2015年02月

ウェブサイトやアプリに広告を貼ろうと思って広告配信に関する契約を締結しようとすると、広告配信サイドからコンテンツの適法性や適切性について様々な保証を求められることになります。
例:nend利用規約第 18 条(禁止行為)1項1号
1.メディアパートナーは、nendメディアパートナーサービスを利用するにあたり以下各号に定める事項を行ってはならず、当社から是正の要請のあった場合には、すみやかに応じなければならない。
(1) メディアサイト等(メディアサイト等に掲載されるバナー、メディアサイト等のユーザーが投稿した記事・音声・動画等の情報を含む)に、アダルト、暴力・虐待の推奨、人種差別の推奨、その他、公序良俗に反する、当社を含む第三者の著作権その他の権利を侵害する、又は法令に違反する等、当社が不適当と判断するコンテンツの掲載行為


アドネットワーク事業者等からすれば、おかしなサイトに広告を配信するわけにはいかないので当然の要求ではあるのですが、メディア側でUGC(ユーザーが生成したコンテンツ)を受け入れている場合、事前に全件チェックをしているような例外的なケースを除き、メディア上のコンテンツを全てコントロールすることはできません。

というわけで、UGCに関する免責を設定する必要があるわけですが、じゃぁ具体的にどんな感じで免責を定めるかを段階的に膨らましてみよう、というのが今回のお話です。



Level 1
まずは、UGCに関しては完全に免責を受けるというパターン。
だれが受け入れるんだよ、と思う向きもあるかもしれませんが、試しに言ってみたらOKがでてこっちがびっくりすることもたまにあるという風のうわさを耳にしたことがあります。
【内容保証を定めた条項】の規定にかかわらず、広告掲載メディアのユーザーが広告掲載メディアに投稿その他の方法によって送信した情報については、メディア運営者は何らの責任も追わないものとする。


Level 2
続いて、ユーザーに義務を課すから勘弁してね、というパターン。
ちょっと中途半端感があって、これに落ち着いたという経験は僕はありません。
【内容保証を定めた条項】の規定にかかわらず、広告掲載メディアのユーザーが広告掲載メディアに投稿その他の方法によって送信(以下、本稿において「投稿等」という。)した情報(以下、本項において「UGC」という。)については、メディア運営者が広告掲載メディアのユーザーに対し、【内容保証を定めた条項】に反するUGCを広告掲載メディアに投稿等しないよう義務付けることを条件に、メディア運営者は何らの責任も追わないものとする。


Level 3
さらに、違反コンテンツは削除するから勘弁してね、というパターン。
ここら辺から徐々に条件に合理性が出てきます。
【内容保証を定めた条項】の規定にかかわらず、広告掲載メディアのユーザーが広告掲載メディアに投稿その他の方法によって送信(以下、本稿において「投稿等」という。)した情報(以下、本項において「UGC」という。)については、メディア運営者が以下の各号を遵守すること条件に、メディア運営者は何らの責任も追わないものとする。
(1)メディア運営者が広告掲載メディアのユーザーに対し、【内容保証を定めた条項】に反するUGCを広告掲載メディアに投稿等しないよう義務付けること
(2)メディア運営者が【内容保証を定めた条項】に反するUGCを発見した場合、すみやかに広告掲載メディアから削除すること


Level 4
一歩進んで、発見のための努力もするよ、というパターン。
ウェブメディアでは言われてなくてもやってるよ、というところも少なく無いと思います。
【内容保証を定めた条項】の規定にかかわらず、広告掲載メディアのユーザーが広告掲載メディアに投稿その他の方法によって送信(以下、本稿において「投稿等」という。)した情報(以下、本項において「UGC」という。)については、メディア運営者が以下の各号を遵守すること条件に、メディア運営者は何らの責任も追わないものとする。
(1)メディア運営者が広告掲載メディアのユーザーに対し、【内容保証を定めた条項】に反するUGCを広告掲載メディアに投稿等しないよう義務付けること
(2)広告掲載メディアの性質に鑑みて合理的な頻度及び程度で、メディア運営者が【内容保証を定めた条項】に反するUGCが広告掲載メディアに投稿等されていないことを確認すること
(3)
メディア運営者が【内容保証を定めた条項】に反するUGCを発見した場合、すみやかに広告掲載メディアから削除すること


Level 5
保証違反の判断を広告配信側にもさせるパターン。
だんだんエグみが出てきました。
【内容保証を定めた条項】の規定にかかわらず、広告掲載メディアのユーザーが広告掲載メディアに投稿その他の方法によって送信(以下、本稿において「投稿等」という。)した情報(以下、本項において「UGC」という。)については、メディア運営者が以下の各号を遵守すること条件に、メディア運営者は何らの責任も追わないものとする。
(1)広告掲載メディアのユーザーに対し、【内容保証を定めた条項】に反するUGCを広告掲載メディアに投稿等しないよう義務付けること
(2)広告掲載メディアの性質に鑑みて合理的な頻度及び程度で、【内容保証を定めた条項】に反するUGCが広告掲載メディアに投稿等されていないことを確認すること
(3)【内容保証を定めた条項】に反するUGCを発見した場合、すみやかに広告掲載メディアから削除すること
(4)広告配信事業者から【内容保証を定めた条項】に反する旨を通知されたUGCを、広告掲載メディアからすみやかに削除すること


