カテゴリ: 雑記 【おしごと関係】

例えばNDAの「秘密情報の定義」の条項において、秘密指定(Confidential、社外秘など)をつけるか否かを決めるのは、秘密情報管理規程のような社内規程との整合性です。
例えば基本契約の「個別契約の成立」の条項において、みなし承諾を設けるか否かを決めるのは、受発注フローとの整合性です。
例えば業務を受託する個別契約の「著作権の帰属」の条項において、著作権を全部渡して良いか否かを決めるのは、どんな著作権が発生して、それを自社が将来流用するのかです。

有利とか、不利とか、過去がどうとか、他社との契約ではどうとか、そういうことではなく。

契約法務っていうのは、そういうことだと思うんです。
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【法務系Tips Advent Calendar 2013】契約書「ひな型」再考〜どこまで用意するべきか? - bizlaw_style
を拝見し、
以上、「法務系Tips Advent Calendar」の議論の盛り上がりを機会に、「契約書ひな型」というテーマについても、各社(各所・各人)の取組みや考え方を可能な範囲で共有できたら、なかなか面白いのではないかと思い、とりあげてみました。
との呼びかけに呼応して、自分が日常業務で利用している条項集のサンプルを取り上げてみようと思います。

ちなみに、モノはこんなかんじです。
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契約書をドラフトする際は、前文・結び文も含めて基本的にこの条項集からコピペしています。
つまり、別の契約書を一部修正する方法で契約書を作成することは、私の場合は基本的には行いません。(例外は、案件間の条件面の相違がほとんどないことが明確な場合や、条項集が想定していな特異な契約をドラフトする場合くらいです)、
ひな形は、そのまま相手方に提示するものであって、それをベースに別の契約書を作成するものではない、というスタンスです。

ひな形であれ、他の案件で実際に使った契約書であれ、既に契約書の体裁で存在しているものをベースにする場合は、形式面での修正漏れや、他の案件特有の条件の混入当該案件にのみ必要な条件を落としてしまうといったミスが発生しがちでしたが、コピペ用途に最適化した条項集を利用するようになってからはこのようなミスはずいぶんと減りました。

そのまま相手に提示できる定型的な契約書面についてはひな形でひと通り揃えておき、案件ごとにカスタマイズが必要な契約書の作成時や相手方から契約書案を提示された場合は条項集で対応するというのがミスの低減と効率化のちょうどいい落とし所じゃないかと最近は思っています。

で、次のステップとしては、安全にカスタマイズできるひな形、つまり契助的なものの活用ということになるわけですが、これをGoogleフォームを使って自前で作ってしまおうという試みに近々チャレンジしてみようと思っています。

ではでは。
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1.はじめに
先日、なんの前触れもなく(まぁ、いつもそうだといえばそうだけど)Appleから「アプリの譲渡ができるようになったから、iTunes Connectにアクセスしてみてね!」という趣旨のメールが届いてびっくりしたデベロッパーの方は多いんじゃないかと思います。

今までアプリとデベロッパーとの紐付けを断ち切るためには「AppStoreからの取り下げ&別アプリとして再申請」という原始的な方法を採るしかなく、それまでに積み上げてきたユーザーやレビュー・ダウンロード数等の実績を引き継ぐ方法はなかったことに悩まされていた方も少なくなかったところに突然銀の弾丸が打ち込まれたわけで、そりゃ驚くのも無理はありません。

もしかすると、これを機にアプリ譲渡のプラットフォームが立ち上がるかもしれませんし、個人が開発したアプリを買い付けて転売する仲介業者が登場する可能性もあります。
この大きな流れの変化を傍観者として見守っているだけというのはあまりにつまらない、ということで、アプリケーション譲渡の際に用いる契約書を作って見ることにしました。

2.アプリ譲渡の実態って・・・
当初は、事業譲渡契約書をベースに、ちょちょいと手を加えたら簡単にできあがると思っていたのですが、実際に作り始めると、そう単純ではない、ということにすぐに気付かされました。

一般的に、「アプリの譲渡」と聞くと、
 1.ユーザーがインストールするアプリのソースコードと、その著作権の譲渡
がまっさきに思い浮かぶと思います。
で、実際単機能のツールなどは、これだけで十分な場合も多いはずです。

しかし、車輪の再発明が各所で行われていた黎明期とは異なり、現在は様々なライブラリやフレームワークを駆使して開発を進めるのが一般的であり、全ての著作権を譲渡できるとは限りません。
このようなケースでは、
 2.第三者が保有する著作権の利用許諾の引き継ぎ
も必要になります。

また、今主流のアプリはスタンドアロンではなく、サーバーと連携して動作するものがほとんどです。そうなると、
 3.サーバーサイドアプリケーションのソースコードと、その著作権の譲渡
 4.サーバー関連のハードウェア(またはクラウドサーバ / ホスティングサーバ利用権)の譲渡

