11月分のブックレビューネタとしては、「労働法のキモが2時間でわかる本」を用意していたのですが、tacさんが激賞していらっしゃるとあって「クラウドと法」読まずにはいられませんでした。
というわけで、以下レビューです。
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まず最初に言っておきたいのは、この本は間違いなく良書であるということです。
読みやすい筆致と、細かい個所はバッサリと「ここは細かい話なので」と落としていることが奏功し、かなり広範な領域について高い密度で言及しているにもかかわらず、混乱することなく読み進めることができました。
おそらく本書の狙いもそうだと思うのですが、法務担当者以上に、実際にクラウド関連のビジネスを展開している事業者の現場責任者や、クラウドサービスの導入を検討している経営者・情シス部門の方などが読まれたら漠然とした不安が解消(または確固たる懸念に進化)するという意味で有用なのではないだろうかと感じます。
ただ1点残念だったというか、期待していた分肩すかしだったのが、「クラウドと法」というタイトルであるにもかかわらず、(昔からあるホスティングサービスとの比較での)クラウド特有の法的な問題は結局ほとんど出てこなかったように感じたこと。
クラウドは、海外のデータセンターに情報を預けることとイコールではないし、経営上重要な意味を持つとも限らないのだから、海外のデータセンターに情報を預けることで発生するリスクを「クラウドのリスク」ということには強烈な違和感を覚えるし、「クラウドの導入は取締役会決議事項か」という問題提起もピントがずれているように感じます。
本書が「クラウドという言葉でいろいろなサービスがひとくくりにされて何がなんだかわけわからん」という現状をきれいに交通整理してくれるポテンシャル持っているからこそ、「クラウドの本質から直接発生する問題」と、「現状のクラウドサービスのよくあるパターンから発生する問題」とをきちんと分けてくれたらもっと良くなったんじゃないかなぁ、と思わずにはいられませんでした。
いずれにせよ、読んで損することはない1冊だと僕も思います。
というわけで、以下レビューです。
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まず最初に言っておきたいのは、この本は間違いなく良書であるということです。
読みやすい筆致と、細かい個所はバッサリと「ここは細かい話なので」と落としていることが奏功し、かなり広範な領域について高い密度で言及しているにもかかわらず、混乱することなく読み進めることができました。
おそらく本書の狙いもそうだと思うのですが、法務担当者以上に、実際にクラウド関連のビジネスを展開している事業者の現場責任者や、クラウドサービスの導入を検討している経営者・情シス部門の方などが読まれたら漠然とした不安が解消(または確固たる懸念に進化)するという意味で有用なのではないだろうかと感じます。
ただ1点残念だったというか、期待していた分肩すかしだったのが、「クラウドと法」というタイトルであるにもかかわらず、(昔からあるホスティングサービスとの比較での)クラウド特有の法的な問題は結局ほとんど出てこなかったように感じたこと。
クラウドは、海外のデータセンターに情報を預けることとイコールではないし、経営上重要な意味を持つとも限らないのだから、海外のデータセンターに情報を預けることで発生するリスクを「クラウドのリスク」ということには強烈な違和感を覚えるし、「クラウドの導入は取締役会決議事項か」という問題提起もピントがずれているように感じます。
本書が「クラウドという言葉でいろいろなサービスがひとくくりにされて何がなんだかわけわからん」という現状をきれいに交通整理してくれるポテンシャル持っているからこそ、「クラウドの本質から直接発生する問題」と、「現状のクラウドサービスのよくあるパターンから発生する問題」とをきちんと分けてくれたらもっと良くなったんじゃないかなぁ、と思わずにはいられませんでした。
いずれにせよ、読んで損することはない1冊だと僕も思います。
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