破産から民法がみえるを読み終えましたので、レビューします。
これで1月分のノルマ達成!

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いいところ
  • 条文参照がきめ細かい
  • 判決文の引用が充実している
  • 実務上の意義についての言及が多い
  • 担保物権に関する理解が深くなる

残念なところ
  • いろんな意味で、読みづらい
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タイトル通り、「民法の破産に関連する制度」に触れた後、「破産法上の類似/対応する制度と対比する」という構成をとっており、この形式がハマった項目(詐害行為取消権の判例と否認権に関する破産法の規定とを対比する第14講など)では、まさに「破産から民法がみえる」読書体験を得られます。
また、実務上の意義や必要性についても多く言及がされているという点も、本書の優れた特徴だと思います。
さらに、本書でも触れられていますが、倒産時に真価を発揮する担保物権については具体的な効果に触れられるため、ぐっと理解が深まったように感じます。

ただ、その一方で、
  • 旧法に基づいた記述が厚すぎる
    段落の最後に、改正法で立法的に解決されている旨がさらっと書かれていて脱力することも。
  • 筆者の言いたいことについては、一般的な重要性に関わらず手厚く記載される傾向がある
    特に、「民法畑は破産法を意識していなさすぎ」ということは、食傷気味になるほど繰り返されます。
  • 同じ事柄に関する説明が何度も繰り返され、冗長さを感じることが多い
    よく言えば、通読するだけで復習もできるともいえますが(笑)
といった点が邪魔して、少なくとも僕にとってはあまり読み易い文章とは感じませんでした。

なお、タイトルは「民法がみえる」とありますが、民法が破産と重なる領域はそれほど多くは無いため、実際のところは「民法の特定の箇所(担保物権・相殺・詐害行為取消権など)について理解がぐぐっと深まる」と読み替えて読み始めた方が良いんじゃないかと思います(笑)

さて、次に読むのは池田先生の名入門書「スタートライン債権法」
注目は短歌だそうです!
・・・え、違うの?

新・破産から民法がみえる―民法の盲点と破産法入門
小林 秀之
日本評論社
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