その1はこちらからどうぞ。

さて、GREEとmobageの利用規約比較の第2回目は、禁止事項と違反時の効果についてです。

まずは禁止事項から。
ちょっと長いですが、まずは原文をどうぞ。

1.禁止事項の原文
GREE
5−3 前項に定めるユーザーが本サービスを利用して投稿・編集した文章、画像、映像(動画)等についての著作権を除き、本サービスおよび本サービスに関連する一切の情報についての著作権およびその他知的財産権はすべてグリーまたはグリーにその利用を許諾した権利者に帰属し、ユーザーは無断で複製、譲渡、貸与、翻訳、改変、転載、公衆送信(送信可能化を含みます)、伝送、配布、出版、営業使用等をしてはならないものとします。

8 本サービスの利用について、ユーザーの故意・過失を問わず以下の各項に該当するとグリーが判断する行為を禁止します(これらの行為は、ユーザーの日記、コミュニティ、伝言板、メール、友だち希望等、GREEのいかなるサービス・機能を利用してなされたかにかかわらず、禁止されます)。…
  1. 反社会的行為
    1. 法令または公序良俗に違反する行為
    2. 犯罪行為またはこれを予告、関与、助長する行為
    3. 虚偽または誤解を招くような内容を含む情報等を掲載、登録する等の行為
    4. 通常利用の範囲を超えてサーバーに負担をかける行為、およびそれを助長するような行為、その他本サービスの運営・提供または他のユーザーによる本サービスの利用を妨害し、またはそれらに支障をきたす行為
    5. 第三者の産業財産権(特許権、商標権等)、著作権、企業秘密等の知的財産権を侵害する行為
    6. 第三者の信用もしくは名誉を侵害し、または第三者のプライバシー権、肖像権その他一切の権利を侵害する行為 。この際、第三者については個人・法人/私人・公人の別を問わず、第三者の特定についてはユーザーID、ニックネーム、本名、ユーザーへのリンク等の記載形態、手段を問わない。
    7. 自殺、自傷行為、薬物乱用等を美化・誘発・助長する恐れのある言葉、その他の表現の掲載行為
    8. ストーキング行為を行う等、方法のいかんを問わず、第三者に対する嫌がらせ行為
    9. 民族・人種・性別・年齢等による差別につながる表現の掲載行為

  2. わいせつ・暴力的表現・出会い目的行為
    1. モザイク、ぼかしの有無、美術性に係わらず、下着姿を含む露出度の高いヌード、胸や臀部等のアップや性器が露出した写真等、その他卑猥と判断される画像・映像(動画)・イラスト・絵画の掲載、および性行為や性器に該当する言葉、その他猥褻的な表現の掲載行為
    2. 暴力的、グロテスクな写真、およびその他一般ユーザーが不快に感じる画像、言葉など、その他の表現の掲載行為
    3. サービス内での性行為表現、またはそれを意図した表現の掲載行為
    4. リンクを張る等して、アダルトサイトに誘導する行為
    5. 児童買春・ポルノ、無修正ビデオ映像のダウンロードサイト等へのリンク掲載行為
    6. レビューや日記、その他本サービスを使ってアダルト関係の商品について紹介する行為
    7. 異性との出会い等を希望、または誘導することが主目的であるとグリーが判断する一切の行為
    8. その他、未成年者の人格形成等に悪影響を与えると判断される行為 (刺青・未成年者の飲酒、喫煙等)

