を受けて病院に向かう車の中で、父が息を引き取ったことを知りました
突然すぎて、今でも心底理解できていないような気がします。

12月25日
法務のレベル10
最近過ぎてコメント思いつきません。

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企業法務マンサバイバルさんでこのブログが取り上げられているのを目にし、更新を再開したのが3月なので実質9ヶ月間でしたが、この9ヶ月間で僕の周囲はだいぶ変化したような気がします。

来年も大変な1年になりそうですが、よろしくおねがいします!
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年末のお忙しい時期かとは存じますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
僕は過酷な玄関掃除のせいで手が冷たくてたまりません…

というわけで、いよいよLAW launcher for iPhone ver1.1の最後の新機能紹介になりました。
トリを飾るのはクリップスロット機能です。

これは、現在見ている法令をバックグラウンドに回して、別の法令を開くための機能です。
理論上はすごく役に立ちそうな機能なのですが、実機で試すと会社法レベルの法令をクリップスロットに入れると、メモリ不足が頻発してしまうので、まだまだチューニングが必要なのです…

得体の知れない法令を開きつつ、クリップアイコンをクリックすると、
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こんなメニューが登場。

スロット1を選択しておけば、別の怪しげな法令を開いているときに、いつでもこいつを呼び出せます。(あ、法令名がばれちゃった)
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タブブラウザのタブに相当する機能に近いと言えば近いかもしれません。

ではでは〜
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javascriptプログラマのレベル10 : tech.kayac.com - KAYAC engineers' blogを読んで、法務でも作ってみたら面白そうだと思ってやってみました。
ただ、法務と言っても僕が知っているのは契約法務の世界だけなので、契約法務限定になります。あしからず。

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レベル1:
契約書の記載内容が契約条件となることは知っていますが、それ以外のことは何も知りません。
過去取り扱った契約書を流用することはできますが、契約内容を理解していないので、必要のない条件や不適切な条件まで流用してしまうことがあります。
また、契約条件の有機的な繋がりを理解していないため、流用にあたって変更を加えた際に矛盾が生じてしまう(文中と記名欄とで会社名が異なる、有効期間と締結日が全く違う、など)ことがよくあります。
契約と契約書を同じものだと思っています。
訴訟が提起されると「倒産」という二文字が頭を過ります。

レベル2:
口頭でも契約が成立すること、にもかかわらず契約書を取り交わす意味について理解しています。
また、秘密保持や合意管轄などの基本的な条項の趣旨は理解していますが、各条項で用いられている法律用語や特殊な用例の意味まではしりません。(期限の利益の喪失というサブタイトルを見て、日本語として破たんしていると感じる。対当額という単語を見て、誤字だと感じる。悪意という単語を見て、俺はそんなに悪い奴じゃないと憤慨する。など。)
訴訟が提起されると、大変なことになったな、とへこみます。

レベル3:
契約書で用いられる、日本語として不自然な言い回しの意味を理解しています。
素直な日本語で書くよりも、日本語としては不自然な専門用語で書いた方が、簡単かつ正確に条件を規定できることを理解できていますが、0から条項案をドラフティングすることまではできません。
弁護士の力を借りる必要がある場合に、自社の顧問弁護士にまともな依頼をすることができます。
また、弁護士からの回答を読んで、何を言わんとしているかも概ね理解できます。
訴訟が提起されると、とりあえず弁護士に連絡しようと思います。

レベル4:
民法・商法に関する知識の習得を始めます。また、契約書に書かれている条項の意味は一通り理解できます。
初級法務担当者向けの研修だと退屈に感じるようになります。
訴訟が提起されると、とりあえず訴状を一通り読んでから弁護士に連絡します。

レベル5:
民法・商法に関する基礎的な知識を有しています。また、契約書に含まれる問題のある条件について、修正案を作成することができます。
弁護士の力を借りる必要がある場合に、案件によって依頼する弁護士を選択できます。
訴訟が提起されると、まず社内の誰を巻き込むべきかを考えながら訴状を読みます。

レベル6:
民法・商法に関する知識を有しており、また民事手続法や自社の関係する特別法・業法に関する基礎的な知識を有しています。
契約書の中に散らばった複数の契約条件間の論理的な矛盾に気づくことができます。
契約書を0からドラフティングすることができます。
内容がこってりしていない法務担当者向け研修には物足りなさを感じてしまいます。
訴訟が提起されると、わくわくしてきます。

