あけましておめでとうございます!
村上龍は昔エッセイで、「結婚をめでたいこととは思えないが、誕生日と年始は1年間生き残ることができたという意味で、おめでたいことだ」と言っていました。ふぅん。
さて本題ですが、年始の休暇を使って、いつかやろうと持っていた類似サービスの利用規約比較をやってみることにしました。

まずはGREEmobageという二大SNSの利用規約比較からスタートしたいと思います。
(以下、太字は全て筆者)




1.変更同意
GREE
1−3 本利用規約および個別規程(以下、併せて「本利用規約等」といいます)については、ユーザーに対する事前の通知なく、グリーが変更できるものとします。本利用規約等が変更された場合、当該変更後のユーザーによる本サービスの利用には変更後の本利用規約等が適用されるものとし、当該利用により、ユーザーは当該変更に同意したものとみなされます。
※前文にも同趣旨の文言がある

mobage
第2条 当社は、本規約及び個別規約を変更することができるものとします。本規約及び個別規約を変更した場合、料金その他の本サービスに関する一切の事項は変更後の規約によるものとします。


書きぶりは異なるものの、両者ともサービスプロバイダ(SP)が任意に変更でき、ユーザーからのオプトインは求めておらず、またオプトアウトの手段も用意されていません。
規約の文言よりも実際の運用によって評価が分かれる事項だと思うので、規約の文言だけをもってどうこう言うのはナンセンスですが、新しい利用規約でまれに見かけるような工夫や苦労の形跡は、特には見当たりません。


2.入会条件
GREE
6ー柱書
利用登録に以下の事由があるとグリーが判断した場合、グリーは利用登録を承認しないことがあります。
1 本利用規約等に違反したことがある者からの利用登録である場合
2 本利用規約等に違反したことがある者からの招待による利用登録である場合
3 登録情報がグリーまたは第三者になりすますことを目的としている場合
4 登録情報が第三者に嫌悪感を与えるまたは公序良俗に反する表現を含んでいる場合
5 前各号以外で、グリーが不適切な利用登録であると判断する場合

mobage
第3条
2 当社の定める携帯電話事業者の付与するメールアドレス及び当社の定める携帯電話機を有しない方は当社の特別の承認を得ない限りモバゲー会員となることができないものとします。
3 日本国外に在住の方は入会できません。
第7条
3 当社が会員資格を取り消したモバゲー会員は再入会することはできません。


「なんで会員登録できねぇんだよ」というクレームに対し、「ここに書いてあります」と答えられるという、実務上は意外に重要な条項。
GREEがなりすましをNGとし、mobageが携帯電話不所持者と海外在住者をNGとしているのが特徴的ですね。
ただ、申し込み受付時点で「なりすまし目的」って判定できるんでしょうか。


3.SPの損害賠償責任の限定
GREE
9−2 ユーザーは、(1)本サービスを利用したこと、または利用ができなかったこと、(2)不正アクセスや不正な改変がなされたこと、(3)本サービス中の他の ユーザーによる発言、送信(発信)行為、(4)その他の行為、第三者のなりすまし行為、(5)その他本サービスに関連する事項に起因または関連して損害が生じた場合について、グリーの責に帰すべき事由がある場合に限り、グリーに対し損害賠償を請求できるものとします。また、ユーザーは、グリーに故意または重過失がある場合を除き、いかなる場合においても、(i) かかる損害賠償の対象となる損害が、グリーの責に帰すべき事由に起因して現実に発生した、直接かつ通常の範囲の損害に限定されること、および(ii)グリーがユーザーに対して賠償する損害の累積額は、グリーが本サービスに関連してユーザーから支払を受けた金銭の合計額を上限とすることに同意します。

mobage
第12条
1 当社は、本サービスの内容、ならびにモバゲー会員が本サービスを通じて入手した情報等について、その完全性、正確性、確実性、有用性等につき、いかなる責任も負わないものとします。
2 モバゲー会員は自らの責任に基づいて本サービスを利用するものとし、当社は本サービスにおけるモバゲー会員の一切の事項について何らの責任を負いません
3 モバゲー会員は法律の範囲内で本サービスをご利用ください。本サービスの利用に関連してモバゲー会員が日本及び外国の法律に触れた場合でも、当社は一切責任を負いません
4 本規約において当社の責任について規定していない場合で、当社の責めに帰すべき事由によりモバゲー会員に損害が生じた場合、当社は、1万円を上限として賠償します。
5 当社は、当社の故意または重大な過失によりモバゲー会員に損害を与えた場合には、その損害を賠償します。