  3. 商業行為
    1. 営利・非営利目的を問わず、物やサービスの売買・交換(それらの宣伝・告知・勧誘を含む)を目的とする情報の掲載または、メールの送信行為(ただし、グリーが許可したものを除く) ※無料セミナー等の情報であっても、当該セミナー等で物品を販売したり、契約を締結させるような内容のセミナーであれば本号で掲載が禁止される情報に該当するものとみなします。
    2. ユーザーが、グリーの提供する本サービスについて、その全部あるいは一部を問わず、商業目的で利用(使用、再生、複製、複写、販売、再販売等、形態のいかんを問いません)する行為(ただし、グリーが許可したものを除く)
    3. ユーザーが、本サービスを通じて入手した全ての情報について、複製、販売、出版、公開その他の方法において、個人としての私的使用以外の使用をする行為、また、他のユーザー、ユーザー以外の第三者をして同様の行為をさせる行為
    4. 宣伝・告知・勧誘等を目的とする日記・コミュニティ・メール機能等を利用した同一趣旨の複数の発信や掲載(マルチポスト、スパムメール、チェーンメール等を含む)、およびコミュニティ参加者の趣旨と異なると思われるコミュニティ等への掲載行為
    5. 次に掲げる内容の情報を、掲載または送信する行為
      • ねずみ講、チェーンメール、MLM(マルチレベルマーケティング)、リードメール等の第三者を勧誘する内容の情報
      • アフィリエイトや招待することでポイント等の利益が発生するサイトへ誘導する情報(ただし、グリーが認めるものを除く)
      • 情報商材を含む情報
    6. 営利・非営利を問わず、全ての医療及び医療類似行為(その形態において薬剤の利用、スピリチュアル、パワーストーン、カウンセリング、占い行為、等を問わない)(ただし、グリーが許可したものを除く)。
    7. 他のユーザーの個人情報を収集、蓄積する行為、またはこれらの行為をしようとすること

  4. 個人情報掲載行為
    1. 本人、第三者の如何を問わず個人のメールアドレス、電話番号、ナンバープレート、金融機関口座番号、住所など個人と特定しうる情報の掲載行為 ※なりすまし晒し目的投稿や、出会い系サイト類似利用を防止する為、ご協力をお願いします。
    2. 虚偽の情報(名前、誕生日、メールアドレス、住所などの個人情報を含む)を掲載、登録することで第三者になりすます行為、また、ユーザー本人に許可を受けた場合であっても、ユーザー本人以外が登録情報(メールアドレスやパスワード等)を利用して本サービスを利用する行為

  5. その他
    1. 無差別にメール送信・友だち希望・コミュニティ参加依頼・メッセージ投稿を行う行為
    2. 政治活動、宗教活動行為(ただし、グリーが許可したものを除く)
    3. 違反行為により利用停止されたユーザーが再度サービスに登録する行為
    4. 違反行為により利用停止されたユーザーを故意または過失により招待する行為
    5. 面識の無い方へ招待状を送る行為。特に、他のブログや掲示板等を介しての招待状の譲り受け行為
    6. 招待状を第三者へ譲渡する行為、またユーザー資格を第三者に利用させるまたは譲渡する行為
    7. 1つのユーザー資格を複数人で利用する行為
    8. 1人で複数のユーザー資格を保有する行為
    9. サービスの一部の利用権をグリーが定めた方法以外の方法で譲渡する行為
    10. サービスの一部の利用権をもって、現金その他の財物、財産上の利益との交換取引をすること、または交換取引をすることの宣伝・告知・勧誘する行為
    11. アクセス誘導等を目的として、無差別かつ大量にアクセス履歴を残す行為
    12. その他、グリーが、合理的な理由に基づき不適切と判断する行為

mobage
第1条4項
モバゲー会員はモバゲー会員資格を第三者に利用させたり、貸与、譲渡、売買、質入等をすることはできないものとします。

第4条2項
モバゲー会員は、会員資格を有する間、携帯電話機及びパスワードを第三者に利用させたり、貸与、譲渡、売買、質入等をすることはできないものとします。

第5条1項
...モバゲー会員は以下の情報を記述することはできません。
  • 真実でないもの
  • 他人の名誉または信用を傷つけるもの
  • わいせつな表現またはヌード画像を含むもの
  • 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、肖像権その他の他人の権利を侵害するもの
  • コンピューターウィルスを含むもの
  • 異性交際を求めるもの
  • 異性交際の求めに応じるもの
  • 異性交際に関する情報を媒介するもの
  • 公序良俗に反するもの
  • 法令に違反するもの
  • 当社の認めるサイト以外のサイトへのリンク、URL
  • その他当社が不適当と判断したもの

第6条7項
モバゲー会員は個人情報保護法に違反する行為を行ってはならないものとします。

第7条1項 【柱書省略】
  1. 会員登録申込みの際の個人情報登録、及びモバゲー会員となった後の個人情報変更において、その内容に虚偽や不正があった場合、または重複した会員登録があった場合
  2. 本サービスを利用せずに1年以上が経過した場合
  3. 他のモバゲー会員に不当に迷惑をかけたと当社が判断した場合
  4. 本規約及び個別規約に違反した場合
  5. その他、モバゲー会員として不適切であると当社が判断した場合



