法務系アドベントカレンダー2020二日目のエントリーです。



はじめに


当初はアドベントカレンダーのネタとして、何かしらのTipsネタを書こうかとも思ったのですが、せっかく普段触れない人の目に触れる可能性のある機会なのでもうちょいエモいことを書いてみようと考え直し、法務の人の大好物である「法務の存在意義」を取り上げることにしました。

さて、今も昔も、法務の人は「法務の存在意義」みたいな話題が大好きです。
ただ、法務であろうが営業であろうがディレクターであろうが広報であろうが、会社に雇われている以上、存在意義を最も抽象化すると「企業価値の最大化」に行き着くはずなので、法務の存在意義も、結局の所、どうやって企業価値の向上に寄与しているのかという観点を離れることはでぎせん。

では、法務は、というか法務であるあなたは、どうやって企業価値の向上に寄与しているでしょうか。

コストはほんとに減ってる?


企業価値を向上させるためには、収益最大化するというわかりやすいものに加え、収益とは直接結びつかない社会貢献という形でも寄与することができます。
また、収益については売上とコストが影響し、コストはさらに足元のコストと、潜在的な将来コストに分解することができます。(もちろん、他の分類の方法もあると思います)
これを図式化したものがこちらです。
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さて、法務としてあなたが貢献しているのは、上記のどのポイントでしょうか。

おそらく、ほとんどの方が「将来コスト(リスク)の最小化」を挙げたのではないかと思うので、それを前提に次の質問をします。

あなたの寄与によって、将来コストは、どのくらい下がったのでしょうか。
その下がったコスト分と、あなたに対して会社が負担しているコストである「人件費+法定福利費+福利厚生費+交通費(これは今発生していないかもですが)などなど」との差分が、地に足のついた「あなたの存在意義」だと思うのです。


あなたが会社にとって有益なのは、あなたに支払っているコスト以上にあなたが会社に価値を返している場合に限られます。もしそれが釣り合っていない場合には、あなたは会社や他のメンバーにとってのお荷物でしか無いわけです。そうなると、もはや法務の存在意義をクリエーション機能、ナビゲーション機能などとかっこよく論じている場合ではありません。法務以前に、あなた自身の存在意義が危機に晒されているのです。

また、業務効率化を推進することにより、足元のコスト削減に寄与している、とおっしゃる方もいるかも知れません。しかし、その削減したコストって、本来必要なコストだったのでしょうか。
法務として、本来不要な障壁を高々と築き上げ、それを壊したことを指して業務効率化とうそぶいていないでしょうか。
それは、一般的には業務効率化ではなく、マッチポンプと呼ばれている行為です。

法務は有用だからといって、あなたが有用とは限らない


こんなこと言うと、私が法務の存在意義を否定しているように捉えられてしまうかも知れませんが、そんなつもりは全くありません。
もしそんなことを考えていたら15年も法務を生業とすることなどできなかったでしょう。
みなさんと同様、私も、法務は会社にとって間違いなく必要な存在であると自信を持って断言できます。ですが、それをもって、私や、あなたが会社にとって必要な存在であるとは言えないのです。
つまり、会社にとって法務は必要だが、同時に、会社は私やあなたのような法務を必要としていないということは両立しうるのです。

会社や上司や同僚が何を求めているか、ではなく、企業価値の向上に寄与しているか


おそろしいことに、企業価値の向上に寄与していない法務であっても、それを指弾されることは多くはありません。なぜなら、法務の価値を法務以外の人が正確に見積もることは難しいからです。
そのため、企業価値の向上に寄与していないことに気づかずに禄を食み続け、気づけば何十年も会社に寄生していたということも起こりうるのです。

このような状態を避けるためには、会社や、上司や、同僚があなたに何を求めているかを一旦離れて、企業価値の向上にどの程度寄与しているかという視点で自分を見つめ直す必要があります。修正が早くて助かった、という評価は、実は不要な修正を素早く行ったことに対する賛辞かもしれないのですから。

リーガルテック花盛りの今だからこそ、今の業務をツールを駆使して効率化するのではなく、企業価値の向上に寄与しない業務をやめることで、より本質的な業務効率化に向き合う必要性がより固まっているように思うのです。

後半駆け足になってしまいましたが、この辺で。


3日目はdtk1970さんです〜