ステルスマーケティングの一種として、広告表示(PR表記など)を伴わない記事広告(記事の体裁をとった広告)が問題視されることが多くなってきました。
個人的にはPR表記をしていない記事広告は嫌いですし、また、ユーザーを欺いて広告にアクセスを集めているという意味でお行儀が悪いのは間違いないとは思うのですが、果たして「違法なのか」というと、すぐに答えを出せない方は少なくないのではないでしょうか。

というわけで、今回はPR表記を伴わない記事広告の適法性について、ちょっと考えてみたいと思います。

1.前提
まず、僕の知る限り、PR表記を伴わない記事広告(無表記記事広告)が違法になるとすると、その原因は景表法の優良誤認(§4機複院法砲覆里如∈2鵑鰐吃週記事広告が優良誤認に該当するかに絞って検討します。(他にあれば、教えてください)
また、記事広告といってもその内容は様々ですが、ここではJIAAがスポンサードコンテンツと定義するものをさすことにします。(http://www.jiaa.org/download/150318_nativead_words.pdf)
さらに、内容自体が優良誤認表示に該当する記事広告も少なくありませんが、今回はPR表記がついていれば問題にならない内容のものであることを前提にします。

2.優良誤認とは
優良誤認に該当するかを検討するにあたっては、そもそも優良誤認とは何かを正確に把握する必要があります。
というわけで、優良誤認表示を禁止している景表法第4条1項1号を見てみましょう。
第四条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一  商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
〜以下略〜
続いて、PR表記に関して問題になる要件を検討していきます。

・「自己の供給する商品又は役務の取引について表示」
優良誤認が禁止される主体は、「自己の供給する商品又は役務の取引」について表示をしている事業者です。
この点、記事広告においては、表示をしているのはメディア側であって、メディアは第三者である広告主の供給する商品又は役務の取引に関する表示をしているわけで、「自己の供給する商品又は役務の取引」について表示をしているわけではありません。
他方、広告主も、自ら「表示」をしていないので、一見、広告主とメディアのいずれも、「自己の供給する商品又は役務の取引について表示」していないようにも思えます。
しかし、不当表示規制における表示の主体は、「問題となる表示の内容の決定に関与した事業者」であり、その中には、自分で表示内容を決定できる立場にあるにも関わらず、「他の事業者にその決定を委ねた事業者も含まれる」とされています。(景品表示法〔第4版〕p61・東京高裁平成19年(行ケ)第5号)
そして、記事広告における広告主は、まさに「他の事業者にその決定を委ねた事業者」に該当するので、広告主は「自己の供給する商品又は役務の取引について表示」の要件を満たすことになります。
さらに、メディアは、表示主体である広告主とともに表示に関与した者として責任を問われる可能性があることになります(行政法がよくわかってないのでここのところの理屈は正確に分かってないです。ごめんなさい。)
↑と当初は書いてましたが、(景品表示法〔第4版〕の43ページには、「メディア媒体(新聞社、出版社、放送局等)は、当該商品または役務の広告の制作等に関与していても、当該商品または役務を自ら供給していない限り、景品表示法の規制の対象とはならない」って書いてありました。ごめんなさい。

・「実際のものよりも著しく優良であると示す」
広告主とメディアのいずれも優良誤認表示の主体になるとしても、単にPR表記を欠いたことが「実際のものよりも著しく優良であると示す」ことになるのかについては、さらに検討が必要です。
なぜなら、前提記載の通り、今回検討対象にしている記事広告は、その内容自体は優良誤認性がないものであるからです。逆に言えば、内容自体が優良誤認性がある場合は、PR表記があったとしても、普通に優良誤認表示として景表法違反になるはずです。
さて、「実際のものよりも著しく優良」か否かは、「一般消費者の自主的かつ合理的な選択を確保するという景表法の目的から合理的に解釈すると、一般消費者の誤認を招くか否かで判断することになる」とされています。(景品表示法〔第4版〕p70)
この点、PR表記それ自体は、「実際のものよりも著しく優良であると示す」表示ではないので、一見PR表記の有無と優良誤認とは無関係であるようにも思えます。
しかし、純粋な広告・宣伝の表示についてはある程度の誇張が行われることが一般消費者にも理解されており、一般消費者の誤認を招かないことから、ある程度の誇張は優良誤認に該当しないとされています。
そして、PR表記のない記事広告については、読者はあくまで記事として読む以上、前述の「許容される誇張」の幅は非常に小さくなり、その結果として、PR表記をしていれば問題なかった記事広告が、PR表記を欠いたことを理由に優良誤認に該当するという可能性はあるのではないかと思います。
具体的には、あきらかな広告の中の「食べたことのないほどおいしい林檎です」という表記と、記事コンテンツの中の「食べたことのないほどおいしい林檎です」という表記は、一般消費者にあたえる印象が大きく異なる、ということです。

3.結論
記事広告がPR表記を欠く場合、通常の広告では許容される範囲の誇張表現が記事コンテンツの外形をとることによって優良誤認性を有することになり、不当表示になる可能性がある・・・かもしれない


出がけにがーっと書いて、見直しもせずにアップロードしてしまうので、おかしな記載があるかもしれませんが、何か見つけたら教えていただけると嬉しいです。