法務を飛び出て管理部門を管掌する取締役にチャレンジしたタイミングでちょうどBusiness Lawyersの第6回 一人法務からバックオフィスの責任者へ - 法務のスキルでキャリアを拡大という記事を拝見して以来、機会があったら一度中根さんのお話をお伺いしたいとずっと思っていたところ、サイボウズのむつみめもさんにお繋ぎいただき、お会いするチャンスをいただくことができました。IT法務互助会ばんざい!
上記記事にもある通り、中根さんは現在サイボウズのバックオフィスを統括する責任者になられており、法務からガチマネージメントコースへと進まれた稀有な方のお一人ということもあって、お話をお伺いするにうちに、同じような役割から早々と撤退した私自身が抱えていた反省点や悩みがスルスルと解きほぐされていくような(そういった表現が適切かはわからないのですが)とても心地よい1時間でした。中根さんの人間的な魅力、人を惹きつける力の強さはすごいので、転職を考えている法務の方は、一度サイボウズさんの募集にエントリーすることをおすすめします。(2019/11/22現在、サイボウズさんは契約担当の法務を募集されています)
中根さんのキャリアについても色々お伺いしたのですが、上記記事を始めとしたウェブメディアに詳しく記載されているので、ここではお伺いしたお話の中で、極々個人的に特に心に残ったポイントに絞って触れたいと思います。
M&Aに際しては、大きく分けて事業、法務、人事、財務・経理といった領域でDDを行うことになりますが、特に一人法務の会社では法務DDだけで手一杯になり、他領域について興味関心を払う余裕がないのが通常なのではないかと思います。激務の中、法務に閉じることなく他領域にも好奇心を持つ姿勢で日々の業務にあたっていらっしゃったことは、領域を広げる際に何よりの力になったのではないかと想像しました。
「物怖じせず飛び込んでいく性格なんです」と軽やかに笑っておっしゃる姿を見て、大変なことを自然体でやれる凄みを感じるとともに、1年前の自分の蹉跌の原因の一つは、法務に閉じていた過去の自分にあったのだということを改めて自覚しました。普段からトレーニングしていなければ、いきなりトラックに立っても走れるわけないんですよね。当然のことではありますが、法務としてそれなりにこなせるようになったことで、この当たり前を忘れてしまっていたのかもしれません。いずれは法務以外の領域にも、という想いを持っている方は、明日から他部署の業務に首を突っ込んでいった方がいいですよ。その時が来てからじゃ、遅いんですからね(自戒)
後任の立場からすると掛け値無しで最高の引き継ぎコメントだな、と思うとともに、中根さんのような方にとっても、ステージを一段上げるということは、いわゆるコンフォートゾーンを飛び出るということに他ならないのだという事実を再確認しました。
実際、しっかり回せている実感をもてているときの法務部長って、最高に楽しい仕事だと思うんですよね。難しい業務がどんどん降ってくるのでやりがいも学びもあり、成長している実感も得やすいですから。そんな業務を後任に託して新しいチャレンジをする選択肢を選ぶ際の複雑な気持ちは、「昇進おめでとうございます」という文脈には乗らない重要な要素だなと思いました。
今回、一番ハッとしたご発言がこれでした。
昇進するということは裁量が大きくなるということであり、それはつまり自分の影響力が大きくなるということを意味します。例えば、最近もまた例の報告書がきっかけで話題になっている法務部門のあるべき姿について言えば、Twitterであれこれ論評しているだけでは社会へのインパクトはほぼ皆無です。しかし、もしあなたが法務部門の責任者であれば、少なくともその会社の法務部門のあり方は、あなた次第でかなりの程度変えることは可能なはずであり、ある会社が変わるということは、その程度において社会へ影響を及ぼしていると言えます。決して大きなインパクトではありませんが、もっともらしいことを好きなように言い放っているだけの外野とは雲泥の差であることは間違いありません。
敢えて波風の立つ言い方をするならば、「ぼくのかんがえたさいきょうのほうむぶ」的な無責任さの対極にある強い当事者意識を感じた瞬間でした。
なお、上記は、1時間という限られた時間の中で多岐にわたる話題をお伺いする中で私自身が感じたことを記載したものであり、中根さんのご見解とは一致しない可能性がありますので、その点はご留意ください(カギカッコ内も録音等をしていない私の記憶からの引用なので、中根さんのご発言を正確引用したものではありません)
それでは!
