訴訟を担当することになったら、何をおいてもまず最初に読むべき一冊として確固たる地位を(少なくとも僕の周りでは)築いている法務担当者のための民事訴訟対応マニュアルに続いて、田路先生が法務担当者向けの民法本をお書きになられたのでご紹介。
タイトルは、法務担当者のためのもう一度学ぶ民法(契約編)です。
・この本の何が優れているか
”法務担当者のための民事訴訟対応マニュアル”の最大の魅力は、それを読むだけで「訴訟を提起され後、いつ、何をすべきなのか」を把握できるという点でした。
ってことは、”法務担当者のためのもう一度学ぶ民法(契約編)”は、それを読むだけで「契約審査に関し、何をすべきなのか」を把握できちゃう・・・わけではないです。
ただその代わり、この本には、従来の契約法務本にはなかった「契約実務のOJTでは得ることの難しい”法律知識”を学べる」という得がたい魅力があります。
契約法務の担当者は、日々怒涛のように押し寄せる案件の荒波に揉まれながら契約書を作成・修正するスキルを身につけていくのですが、その半面、契約の前提となる法律知識を学ぶ機会はとても限定されています。
しかも、研修を通じて知識を得ようとしても、そもそも研修で取り上げられるテーマは規制法や特別法が中心で、最も基本となる民商法について実務的な知識を得る機会はとても少ないのが現実です。
これは、民商法の知識の位置づけが「法務であれば当然持っているべき基礎知識」だからなのかもしれませんが、「民商法?そんなもん基本だろ。」という法務担当者は、実はそんなに多くはなく、さらに、契約書が実際に裁判の場に引きずり出されるのはかなりレアケースであるため、法律知識を持っている方であっても、その法律知識が、具体的にどのように適用されているのかまでを身につけている方は、もっと少なくなるはずです。
(損害賠償責任の範囲に関する交渉で、「民法416条に反します」という驚愕の反論をされたことありませんか?僕はあります。2回も!)
この本は、そんな悲しい現実を改善できる、数少ないアイテムの一つだと感じました。
もちろん、この一冊で民法のすべては網羅されてはいない(例えば、債権総則の第一節(債権の目的)は、実務上あんまり使わないという理由で飛ばされてますし、物権に至っては個別事案を通じて触れられているに過ぎません)ので、右も左もわからないという段階で読んでもあまり効果は無いかもしれませんが、「法律の”ほ”ぐらいまでは触れたことがあるよ」という方が読むと、質のいい研修を受けたような読後感を得られると思います。
(実際、この本を頭から朗読するだけで、法務担当者向けの初級研修として成立してしまう気すらします)
その他にも、
法律学上の重要性ではなく、実務上の重要性に基づいてメリハリがつけられている
契約の成立から履行、終了そして執行まで、契約の一生を追う形式で構成されているので、自分が何を学習しているのかを見失わずに読み進められる
適用される条文が適宜差し込まれているので、各条文がどのように適用されるのかをイメージできる。
各章の冒頭の設問や豊富な裁判例の紹介を通じて、具体的な場面を想起しながら法律問題を考えることができる
といった優れた特徴を持つを含む本書は、法務に配属されたら、何をおいてもまず最初に読むべき一冊として、当社内で受け継いでいきたいと思います。
目次
■第1章 企業法の体系と民法
■第2章 契約締結前の法律関係(信義誠実の原則の問題)
■第3章 契約の締結−−意思表示と代理(民法総則の問題)
■第4章 契約の解釈(契約総論の問題)
■第5章 債権の効力と消滅(債権総論の問題)
■第6章 取引の終了
■第7章 契約を巡る紛争解決(裁判と執行の問題)
タイトルは、法務担当者のためのもう一度学ぶ民法(契約編)です。
・この本の何が優れているか
”法務担当者のための民事訴訟対応マニュアル”の最大の魅力は、それを読むだけで「訴訟を提起され後、いつ、何をすべきなのか」を把握できるという点でした。
ってことは、”法務担当者のためのもう一度学ぶ民法(契約編)”は、それを読むだけで「契約審査に関し、何をすべきなのか」を把握できちゃう・・・わけではないです。
ただその代わり、この本には、従来の契約法務本にはなかった「契約実務のOJTでは得ることの難しい”法律知識”を学べる」という得がたい魅力があります。
契約法務の担当者は、日々怒涛のように押し寄せる案件の荒波に揉まれながら契約書を作成・修正するスキルを身につけていくのですが、その半面、契約の前提となる法律知識を学ぶ機会はとても限定されています。
しかも、研修を通じて知識を得ようとしても、そもそも研修で取り上げられるテーマは規制法や特別法が中心で、最も基本となる民商法について実務的な知識を得る機会はとても少ないのが現実です。
これは、民商法の知識の位置づけが「法務であれば当然持っているべき基礎知識」だからなのかもしれませんが、「民商法?そんなもん基本だろ。」という法務担当者は、実はそんなに多くはなく、さらに、契約書が実際に裁判の場に引きずり出されるのはかなりレアケースであるため、法律知識を持っている方であっても、その法律知識が、具体的にどのように適用されているのかまでを身につけている方は、もっと少なくなるはずです。
(損害賠償責任の範囲に関する交渉で、「民法416条に反します」という驚愕の反論をされたことありませんか?僕はあります。2回も!)
この本は、そんな悲しい現実を改善できる、数少ないアイテムの一つだと感じました。
もちろん、この一冊で民法のすべては網羅されてはいない(例えば、債権総則の第一節(債権の目的)は、実務上あんまり使わないという理由で飛ばされてますし、物権に至っては個別事案を通じて触れられているに過ぎません)ので、右も左もわからないという段階で読んでもあまり効果は無いかもしれませんが、「法律の”ほ”ぐらいまでは触れたことがあるよ」という方が読むと、質のいい研修を受けたような読後感を得られると思います。
(実際、この本を頭から朗読するだけで、法務担当者向けの初級研修として成立してしまう気すらします)
その他にも、
といった優れた特徴を持つを含む本書は、法務に配属されたら、何をおいてもまず最初に読むべき一冊として、当社内で受け継いでいきたいと思います。
目次
■第1章 企業法の体系と民法
■第2章 契約締結前の法律関係(信義誠実の原則の問題)
■第3章 契約の締結−−意思表示と代理(民法総則の問題)
■第4章 契約の解釈(契約総論の問題)
■第5章 債権の効力と消滅(債権総論の問題)
■第6章 取引の終了
■第7章 契約を巡る紛争解決(裁判と執行の問題)
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