2020年07月

昨今の将棋ブームに乗っかって、某県の高校生将棋大会の新人戦で3位という微妙この上ない成績を収めたわたくしが、良い目標設定をするためのコツを将棋をモチーフに考えるというエントリーを朝の30分で書いてみようというチャレンジです(現在8:48)

担当する駒を特定する


将棋とビジネスの大きな違いの一つに、意思決定の集中・分散を挙げられます。
つまり、将棋は棋士が全ての駒の動きをコントロールするのに対し、ビジネスは、各駒(従業員)が、ある程度自律して動く、という違いです。そのため、将棋とは違い、ビジネスでは各駒が、自分がどう動くべきかを考える必要があるのです。そして、「今期こう動く」という宣言が、目標設定に他なりません。

そう考えると、目標設定に先立って、自分がどの駒を担当するのかを特定する必要があることに気づきます。例えば、飛車先の歩であれば、相手の王に止めを刺すことを目標にすべきでないことは当然ですし、さらに言えば成り込むことを目標にするのも基本的には間違いです。飛車先の歩は、ベストなタイミングで対面する歩に襲いかかるのが最重要かつ唯一の目標になるのです。
逆に、自分が王であれば、相手の駒の影響から遠ざかることが目標になります。そのために、味方の駒をある程度犠牲にすることも必要になります。

このように、担当する駒によって、どう動くかが大きく変わるので、まず目標を設定する前に、自分がどの駒を担当するのかを特定する必要があるのです。

ゴールを見失わない


将棋のゴールは、相手の王を詰ますことにあります。そのため、自分の目標も、相手の王を詰ますためにどのように役に立つかを意識する必要があるのです。
例えば、飛車角といった大駒を相手に取られると、基本的に局面は大きく自分に不利な状況に傾いてしまいます。だからといって、飛車角を担当している人が「相手に取られないこと」を目標とし、逃げ回っていてはゴールである「相手の王を詰ます」ことに全く貢献できません。必要な場面ではリスクを取り、場合によっては確実な敗北を受け入れて、ゴール達成の礎になる必要があるのです。
実際のビジネスでは、ゴールは必ずしも明確とは言えません。しかし、だからこそ追求すべきゴールを明確にし、そのゴールへの到達に貢献できる目標を設定することが重要になります。

局面の変化を捉える


当初は囲いに使われていた金銀が、局面の変化に伴って攻め駒に転じることは少なくありません。機種に立てた目標が、仮に「王を死守する」であったとしても、局面の変化に伴って役割を変えるべき状況に至った場合には、柔軟に目標を再設定する必要があります。
ただ、「あなたは守り駒だよね」というコンセンサスが他の味方の駒にあった場合、自分の判断だけで動きを変えてしまうと、周囲との足並みが必ず乱れてしまいます。そのため、目標の再設定は、最低でも上司とだけは共通認識を形成する必要があります。
状況の変化にあわせて勝手に目標を変え、評価の段になって「今期は期中に色々あったので、当初の目標は達成できませんでした。」といきなり言われても、共通認識がなければ評価者は戸惑ってしまいます。最悪のケースでは、その独断によって味方の王が詰まされてしまうことにもなりかねません。

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冒頭に触れた、将棋とビジネスの違いの「自律性」は、実は決定的な差であり、むちゃくちゃ無理があるな、ということに書きながら気づいたのですが、正直30分で軌道修正することは不可能だったので最後まで書ききってしまいました。

それでは、今週も頑張りましょう!
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昔「質問で評価を落としてしまう8つのパターンと改善方法」というエントリーを書いたことがあったのですが、これが想定していたのは新人や転入者が質問者になるケースでした。