ご存知、消費者契約法で条項丸ごと全部無効になる可能性がある、利用規約のホットトピックの一つです。
GREEは、損害賠償請求ができる場面を限定列挙しつつ、故意・重過失時には適用されない損害賠償の範囲と上限を設定するという方法を採るという、消費者契約法対応としては極めてオーソドックスな対処をしており、その内容も穏当ですが、mobageは一瞬「ん?」と感じる内容です。
1項、2項、3項で免責を定めつつ、4項でそれからもれた場合には1万円を上限として賠償するという建て付けですが・・・1〜3項の免責から漏れるケースが特にないのであれば、4項は形式的に存在しているだけであって事業者責任の全部免責と捉えられる余地もあるんじゃないかという気がしますが、どうなんでしょうか。
また、5項と1〜4項の優先関係も明示されていないため、1〜4項が故意・重過失時の一部免責であると読むことも可能であるように感じます。


4.ユーザーのSPに対する損害賠償責任
GREE
3−4 ユーザーは、パスワードの不正使用によってグリーまたは第三者に損害が生じた場合、グリーおよび第三者に対して、当該損害を賠償するものとします。
9−4 ユーザー間で紛争が起こった場合、紛争の当事者である当該ユーザーは自己の責任で解決するものとし、グリー、他のユーザー、ユーザー以外の第三者が損害を被った場合は、当該ユーザーはこれを賠償するものとします。
9−5 ユーザー以外の第三者とユーザーの間で紛争が起こった場合、紛争の当事者である当該ユーザーは自己の責任で解決するものとし、グリー、他のユーザー、ユーザー以外の第三者が損害を被った場合は、当該ユーザーはこれを賠償するものとします。
9−7 ユーザーにより第三者の権利の侵害があったときに、第三者からのクレームや請求への対応に関連してグリーに賠償金、その他の費用が発生した場合、紛争の当事者である当該ユーザーは当該賠償金その他の費用等(グリーが支払った弁護士費用を含みます)を負担するものとします。

mobage
なし


相当悪質であったり、組織的な犯罪行為でない限り、コスト面でもレピュテーションの面でも、SPがユーザーに損害賠償請求を行うケースはまれであり、規約にもSPのユーザーに対する損害賠償請求権を明記することは多くありません。
しかし、GREEは4回も繰り返しこのような損害賠償責任を明記しています。たぶん、特に深い意味はないとは思いますが、何か意味があるならちょっと聞いてみたい気はします。
なお、対価支払に関する遅延損害金については、逆にmobageは14.6%の約定利率を設定している反面、GREEの利用規約には遅延損害金の約定利率の規定は見当たりませんでした。


5.サービスの中止・停止
GREE
9−1 グリーが必要と判断した場合には、ユーザーに通知することなくいつでも本サービスを変更、停止または中止することができるものとします。グリーが本サービスを変更、停止または中止した場合や、事件・事故等によりやむを得ずサービスを変更、停止または中止せざるを得なかった場合にも、グリーはユーザーに対して一切責任を負わないものとします。サービスの一部のうち、期限を定めてリリースしたものについては、定められた期限の経過をもってその一部は停止され、この際のグリーのユーザーに対する責任についても同様とします。

mobage
第8条
1 当社は、メンテナンス等のために、モバゲー会員に通知することなく、本サービスを停止し、または変更することがあります。
3 当社は、本サービスに中断、中止その他の障害が生じないことを保証しません。


どちらもSPの判断で事前にユーザーに通知すること無く中止・停止を行えるように規定しています。
停止はともかく、ユーザーに通知をせずにサービスを中止することはほとんどあり得ないので、せめて事後通知くらいは書いた方がいいと思っていたのですが、両社とも、利用規約上は特に記載はしていませんでした。考えてみれば、中止する前にここにこだわるユーザーさんはほとんどいないと思うので、それでいいのかもしれません。

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比較を行う前は、相互に相当意識しながら利用規約を作っているんじゃないかと推測していたのですが、少なくとも外身からはお互いの規約を参考にし合っているような形跡は見当たりませんでした。
そういうものなんですかねぇ。


さて、次回以降は、
・禁止事項と禁止時の効果
・著作権の取り扱い
・仮想通貨の取り扱い
・個人情報の取り扱い
などを比較したいと思います。

では、本年もよろしくおねがいします!