先日、奥さんをして「そんなに好きならそれと結婚したら!」と言わしめるまでに濃密な時間を共にしてきたiPod touchを紛失してしまい、しばらく失意のあまりいつも通り仕事が手につかない日々を過ごしていたわけですが、あまりの落胆ぶりを見かねた奥さんがケータイ売り場でGalaxy Sを指さして「これに機種変すれば新しいの買うのと同じことなんじゃないの?」とここ数年目にしたことのなかった優しさを見せてくれたので、10年以上連れ添ってきたPHSに別れを告げ、先週末晴れて現代人の仲間入りを果たしました。この際、形はそっくりだけどiPhoneアプリの開発には使えないという事実は墓場まで持って行こうと思います。
さようなら、iPod touch。アプリの変な挙動を君のせいにしたことがあったことは本当にすまないと思ってるよ。
さようなら、Ades。君のひげ剃りのようなシルエットと極限まで突き詰めたもっさり感は一生忘れないよ!

と、ここからがようやく本題。
iPod touchとGalaxy Sは形もそっくりということもあって、僕も奥さんと同様、iOSからAndroidにOSが変わっても使い勝手はそんなに変わらないだろうと思っていたんだけど、とんでもござーせん。
丸一日思ったように操作できず戸惑うことになったので、同じような境遇の人が今後スムーズに移行する手助けになるよう、iOSからAndroidに移行するにあたって特に重要だな、と感じた点を3つだけ解説することにしました。


その1 アプリ側もメニューボタンと「戻る」ボタンを使うことを前提に作られている

iOS国では、前面に配置されているハードウェアボタンはホームボタンのみで、メニューを表示したり、画面を遷移させたりする場合、アプリ内に配置されたコントロール(ボタンやら何やら)を通じて行うことになります。
ですが、Android国では、メニューボタンというメニューを開くための専用ハードウェアボタンが存在しており、これを押さないことにはメニューを開くことができません
ここを押さえていない元iOS国民は「ダウンロードしたアプリの設定を変更できない」という高い壁を前にして途方に暮れてしまうことでしょう。

また、「戻る」ボタンもしかり。
多くのアプリでは「ひとつ前の階層/画面に戻る」という操作をハードウェアボタンの一つである「戻る」ボタンに割り当てているため、画面上には「戻る」ナビゲーションを司るボタンは用意されていないことがほとんどで、これまたアプリを終了させる時以外はハードボタンを使わないよう高度にしつけられているiOS国民は路頭に迷ってしまうことになります。
「戻る」ボタンを使わなければ、ソフトウェアキーボードをしまうことも、Alertを消すこともできないのですから。


その2 基本、アプリは殺さないと終了しない

独裁国家たるiOS国では、かつて「スクリーンに表示されていないアプリは漏れなく終了しているべし」という固い掟がありました。
iOS4以降この掟は緩和されたものの、依然として「スクリーンに表示されていないアプリは、おとなしくしてろ。あと、ふとした拍子に強制的に終了させられても文句をいうな」というデッドマンウォーキング状態に置かれることに違いはありません。
そのため、iOS国民は「何かあったらホームボタンで無かったことに」という安全策を国王から担保してもらえています。

しかし、自由を謳歌するAndroid国では、なんとバックグラウンドに追いやられたアプリも元気いっぱいに動きまわることが許されており、しかもどうやら多くのアプリはスクリーンから消えてもバックグラウンドで健やかに生き延びるようなのです。
つまり、ホーム画面に戻っても、メモリをバカバカ食い、電力をジャバジャバ消費するうっかりさんが今日もどこかで自由を謳歌していて、気づいたら国力が著しく疲弊しているなんてことが起こり得るのです。というか、何も対策しないと、普通にそんな状態になってしまいます。
そんなわけで、多くのAndroid国民は、大抵Task Killerと呼ばれる警察組織を導入して、このような不心得者を問答無用で射殺することにしているそうです。
23:00追記 と聞いていたのですが、新しいバージョンのAndroidではOSにタスク管理を任せても大丈夫になったというご指摘もいただきました。まだ新入り国民の僕にはまだ正しい判断が出来ません。ごめんなさい。

その3 使い勝手を向上させる方法が違う

iOS国でいうところのホーム画面は、インストールされた全てのアプリが並べられたカタログのような存在ですが、Android国でいうところのホーム画面は、自分が良く使うアプリやウィジェットを並べるWindows 7のデスクトップのような存在です。さらに、Android国では、iOS国のホーム画面と同様のカタログ(ドロワー)も用意されています。

iOS国では良く使うアプリを最初のページに持ってきたり、フォルダにまとめたりすることで使い勝手を向上させますが、Android国では良く使うアプリをドロワーからホーム画面に持ってきたりウィジェットを追加することで使い勝手を向上させます。

iOS国から移住した人にとってはAndroid国のドロワーに親近感を覚えるかもしれませんが、Android国のドロワーには、iOS国のホーム画面のような「カタログの並び順を入れ替えて使い勝手を向上させる」という発想は存在していません。前述のように、Android国での使い勝手向上は、専らホーム画面上で行うものなのです。
ドロワー上でアイコンを長押しすると自動的にホーム画面に遷移してしまうのは、つまりこういったことが理由なのです。

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以上、iOS国からAndroid国へ移住された皆様が快適な国民生活を送られることを祈念して午後の業務に励むことにします。

ではでは!