ここのところ猪木先生からご恵贈いただいたベンチャー企業の法務・財務戦略をずっと読んでいたのですが、ついに昨日読了しましたので早速レビューします。
手に取った瞬間、なんでこのタイトルで、この厚さ(579ページ)なんだ・・・、と愕然とすること請け合いのボリュームたっぷりな一冊ですが、内容の方も期待を裏切らない濃さをキープしています。
最初はベンチャー企業を取り巻く現状を日米比較や様々な統計を引きながら概観し、投資周り、ガバナンス、エグジットから、さらにはスピンオフや知財の基礎的な知識まで、多様な筆者が入れ替わり立ち替わり語る様は、まるで大学の特別講義のようです。
特に「おぉ」と思ったのが第8章の第6節「シリコンバレーにおける優先株式契約の変遷」で、バブル前(1997〜1998)、バブル(1999〜2001)、バブル後(2002〜2004)、バブル後のさらに後(2005〜2007)、現在に分けて、配当優先条項や残余財産優先分配条項などがどのように変化していったかを追うと、まさに激動の10年だったんだな、と今更ながら感心せざるを得ませんでした。
また、投資契約、株主間契約に関する知識が薄い僕にとっては、実務的な投資契約、株主間契約の知識を補えたという意味でも非常に有用でした。
その反面、共著の避けられない性ではあるのですが、体系だった流れがあるわけではなく、また同じことが分散して言及されているため、基本書のような概観とは裏腹に、辞書的な使い方にはあまり適してはいません。
目次はこんな感じです。
ベンチャー・キャピタルとベンチャー企業の関係
ベンチャー・ファイナンスの現状と課題
ベンチャー・キャピタルの構造
ベンチャー投資をめぐる規制
企業形態の選択
ベンチャー・ファイナンスにおける投資契約
種類株式の使い方
ジョイント・ベンチャーとの比較におけるベンチャー・キャピタル投資契約の特色
人的資本の評価と果実の分配
ベンチャー・キャピタルのモニタリング機能と支配の分配
ベンチャー投資のエグジット
スピン・オフ企業の際の法律問題
ベンチャー企業と知的財産権
ボリュームに比例して安くは無い価格ですが、類書を他に見ないことも併せて考えると、ちょっと奮発して買う価値は十分にあると思います。
言葉で「有用でした」と言ってもいまいち伝わらないと思いますので、代わりに犬耳さんたちに語って頂きましょう!(僕の癖で、上下に分けて折っています)
手に取った瞬間、なんでこのタイトルで、この厚さ(579ページ)なんだ・・・、と愕然とすること請け合いのボリュームたっぷりな一冊ですが、内容の方も期待を裏切らない濃さをキープしています。
最初はベンチャー企業を取り巻く現状を日米比較や様々な統計を引きながら概観し、投資周り、ガバナンス、エグジットから、さらにはスピンオフや知財の基礎的な知識まで、多様な筆者が入れ替わり立ち替わり語る様は、まるで大学の特別講義のようです。
特に「おぉ」と思ったのが第8章の第6節「シリコンバレーにおける優先株式契約の変遷」で、バブル前(1997〜1998)、バブル(1999〜2001)、バブル後(2002〜2004)、バブル後のさらに後(2005〜2007)、現在に分けて、配当優先条項や残余財産優先分配条項などがどのように変化していったかを追うと、まさに激動の10年だったんだな、と今更ながら感心せざるを得ませんでした。
また、投資契約、株主間契約に関する知識が薄い僕にとっては、実務的な投資契約、株主間契約の知識を補えたという意味でも非常に有用でした。
その反面、共著の避けられない性ではあるのですが、体系だった流れがあるわけではなく、また同じことが分散して言及されているため、基本書のような概観とは裏腹に、辞書的な使い方にはあまり適してはいません。
目次はこんな感じです。
ボリュームに比例して安くは無い価格ですが、類書を他に見ないことも併せて考えると、ちょっと奮発して買う価値は十分にあると思います。
言葉で「有用でした」と言ってもいまいち伝わらないと思いますので、代わりに犬耳さんたちに語って頂きましょう!(僕の癖で、上下に分けて折っています)