シチュエーション別提携契約の実務を読んだのでレビュー。

「提携契約」というもんのすごく広い範囲を対象にしていることから、散漫な内容になってるんじゃないかと疑っていたのですが、まったくもってそんなことはありませんでした。

この本は、
・(1)代理店契約、(2)ライセンス契約、(3)合弁契約、(4)株式買取契約の4つについて、
・当事者間の意見が対立しがちな論点にフォーカスして、
・実際の条項例を出しつつ
・双方の立場の思惑や考え方を垣間見ながら
・落しどころに落ち着くまでを見届ける
という本であって、散漫どころかグッとメリハリの利いた良著だったのです。

契約条項について解説している本は少なくないですが、各当事者の主張や思惑、そして落しどころまで追っている本は、僕は他には知りません。
本を読んでいるのに、OJTに近い感覚で知識を習得できるという意味で、多くの契約書をドラフティング・チェックしてきたTMIの経験・知見の積み重ねが行間からにじみ出ているように感じます。

少なくとも国内契約でそんな条件設定しないだろ、と突っ込みたくなる、過度にテクニカルな条項も飛び出てきたり、契約スキームの検討がもう濃かったら良かったな、といった要望事項もあるにはありますが、読後の満足度はとても高かったです。文章もすごく読みやすかったですしね。

ベンチャー企業の法務・財務戦略のようにこってりと踏み込んだ何かがあるわけではないので、日ごろから実務でバリバリ上記の4契約を見ている人(後ろの2つについてはそんなに多くないと思うけど)には物足りないかもしれませんが、そうでない方にはかなりお勧めできる一冊です。