レベル7:
同じ相手方と過去に締結した契約や、関連する別の契約との平仄まで考慮に入れて契約条件を検討することができます。
また、修正案を作成する場合は、実務上の問題が生じないレベルの妥協点を念頭において柔軟にふるまうことができます。
さらに、相手方の法務担当者・弁護士との交渉に立ち会い、その場で折衷案や落とし所を提案することもできます。
相手方から出された契約書案は、大抵自分が書いた契約書案よりも(有利不利の問題ではなく)出来が悪いと感じます。
訴訟が提起されると、「訴訟提起するのは構わないけど、なんで今なんだよ。」と憤りを感じます。(但しいつでも)

レベル8:
立証責任のレベルで条件を調整できます。また、一見同じように見えて、手続法上は大きな違いの出る条件を設定することもできます。
社外の法務担当者向けの研修で講師を務めることができます。
訴訟が提起されると、相手方の代理人を見て、今後の流れを予想してみたりします。

レベル9:
もはや個別の契約書のチェックを自ら行うことはあまりありません。合併や大型の共同開発などの案件で、名指しで担当することを求められます。
暇な時に法改正があると、無駄とは知りつつパブコメを送ることもあります。
忙しい時の法改正は、パブコメを送ろうとは思いますが、気づくと期限が過ぎています。
業界団体等の法務関連のワークグループに呼ばれます。
書籍執筆の依頼を受けます。
訴訟は、おもしろそうな案件かどうかが最大の注目点になります。

レベル10:
法律関係の雑誌に連載を持つようになります。
研修で講師を務めると、名前で受講生が集まります。
書籍が名前で買われるので、出版社に重宝されます。
転職したことを伝えていない人にも、なぜか転職したことが知れ渡っていたりします。

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昼休みに思いつくままちゃちゃっと作ったので、レベル間のバランスや内容は結構適当です。
おかしなところがあったらツッコミお願いします。

ところで、コーポレート法務でレベル10を作ったらどんな感じになるんでしょうか。
他にも、弁護士のレベル10や裁判官・検察官のレベル10なんかもあったら見てみたいですね。

ではでは〜
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さて、ver1.1の新機能紹介第2弾は、条文ジャンプ履歴としおりです。

法令をブラウジングする場合、多くの場面で複数の条文を行き来する必要が生じます。

ver1.0では、条文検索を利用して実現するしかありませんでしたが、これではあまりに手間がかかるというわけで、条文検索でジャンプした履歴を残すことにしました。
これが、条文ジャンプ履歴です。
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前回無駄に思わせぶりな紹介をした左下のボタンのうちの一つを押すと、にゅにゅっと出てきます。

条文検索の高速遷移はもちろん引き継いでますよ!


しかしながら、条文と一口に言っても、中には一つの条文がものすごく巨大な場合もあり、そんなときは結局条文検索の後にスクロールしなければならなくなってしまいます。
それじゃやっぱりつがい勝手が悪いのということで登場したのがしおり機能です。
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条文履歴ボタンの下のボタンを押すと、これまたにゅにゅにゅっと出てきます。

一度押すとしおりを挟み、もう一度押すとしおりを挟んだ場所に一瞬で移動します。


現時点で、条文履歴としおりの素の機能はすでに実装できているのですが、まだ保存はできない状態です。
ver1.1で保存まで盛り込む予定ですが、もし間に合わなかったらごめんなさい。


さて、ここまで読んだ方の中で、まだ何か言いたいことがある方もいらっしゃるのではないかと思います。
あれですよね?
同じ法令内のジャンプ機能が充実したのはわかったけど、他の法令を見るときは一旦閉じなきゃならないんだろ?
ってやつですよね?
ね?そうですよね?
ねぇ、そうだといって、あなた!
あのときは、あんなに愛してると言ってくれてたじゃない!

というわけで、次回は、他の法令との行き来をスムーズに行うための機能、クリップスロットをご紹介します。
お楽しみに〜
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9月末からこのブログ上でも進捗をご報告していたiPhone向け六法アプリLAW launcher for iPhoneが先週土曜日に無事リリースされました。

ご購入いただいた皆様、twitterやブログでご紹介いただいた皆様、本当にありがとうございました。

お気づきの点がございましたら、このブログのコメント欄やtwitterの@kataxあてにご連絡いただければ幸いです。

なお、リリース早々ではありますが、現在ver1.1を準備も着々と進んでいます。
ver1.1のリリースは年明けを予定していますが、現時点で既に実装が完了している新機能を、小分けにしてご紹介いたします。