Level 6
そもそも技術的に水際で食い止めてよパターン。
とりあえずNGワードリストでいかがでしょう。
【内容保証を定めた条項】の規定にかかわらず、広告掲載メディアのユーザーが広告掲載メディアに投稿その他の方法によって送信(以下、本稿において「投稿等」という。)した情報(以下、本項において「UGC」という。)については、メディア運営者が以下の各号を遵守すること条件に、メディア運営者は何らの責任も追わないものとする。
(1)広告掲載メディアのユーザーに対し、【内容保証を定めた条項】に反するUGCを広告掲載メディアに投稿等しないよう義務付けること
(2)広告掲載メディアの性質に鑑みて合理的な頻度及び程度で、【内容保証を定めた条項】に反するUGCが広告掲載メディアに投稿等されていないことを確認すること
(3)【内容保証を定めた条項】に反するUGCを発見した場合、すみやかに広告掲載メディアから削除すること
(4)広告配信事業者から【内容保証を定めた条項】に反する旨を通知されたUGCを、広告掲載メディアからすみやかに削除すること
(5)【内容保証を定めた条項】に反するUGCを合理的な範囲で探知しうるNGワードリストを作成及び更新し、NGワードリストに該当するUGCが投稿等された場合に、広告掲載メディアに掲載しないこと


Level 7
投稿の都度、ユーザーに注意喚起することを求められるパターン。
ここまで来ると、サービスへの影響が・・・。
【内容保証を定めた条項】の規定にかかわらず、広告掲載メディアのユーザーが広告掲載メディアに投稿その他の方法によって送信(以下、本稿において「投稿等」という。)した情報(以下、本項において「UGC」という。)については、メディア運営者が以下の各号を遵守すること条件に、メディア運営者は何らの責任も追わないものとする。
(1)広告掲載メディアのユーザーに対し、【内容保証を定めた条項】に反するUGCを広告掲載メディアに投稿等しないよう義務付けること
(2)広告掲載メディアの性質に鑑みて合理的な頻度及び程度で、【内容保証を定めた条項】に反するUGCが広告掲載メディアに投稿等されていないことを確認すること
(3)【内容保証を定めた条項】に反するUGCを発見した場合、すみやかに広告掲載メディアから削除すること
(4)広告配信事業者から【内容保証を定めた条項】に反する旨を通知されたUGCを、広告掲載メディアからすみやかに削除すること
(5)【内容保証を定めた条項】に反するUGCを合理的な範囲で探知しうるNGワードリストを作成及び更新し、NGワードリストに該当するUGCが投稿等された場合に、広告掲載メディアに掲載しないこと
(6)広告掲載メディアのユーザーが投稿等する際に、【内容保証を定めた条項】に反するUGCの投稿等が禁止されていることを明示すること


といったところで時間切れ
「こんな規定もありじゃね?」みたいなアイデアがあれば、ぜひ教えて下さいませ〜
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先日、弁理士で会計士なサラリーマンブロガーatakaさんにインタビューをしていただきました。

katax × IPFbiz 〜企業法務のキャリアについて考える〜

今年に入ってatakaさんが対談シリーズを開始された時は、「知財法務」というくくりだったこともあり、自分に話が回ってくるとは思っても見なかったのですが、伊藤先生から「長くブログを続けている」ということでご紹介いただき、このようなチャンスに巡りあうことが出来ました。

ヨモヤマ話に終始してしまって、終わった後もう少し中身のある話をすべきだった・・・と反省しきりだったのですが、atakaさんの編集力でしっかりとまとめていただけました。
ほんと、まとめる立場を踏まえないインタビューイーで申し訳なかったです。
あたかも僕がしっかりとした人のように読めますが、実際はご存知の方はご存知の通り、行き当たりばったりで人生を送っているタイプなので、割り引いていただければ幸いです。

atakaさん、このような機会をいただき、ありがとうございました。
また、伊藤先生も、ご紹介いただき、ありがとうございました。

今後も対談シリーズ楽しみにしてます!
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先日、タイトルだけ見て買った法務のお仕事系の書籍が、ちょっと自分の期待していた内容と違っていて、ややがっかりした後になんとなく手にとった知って得する ソフトウェア特許・著作権 改訂六版が素晴らしかったのでご紹介。

上記の、僕が勝手にがっかりした本と違う意味で、「タイトルから想像する内容」と「実際の内容」が異なる一冊でした。

まずおどろくべきことに、この本、特許権と著作権と同じボリューム・レベル感で、商標権についてもがっつり書かれているんです。なんでタイトルに商標権が入ってないんだ!(まぁ、初版には入ってなかったとか、そういうことなんだろうけれど)で、要所要所で意匠権についても触れられています。

もう一つ驚いたのが、「知って得する」という語感から受ける概説書・入門書的イメージと異なり、カバーするトピックの幅広さと深さは、それだけでしっかりと実務に使えるレベルのものになっています。具体例も多く、例えばパッケージソフトウェアの商標権の類似群コードは「11C01」「42X11」「35K08」だよ、なんてことが明記されていたり、特許のアイデアを具体化するためのブレストの進め方なんてトピックもあったりします。

さらに、「ソフトウェア」特許・著作権とは謳っているものの、基礎となる「ソフトウェアに限定しない」特許・著作権(と商標権)についてしっかり論じたうえで、具体例としてソフトウェアで当てはめをしたり、ソフトウェア特有のトピックを出したりしてくれるので、ソフトウェアにとどまらない知財の知識をおさらいすることが可能です。

文章もとても読みやすく、厚さの割にサクッと読み進められるので、週末の一冊にお勧めです。

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