2011年09月

ここのところ猪木先生からご恵贈いただいたベンチャー企業の法務・財務戦略をずっと読んでいたのですが、ついに昨日読了しましたので早速レビューします。

手に取った瞬間、なんでこのタイトルで、この厚さ(579ページ)なんだ・・・、と愕然とすること請け合いのボリュームたっぷりな一冊ですが、内容の方も期待を裏切らない濃さをキープしています。

最初はベンチャー企業を取り巻く現状を日米比較や様々な統計を引きながら概観し、投資周り、ガバナンス、エグジットから、さらにはスピンオフや知財の基礎的な知識まで、多様な筆者が入れ替わり立ち替わり語る様は、まるで大学の特別講義のようです。

特に「おぉ」と思ったのが第8章の第6節「シリコンバレーにおける優先株式契約の変遷」で、バブル前(1997〜1998)、バブル(1999〜2001)、バブル後(2002〜2004)、バブル後のさらに後(2005〜2007)、現在に分けて、配当優先条項や残余財産優先分配条項などがどのように変化していったかを追うと、まさに激動の10年だったんだな、と今更ながら感心せざるを得ませんでした。

また、投資契約、株主間契約に関する知識が薄い僕にとっては、実務的な投資契約、株主間契約の知識を補えたという意味でも非常に有用でした。

その反面、共著の避けられない性ではあるのですが、体系だった流れがあるわけではなく、また同じことが分散して言及されているため、基本書のような概観とは裏腹に、辞書的な使い方にはあまり適してはいません。

目次はこんな感じです。

  • ベンチャー・キャピタルとベンチャー企業の関係
  • ベンチャー・ファイナンスの現状と課題
  • ベンチャー・キャピタルの構造
  • ベンチャー投資をめぐる規制
  • 企業形態の選択
  • ベンチャー・ファイナンスにおける投資契約
  • 種類株式の使い方
  • ジョイント・ベンチャーとの比較におけるベンチャー・キャピタル投資契約の特色
  • 人的資本の評価と果実の分配
  • ベンチャー・キャピタルのモニタリング機能と支配の分配
  • ベンチャー投資のエグジット
  • スピン・オフ企業の際の法律問題
  • ベンチャー企業と知的財産権

    ボリュームに比例して安くは無い価格ですが、類書を他に見ないことも併せて考えると、ちょっと奮発して買う価値は十分にあると思います。




    言葉で「有用でした」と言ってもいまいち伝わらないと思いますので、代わりに犬耳さんたちに語って頂きましょう!(僕の癖で、上下に分けて折っています)
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    おい、お前。1ヶ月に1冊、法律本のレビューをするって話はどうなっt(∩ ゚д゚)アーアーきこえなーい

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    さて、最近TLでちょくちょく見かけるザ・インタビューズについてですが、僕も早速登録してみました。
    登録が完了すると、さっそく3つの質問が投げられています。
    一瞬、おっ、と思いましたが、どうやら登録した人には自動で3つの質問が漏れなくついてくるようです。

    ・どんな学生時代でしたか?
    ・社会人になりたての頃の思い出は?
    ・座右の銘は?

    何も変わったところのない無難な質問ですが、黙々とこたえを打ち込んでいるうちに、得体のしれない気持ちよさがわきあがってくるのを感じます。
    自動で割り当てられた質問とわかっていながらも止めることのできないカタルシスに酔いしれながらこの3つの質問にこたえた後、さて僕もいろんな人に質問してみよう!と思ったところではたと手が止まりました。
    何か意図があってなのか、それともただ単に開発が追い付いていないだけなのか判りませんが、ユーザを検索する仕組みがまったくもって用意されていないのです。

    しょうがないので新着ユーザーの一覧を何ページがさかのぼってみましたが、僕の知っている人(っぽい人)はとんと見当たりません。
    かといって見ず知らずに人に質問しても何もおもしろくないわけで、早くも僕は、ザ・インタビューズに対する興味が僕の中で急速にしぼんでいくことを感じていました。

    ---

    そんなわけで、登録からわずか数日で、僕のザ・インタビューズに対する関心は相当薄くなっていたのですが、ある昼休み、そんな状況を一気にひっくり返すページに出会いました。
    それが、これです。
    奥さんとの馴れ初めを教えて下さい。

    仕事で、ある画家の事を調べていたんです。あまり有名じゃなくて、ちゃんとした研究もされていないような画家です。油彩で輪郭を描いて、水彩で彩色するっていうちょっと変わった技法で、ひたすら海の生物を描いていて。ある程度の画家なら、普通の図書館に行けば資料が見つかるんですけど、その画家について書かれた資料は皆無だったんです。それで、出身大学なら何か資料が残っているんじゃないかと思って、大学のデータベースを検索したら、その画家についての論文がいくつか見つかったんですね。その大学の図書館で閲覧できるっていうから、行ったんです。たしか4月のはじめ頃で、風が強い日でした。で、図書館について、資料の請求書を書いて、レファレンス係の女の子に渡したら、その子が突然にっこり笑って、僕の頭に手をのばして何かをとったんです。その子がゆっくり手のひらを開くと、桜の花びらがありました。それを見て、僕もにっこり笑って。その女の子が、僕の妻です。
    http://theinterviews.jp/tonakai/2174

    いやはや。まさに、圧倒的でした。
    この短いエントリーを読み終えた瞬間、誇張ではなく、僕の脳裏にははっきりと春の軽やかな空気が流れるのを感じました。まだ暑さの残るこの時期に!

    なにげなく開いた見ず知らずの人のインタビューに、こんなすごいものがあったなんて、と、本当におどろきました。
    そして、昼休み中、トップページからいろいろな人のインタビューに飛び、読み、飛び、読み、を繰り返し、僕はようやく「ザ・インタビューズは、誰かの質問に真摯にこたえた内容を読むことに、おもしろさの源泉がある」ということに気付いたのです。

    最初の3つの質問に答えたときの気持ちよさに惑わされて、僕はうっかり、このサービスのおもしろさは、質問にこたえること、質問すること、にあると思い込んでいましたが、これは愚かな勘違いでした。

    ザ・インタビューズは、Quaraのような高品質なQAサービスがまったくもってはやる兆しを見せない日本における、Quara的な存在になるのかもしれません。
    (そんな大げさなものでなれなかったとしても、地道に根付いていってくれたらうれしいな、と思います。)

    それでは!

    ※ちなみに、僕のマイ・インタビューページはこちらです。
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