まず驚いたのは、DeNAは、少なくともモバゲー会員規約上では、禁止事項条項をあまり充実させていないことです。(便宜上違反時の効果の条項である7条1項各号を上記に盛り込みましたが、これを禁止行為に含めなければさらに規定は少なくなります。)
1対多のウェブサービスの利用規約において、禁止事項はその根幹とも言えるものであり、かつサービスの内容によって定めるべき内容は多種多様であるため、禁止事項の記載方法や網羅性については、各事業者(の利用規約担当者)が最も力を入れる部分の一つです。
おそらくは詳細な禁止事項については各サービスの個別規程に書くというスタンスを取っていらっしゃるのだとは思いますが、それでも珍しいケースだと思います(ルートの利用規約に書かないと、同意取得やメンテナンスが大変になってしまうため)。
対してGREEは、「反社会的行為」「わいせつ・暴力的表現・出会い目的行為」「商業行為」「個人情報掲載行為」「その他」という5つの大分類に分けて、合計40項目もの禁止事項を列挙しています。(3-eを3項目としてカウント)
とりあえず、禁止事項に何を書けば良いのかわからない場合は、GREEの禁止事項をパク・・・参考にしておけば間違いは無いと思える程の網羅製だと感じました。

また、DeNAは、「会員資格を有する間携帯電話機を第三者に利用させるな」という新たな炎上の火種になりうるポテンシャルを持つ禁止事項を設けています。
この禁止事項の背後にある「やりたいこと」についてはよく理解できるのですが、mixi利用規約の著作権処理関連で発生した炎上案件に見られるように、「やりたいこと」と「書いてあること」の乖離は、時によく燃える燃料となってしまいます。
個人的には実務を無視し、文字面だけを見て煽るような行為は大嫌いなのですが、利用規約を作る側としてはどんなに注意しても注意し過ぎにはならない重要ポイントなので、他山の石としたいところです。
ちなみに、携帯電話機の定義は「会員登録または変更登録に使用した携帯電話機もしくは当該携帯電話機のSIMカード」です。

なお、禁止事項に違反したか否かを争うのはとても大変なので、禁止事項の該非についてはSPの判断に委ねるような規定を設ける必要があります。
この点、GREEは「その他、グリーが、合理的な理由に基づき不適切と判断する行為」と規定し、mobageは「その他、モバゲー会員として不適切であると当社が判断した場合」と規定しています。


2.禁止時の効果
GREE
6ー柱
利用登録に以下の事由があるとグリーが判断した場合、グリーは利用登録を承認しないことがあります。
1 本利用規約等に違反したことがある者からの利用登録である場合

8 …禁止行為を行った場合は、事前の告知なく該当箇所の削除や本サービスの利用停止、ユーザー資格の剥奪を行う場合があります。その場合、削除結果および利用停止措置に関する質問・苦情は一切受け付けておりません。 なお、ユーザーのご事情により、グリーからのメールを確認できなかった場合も、本利用規約等に則った対応をさせていただきますのであらかじめご了承ください。

mobage
第5条2項 当社は、モバゲー会員記述情報が本規約に違反する場合、その他の当社が不適当と判断した場合には、モバゲー会員記述情報を削除することができるものとします。


第7条 モバゲー会員規約の違反等について
  1. モバゲー会員が以下の各号に該当した場合、当社は、当社の定める期間、本サービスの利用を認めないこと、又は、モバゲー会員の会員資格を取り消すことができるものとします。ただし、この場合も当社が受領した料金を返還しません。
    【以下、禁止事項】
  2. 当社が会員資格を取り消したモバゲー会員は再入会することはできません。


違反時の効果に実質的な相違はなさそうです。
いずれも、
1.情報の削除
2.利用停止
3.会員資格の停止
4.再入会の制限
を規定しています。
1、2、3の順に重い措置となり、4で1〜3の実効性を担保しています。
今まで意識したことは無かったのですが、この3段階+1は、ゴールデンパターンなのかもしれませんね。

というわけで、禁止事項関連はここまでです。
まだまだつづきますよー。