さて、ver1.1の新機能紹介第1弾は、スクローラーです。
iPhoneのUIはカッチョよくて気持ちがいいのですが、残念ながら、長文の閲覧にはあまり向いていません。
というのも、スクロールし続けるためには、指を常に動かしていなければならないのです。
この点は、六法のような縦横無尽にドキュメント内を飛び回る必要のあるコンテンツではかなり大きなデメリットになることを自分で利用していて痛感しました。

このデメリットを補うために、スクローラーが生まれました。
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画面右端の薄いバーがそれです。

中央付近を押しているときはゆっくりと、上下端付近を押しているときは高速にスロールし続けます。
※高速になればなるほどバーの色が濃くなります。
↓高速スクロール中
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法令の読み込み中はスムーズにスクロールするのは難しいのですが、読み込み完了後はそれはそれはねりねりとスクロールし続けてくれます。

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次回は、左下の>ボタンについてご紹介します。
何かがにゅにゅっと出てきますよ!
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企業法務マンサバイバルのtacさんと小倉先生のやりとりを横から眺めて感じたこと。

tacさんがこちらのエントリー
このネット上の匿名・実名論争は何度も繰り返されていますが、あなたがこの議論に終止符を打ちたいのであれば、質問をこう置き換えて自問自答してみることをおすすめします。

「明日からあなたが住む国に、リアルでの匿名活動を一切認めないという規制ができるとしたら、あなたはこの国で暮らしていこうと思いますか?」

私はもはやネットはリアルそのものだと思っているので、ネット上での匿名規制ができることは憲法上の自由を失うことに等しいと考えます。

と言及したことについて、小倉先生がこちらのエントリー
私は、むしろ、質問をこのように置き換えて自問自答してみることをお勧めします。

明日からあなたが住む国に、司法権に服するか服しないかを個々人が自由に選択することができるという法制度が採用され、長きにわたりリアルでの違法行為、犯罪行為の被害にあっても、加害者が「司法権に服しない」という選択をしていた場合には、民事及び刑事的な救済を受けることができず、ひたすら泣き寝入りするしかないということになったとしたら、あなたはこの国で暮らしていこうと思いますか

と返しているのが今回のやり取りの要旨だと思うんだけど、これってあんまり噛み合ってないような。

tacさんはおそらく誰からも(極端な話政府からも)匿名性を奪われないようにせよと言っている訳ではなく、その一方で小倉先生はその意味を前提にでネットの匿名性に言及しているように読める。

誰からも匿名でいられるネットがあれば、そこはまさに小倉先生がおっしゃるような無法地帯が形成されるのだろうし、そんなネットは僕も勘弁してほしいと心から思うけど、「なんでもとにかく実名出して活動しろ」というのは、tacさんがおっしゃるようにリアルの世界の実情とも激しく乖離していて、これも勘弁してほしいとやっぱり心から思う。

てことは結局、お二人は「勘弁してほしい」と感じる両極端の局面についてそれぞれ言及しているだけにすぎないんじゃないかな。

「ISP以外のサービスプロバイダ(掲示板等)も必要な情報を必要な期間保存する仕組みが構築されて、その情報を適切な人(や機関)が適切な機会に引き出せるようになればいい」ということについては、お二人とも異存はないと思うんだけどね。

会社員として実名を出すことに対するハードルが高いtacさんと、事実上の匿名性の壁に起因するトラブルの処理を多く目にされてきたであろう小倉先生との立場の違いが、そのまま同じ問題を見る位置の違いに帰結しているようにも思えて、「ほほぅ」などと感じた朝でした。

では、今日も一日がんばりましょう。
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もう全くもって”今週の”ではないのですが、まぁ、いいじゃないですか。

というわけで、いよいよβテスト段階に突入したLAW launcher for iPhoneの最新状況のご報告です。
βテストにご協力いただいている皆様、ありがとうございます。
もし、自分もβテストに参加してみたいという方がいらっしゃいましたら、このエントリーのコメント欄か@kataxまでご連絡ください。
OS3.0以降のiPhoneまたはiPodTouchをお持ち、日常法律に触れる機会のある方であればどなたでも結構です。

トップ画面
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おまとめ検索というモードを追加しました。
例えば、消費税というキーワードで検索すると、こんな具合になります。
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検索履歴と閲覧履歴。
2932


条文閲覧時のメニューと条文ジャンプ
0551


ダウンロードしていない法令は、事前にダウンロード
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オプションメニューはこんな感じ。
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年末または来年早々にはリリースできる見通しです。
リリースされた際は、ぜひご愛顧くださいませ。

では、また〜
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