こんにちは。
突然ですが、師匠、商法総則参照し賞賛を素早く3回口に出して言ってみてください。
どうでしたか?

じつはこれ、難しいのは「総則」のところだけなんです。
難しいように見えて、実はかんたんということ、世の中には結構たくさんあるみたいですよ。


えー、さて、タイトルのとおり、今回のテーマは「登録不要の無料サービスに関する利用規約」についてです。

登録不要の無料サービスと言うのは、たとえばニュースサイトとか、お天気情報サイトを想定しているわけですが、これがなんでわざわざブログで取り上げるようなテーマになるかと言うと、このようなサービスは、ユーザーから明示的な同意を取るチャンスが基本的にはない、という特徴があるからです。(だからこそ、気軽に利用でき、ユーザーのすそ野を広げやすいわけですが。)

この点について、先日開催された利用規約ナイトVol2のパネルディスカッションで「ユーザーから利用規約に対する許諾を取らなくても利用規約によって拘束できるような方法はないか」という質問を頂き、また先日の長い名前のイベントでもまた同様のご質問がありました。

ご存知の通り、契約は意思の合致によって成立する法律行為なので、ユーザーからの明示的な同意を取れないとなると、「利用規約によってユーザーを拘束する」=「ユーザーとの間で利用規約を内容とする契約を締結する」ということは、とても難しいということになります。
そのため、利用規約ナイトVol2での回答も「原則として、同意を取らなきゃユーザーを拘束できません」であり、先日の長い名前のイベントでの回答も「同意を取らないと厳しいが、同意を取れないのであれば、ユーザーの目につきやすい場所に利用規約を常に表示しておくことでなんとか・・・」といった感じだったと記憶しています(完全に僕の記憶頼りの再現なので、勘違いや誤解をしていたらごめんなさい。)

この回答は、契約の原則に照らせば当然の結論ではあるのですが、その一方で、どうしても違和感を拭い去ることができません。
そんなわけで、今日のお昼にお弁当を食べながらもう一度考えてみたところ、どうやら違和感の源泉は、「登録不要の無料サービスって、そもそもユーザーとサービスプロバイダの間に何の契約もないんじゃね?」ということに思い至りました。
これはつまり、何の契約もなければサービスプロバイダはユーザーに対して契約責任は負わないので、まっとうなウェブサービスを展開しているだけであれば、ユーザーに対してもともと何の責任も負ってない(だから、利用規約なんて不要)と言うことになるんじゃないか、ということです。

「仮にユーザーに対して法的責任を負わないとしても、事実上のクレームを捌くために利用規約はあった方がいいんじゃないか」、というご指摘もあるかもしれませんが、そもそもユーザーに対して何の責任も負っていないのであれば連絡先を明らかにする必要もないわけで、連絡先を隠しちゃえばクレームどころかユーザーから何の連絡も受けずに済んでしまいます(それをサービスプロバイダが望むことかはわかりませんが・・・)

といったところで、お昼休み終わりでーす。




【追記】
Twitterで以下のご指摘を頂きました。ご指摘の通りだと思いますので、本エントリー中の「登録不要」は、「ユーザーから同意を得るチャンスの無い」に読み替えていただければと思います。
ご指摘ありがとうございました!