上記記事にもある通り、中根さんは現在サイボウズのバックオフィスを統括する責任者になられており、法務からガチマネージメントコースへと進まれた稀有な方のお一人ということもあって、お話をお伺いするにうちに、同じような役割から早々と撤退した私自身が抱えていた反省点や悩みがスルスルと解きほぐされていくような(そういった表現が適切かはわからないのですが)とても心地よい1時間でした。中根さんの人間的な魅力、人を惹きつける力の強さはすごいので、転職を考えている法務の方は、一度サイボウズさんの募集にエントリーすることをおすすめします。(2019/11/22現在、サイボウズさんは契約担当の法務を募集されています)
中根さんのキャリアについても色々お伺いしたのですが、上記記事を始めとしたウェブメディアに詳しく記載されているので、ここではお伺いしたお話の中で、極々個人的に特に心に残ったポイントに絞って触れたいと思います。
「M&Aの過程でDDをする際、財務・経理面ではわからない言葉や概念がたくさんでてきて、それを片っ端から経理の同僚に聞いて教えてもらったんです。」
M&Aに際しては、大きく分けて事業、法務、人事、財務・経理といった領域でDDを行うことになりますが、特に一人法務の会社では法務DDだけで手一杯になり、他領域について興味関心を払う余裕がないのが通常なのではないかと思います。激務の中、法務に閉じることなく他領域にも好奇心を持つ姿勢で日々の業務にあたっていらっしゃったことは、領域を広げる際に何よりの力になったのではないかと想像しました。
「物怖じせず飛び込んでいく性格なんです」と軽やかに笑っておっしゃる姿を見て、大変なことを自然体でやれる凄みを感じるとともに、1年前の自分の蹉跌の原因の一つは、法務に閉じていた過去の自分にあったのだということを改めて自覚しました。普段からトレーニングしていなければ、いきなりトラックに立っても走れるわけないんですよね。当然のことではありますが、法務としてそれなりにこなせるようになったことで、この当たり前を忘れてしまっていたのかもしれません。いずれは法務以外の領域にも、という想いを持っている方は、明日から他部署の業務に首を突っ込んでいった方がいいですよ。その時が来てからじゃ、遅いんですからね(自戒)
「法務部長を後任に引き継ぐとき『ものすごく楽しい仕事なんだよ。本当に。すごく楽しいから、楽しんでね。』って言って引き継いだんです。」
後任の立場からすると掛け値無しで最高の引き継ぎコメントだな、と思うとともに、中根さんのような方にとっても、ステージを一段上げるということは、いわゆるコンフォートゾーンを飛び出るということに他ならないのだという事実を再確認しました。
実際、しっかり回せている実感をもてているときの法務部長って、最高に楽しい仕事だと思うんですよね。難しい業務がどんどん降ってくるのでやりがいも学びもあり、成長している実感も得やすいですから。そんな業務を後任に託して新しいチャレンジをする選択肢を選ぶ際の複雑な気持ちは、「昇進おめでとうございます」という文脈には乗らない重要な要素だなと思いました。
「私は、この社会に対して個人的に抱いている問題意識があるんです。怒りと言ってもいい強さの問題意識。そしてこの会社においては、私はその問題の解決に取り組める立場にいる。」
今回、一番ハッとしたご発言がこれでした。
昇進するということは裁量が大きくなるということであり、それはつまり自分の影響力が大きくなるということを意味します。例えば、最近もまた例の報告書がきっかけで話題になっている法務部門のあるべき姿について言えば、Twitterであれこれ論評しているだけでは社会へのインパクトはほぼ皆無です。しかし、もしあなたが法務部門の責任者であれば、少なくともその会社の法務部門のあり方は、あなた次第でかなりの程度変えることは可能なはずであり、ある会社が変わるということは、その程度において社会へ影響を及ぼしていると言えます。決して大きなインパクトではありませんが、もっともらしいことを好きなように言い放っているだけの外野とは雲泥の差であることは間違いありません。
敢えて波風の立つ言い方をするならば、「ぼくのかんがえたさいきょうのほうむぶ」的な無責任さの対極にある強い当事者意識を感じた瞬間でした。
なお、上記は、1時間という限られた時間の中で多岐にわたる話題をお伺いする中で私自身が感じたことを記載したものであり、中根さんのご見解とは一致しない可能性がありますので、その点はご留意ください(カギカッコ内も録音等をしていない私の記憶からの引用なので、中根さんのご発言を正確引用したものではありません)
それでは!