企業法務マンサバイバルのtacさんと小倉先生のやりとりを横から眺めて感じたこと。

tacさんがこちらのエントリー
このネット上の匿名・実名論争は何度も繰り返されていますが、あなたがこの議論に終止符を打ちたいのであれば、質問をこう置き換えて自問自答してみることをおすすめします。

「明日からあなたが住む国に、リアルでの匿名活動を一切認めないという規制ができるとしたら、あなたはこの国で暮らしていこうと思いますか?」

私はもはやネットはリアルそのものだと思っているので、ネット上での匿名規制ができることは憲法上の自由を失うことに等しいと考えます。

と言及したことについて、小倉先生がこちらのエントリー
私は、むしろ、質問をこのように置き換えて自問自答してみることをお勧めします。

明日からあなたが住む国に、司法権に服するか服しないかを個々人が自由に選択することができるという法制度が採用され、長きにわたりリアルでの違法行為、犯罪行為の被害にあっても、加害者が「司法権に服しない」という選択をしていた場合には、民事及び刑事的な救済を受けることができず、ひたすら泣き寝入りするしかないということになったとしたら、あなたはこの国で暮らしていこうと思いますか

と返しているのが今回のやり取りの要旨だと思うんだけど、これってあんまり噛み合ってないような。

tacさんはおそらく誰からも(極端な話政府からも)匿名性を奪われないようにせよと言っている訳ではなく、その一方で小倉先生はその意味を前提にでネットの匿名性に言及しているように読める。

誰からも匿名でいられるネットがあれば、そこはまさに小倉先生がおっしゃるような無法地帯が形成されるのだろうし、そんなネットは僕も勘弁してほしいと心から思うけど、「なんでもとにかく実名出して活動しろ」というのは、tacさんがおっしゃるようにリアルの世界の実情とも激しく乖離していて、これも勘弁してほしいとやっぱり心から思う。

てことは結局、お二人は「勘弁してほしい」と感じる両極端の局面についてそれぞれ言及しているだけにすぎないんじゃないかな。

「ISP以外のサービスプロバイダ(掲示板等)も必要な情報を必要な期間保存する仕組みが構築されて、その情報を適切な人(や機関)が適切な機会に引き出せるようになればいい」ということについては、お二人とも異存はないと思うんだけどね。

会社員として実名を出すことに対するハードルが高いtacさんと、事実上の匿名性の壁に起因するトラブルの処理を多く目にされてきたであろう小倉先生との立場の違いが、そのまま同じ問題を見る位置の違いに帰結しているようにも思えて、「ほほぅ」などと感じた朝でした。

では、今日も一日がんばりましょう。