ですが、つい先日、上司や先輩がよくない質問をしているケースもあるよね、という話を最近部内でする機会があったので、今回はそっち方面をまとめてみようと思いました。

テーマは、人を病ませてしまう質問。

1.質問の形をとった非難
期限までに依頼した仕事が仕上がってこなかったときの「なんでできてないの?」という質問の多くが、この「質問の形をとった非難」です。「なぜ」と聞きつつ、言いたいことは「期限までに間に合わせなかったことの不満」でしかないというもので、3パターンのうち、もっとも見かける頻度が高い質問です。
この「質問の形をとった非難」では、形式的には理由を尋ねていながら、その意図は非難にあります。そのため、回答者が「忙しくて手を付けられませんでした」「わからないことがあって調べていました」みたいに理由を答えてしまおうものなら、「言い訳するな!」とか「状況を聞かれる前に自分から報告しろ」と叱責されるのが関の山。質問者は「なぜ」とは言っているものの、別に理由を聞きたくて質問をしているわけではないので、このような理不尽なやりとりが発生してしまうのです。
そして、「質問の形をとった非難」が常態化した関係下では、質問への回答は、謝罪の言葉から始まるようになります。「なぜ」に対して「申し訳ございません」が返ってくる。全く噛み合っていないようでいて、実はぴったり噛み合っているのです。
こうなると、純粋な理由の質問も非難の色合いを帯びるようになり、「申し訳ございません」から回答が始まるようになってしまいます。そして、その原因は、質問者の方にあるのです。

2.宣言を強要する質問
まだ諦めるなよと思いながら「ここで諦めるか?」と聞いたり、チャレンジすると言えと思いながら「チャレンジしてみるか?」と尋ねる質問です。
質問された側には質問者の意図は透けるものなので、真意がどうであれ、この質問を受けたらやるというしかありません。また、もし勇気を出して諦める方向で答えても「本当にそれでいいのか?」などと聞かれてしまうのは、さながら「はい」を選ぶまで先に進めないドラクエのループ質問のようです。
それだけであればまだ良いのですが、「自分でやる/やれると言ったんだろう」といった具合に追い詰める材料に使われてしまいがちなのが罪深い。
言ってる方は自発性を引き出してるつもりかもしれませんが、やってることは、「やる気がないなら帰れ」と怒鳴りつける部活の指導者とさほど違いはありません。
シンプルかつストレートに「君にはやれると思っているし、やってほしいと思っている。諦めずにがんばってほしい。」と伝えたほうが、偽りの自発性を引き出すよりもよっぽど効果的ですよ。

3.正解を当てさせる質問
上司や先輩が、部下や後輩を教育する意図で、すでに自分の中に「こうすべき」という確信があるにも関わらず、「どうすればいいと思う?」と尋ねることがあります。それが、この「正解を当てさせる質問」です。
質問者は、自分の頭で考えて答えにたどり着いてほしいと願ってそうするのですが、基本的に、育成の対象になっている人が自分の頭で正解にたどり着くことはできません。そのため、「ちがうな」「もっとよく考えろ」といった具合に問答が何度も繰り返されることになり、その様相はまるで千本ノックです。
そして、この種の質問を受け続け、考えた答えを否定され続けた人は、「正解」ではなく、「質問者が正解だと思っていること」が何かを考えるようになってしまうのです。たまに正解を当てた際に「そうだよ、その通り」などと褒められてしまおうものなら、さらにその傾向は強くなるでしょう。
もしやるなら、正解にたどり着く思考法や前提知識をしっかり伝えた上で、それをどう使うか、どう適用していくのかの訓練の場面で質問を使うようにする必要があるのです。
育成のための質問のつもりが、ただのマウンティング、または質問者の自己満足になってはいないでしょうか?



上記の3パターンに共通するのは、「質問の形式を取っているが、質問する意図はない」という点です。そのため、このような質問を回避するための対策もシンプルで、それは「質問の意図があるとき以外は、質問の形式を取らない。」というだけのことなのです。
もちろん、コーチングに長けた方は、「質問の意図のない質問」をうまくつかってモチベーションを引き出したり、行動変容を促すことができます。しかし、それは素人が表面をなぞってやれるようなかんたんなことではありません。むしろ、コーチング的な、それとは似て非なるコミュニケーションで被質問者にダメージを与えてしまうケースが少なくないのです。

また、質問ではない質問の欠点にはもう一つの別の欠点があります。それは、質問者がポジションを明確にしなくて済む、ということです。
パターン1については「不満がある」というポジション、パターン2については「君はやれる」というポジション、パターン3については「この場面ではこうすべき」というポジション。
ポジションを明確にするということは、そのポジションを取ったことが評価にさらされる(間違えていた場合にそれが白日の元に晒される)ということでもあります。そのため、自分で発言の方向性を決められる上司や先輩は、意識しないと質問に逃げてしまいがちだと、自戒しています。

いやー、久しぶりにブログにエントリー書きました。
出かけられない4連休も、悪いことばかりではないですね。
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