これは割賦販売で購入したものの、代金や通話料の支払いが滞っている端末や、携帯電話の販売代理店から盗まれた端末などを対象にしてソフトバンクモバイルが通話を規制する措置を取っていることによるもので、通話が規制された端末は電波状況を示すアンテナマークが通常とは違う赤色になり、電話の発信も受信もできなくなるとのこと。

そして大阪市の「eiYAAA」という会社が販売した中古携帯電話が突然通話不能になったというユーザーからのクレームが50件近く寄せられるなどしたため、通話規制によって所有権が侵害され、携帯電話端末の価値が損なわれたとして、近くソフトバンクモバイルを相手取って損害賠償請求訴訟を起こすとしています。
gigazineより
という、まぁ気持ちはよくわかるんだけどね、なんだかね、どうなんだろうね、という案件についてエントリーを書こうと思っていたんですが、気づいたらそこそこ時間がたってしまいました。

さて本件、一見して「少なくとも所有権侵害はないんじゃないか?」と感じますが、それはともかく、SBMの利用停止処理については疑問が残るところではあります。
というのも、SBMの3G通信サービス契約約款を読むと、SBMによる利用停止事由が列挙されている42条には、「端末の不正入手に起因した利用停止」は規定されていないようなのです。
(強いて言えば、携帯電話不正利用防止法7条違反(利用権譲渡時にキャリアから承諾をもらう義務)が近いですが、SIM(契約者特定記録媒体)を抜いた端末は通話可能端末設備等に該当しないはずなので、これには該当しないと思います。もし約款の読み違えがあったら教えてください。)

そもそも、通信サービス約款は通信サービスに関する諸々を規定するものであって、通信サービスとは無関係な端末の入手経路については通信サービス約款ではコントロールできないということは、当然といえば当然なはずです。

にもかかわらず、現実には、端末開発にはキャリアがずっぽりと関与し、開発した端末はキャリアがすべて買い上げ、あまつさえ売るときには無利子で割賦あっせんも行うという、端末売買と通信サービスがずぶずぶに絡み合った関係にあり、端末をちゃんと買ったやつにしか通信サービスを提供したくないというキャリアの思惑に引きずられ、なかなかそうも単純に言い切れないというのが現状だったりしています。

つまり、かつて販売奨励金制度が華やかなりし頃は、「端末は売り切るもので、通信サービスはそれとは別物」という割りきりがそれなりにはあったはずなのに、中途半端な総務省の茶々入れによって端末を割引販売しづらい状況が発生し、通信キャリアはそれを通信費の割引(または安価な料金コースの新設)に無利子かつ頭金が超低額の割賦(あっせん)販売を組み合わせるというひねくれた解決法を編み出し、結果として「ちゃんと割賦の年季を務め上げてない端末に通信サービスを提供するのは許せん!」みたいな想いが醸成されるということが本件の背景にあるんだと思うわけです。

でもさ、仮に端末が不正に取得されたものであったとしても、それを理由に当該端末を経由した通信サービスをとめるのはおかしいんだよね。やっぱり。
GIGAZINEでは、ドコモについて
ちなみにNTTドコモも同様の規制を行っていますが、中古携帯電話を利用しているユーザーが中古ショップなどから正規に購入したことを証明する書面を提出すれば、規制を解除している
なんて書いてるけど、そもそもこのドコモの規制だっておかしいはずなんだよ。なんで利用者側が事実上の立証責任を負わされなきゃならんのだ、と。止めるならSIMと紐付けて止めろよ、と。

この根底にあるのは、やっぱり「俺(キャリア)が端末を安い初期費用で売ってやったのに、通信サービスを受けてくれるはずという期待を裏切りやがって」という一方的な想いなんだろうって思う。端末販売で利益を上げないとやってけないってSBMの気持ちもわかるけどさ。別件じゃん。利用者からすれば「知らんがな」だよ。


とにもかくにも、この記事が事実であれば遠くない将来に訴訟が提起されるわけで、通信サービス停止の直接の被害者である通信サービスの契約者(中古端末の購入者)が原告じゃない分かなり筋は悪いんだろうけど、その成り行きが楽しみです。和解勧試に負けることなく、最後まで戦ってほしいですね。

それでは、おやすみなさーい。