ということもケアしなければならなくなります。
これが自社サーバではなく、第三者が提供するサービスとの連携(例えば、Twitter API経由でのTwitterの利用など)で実現しているものである場合は、さらに
 5.第三者のサービスを利用する権利の引き継ぎ
という問題も発生します。

さらに、ユーザーの位置づけも、大規模なアプリやゲームを中心に、「単なるアプリの利用者」から、「アプリをインターフェースとするサービスの利用者」へと進化しつつあります。
こうなると、
 6.ユーザーとの契約関係・債権債務の承継
という観点も無視出来ません。

既にGoogle+で「作ってみる」と宣言していなければ、検討すべき要素の多さを前に、めんどくさくなって放り出してしまっていたことは間違いない状況でした。

3.がんばってつくってみた
という状況下で、想像をふくらませながら作ってみた契約書がこちらです。
「なんでこの条文があるの?」とか、「この条文の意味は何?」といった疑問や、「これ、おかしくね?」といったご指摘があれば、ぜひ本エントリーのコメント欄でご指摘いただければ幸いです。

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4.おわりに
今回アプリケーション譲渡契約書を作ってみて思ったのは、ものすごく単純なケース(せいぜい4止まりのケース)を除いては、瑕疵担保やら保証やらで事後的にどうにかしようとするのはかなり無理がありそうだ、ということでした。

んじゃぁどうすんだよ、ということですが、これはもう、
・対Appleのアカウントと権利は譲り受ける一方で、外注先として運営はそのまま譲渡当事者にやってもらう
・人も含めて承継を受する(もはや、アプリの譲渡というより事業譲渡)
しかないのかなぁ、と思うわけです。
あまりおもしろくない結論で申し訳ないのですが、アプリの譲渡って簡単じゃないよね、ということが契約サイドからも垣間見えました、ということで、午後もがんばりりましょう!

最後になってしまいましたが、今回作成した契約書のブラッシュアップに、企業法務マンサバイバルのはっしーさんに様々なアドバイスをいただきました。
はっしーさん、ありがとうございました!
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11月からこっそりと開始していた採用活動が、今月半ばに無事完了しました。
最終的にはいわゆる新卒(企業に勤務した経験の無い方)を採用する結果となったのですが、当初は即戦力採用を目指しており、実際にお会いした方も、採用に至った方を除き全員が法務業務の経験者の方でした。

法務としての実務経験のある方の面接をする際、僕は必ずある質問をしていました。
それは、「他の法務担当者の方々と比較して、ご自身が優れていることは何ですか?」です。
しかし、残念ながら、この質問はあまり奏功しませんでした。
つまり、ほとんど魅力的な回答を得る事ができなかったのです。

翻って、ウェブ上では、(最近は特にGoogle+で感じる事が多いのですが)多くの方がご自身の専門領域について有益な情報をシェアされています。(明示的に語られてはいませんが、一連のエントリーから強みが浮き出てくる方がたくさんいらっしゃいます)
また、今月末で退職する僕の上司は、退職時の挨拶で、転職理由として「自分はエンターテイメント分野でのコンテンツ周りの法務を得意としており、それをより活かせる場に行く事にした」といった内容を語りました。

いずれも、中途採用面接で受けた「あれ?それが、ですか?」感とは正反対です。

この対比を目の当たりにしたことにより、最近麻痺してしまってきていた「自分はこのままだとヤバい」感が再びわき上がってきました。
ある程度安定的な立場を得た事により、無資格法務が本来的にはらんでいる「別にいなくてもなんとかなる」という危うさを忘れてしまっていたことに気づいたのです。

そんなわけで、「自分が人より優れていること」「人にはできないが自分にはできること」をより明確にするということを、来年以降の大きなテーマとしようと思ったりしたのでした。
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2回目の月一プレゼン。
早くも月一というペースに不安を感じてきました。

今回もKeyNoteを利用していますが、前回よりもアニメーション・遷移の癖が掴めてきたので、煩さは減少しているのではないかと思います。

肝心の中身についてですが、ターゲットはスタートアップの経営者で、投資を受けることを検討している場面を念頭に置いています。
果たしてこの状況に当てはまる人が現在何人いるのかまったくわかりませんが、もしうっかり誰かの役に立つようなことがあれば嬉しいです。
あと、見返したら「エージェントコスト」の説明がちょう雑ですね。
ま、大目に見てください。

ではでは。


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今年の新企画、月一プレゼンです。
出だしからギリギリのアップになってしまって自分でもどうかと思うんですけど、とにかく今月は目標達成。先が思いやられます。

今回はMacを新調したことと、諸般の事情でKeyNoteを使う用事ができたこともあって、慣れないKeyNoteで資料を作成しています。

では、どうぞー。



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本筋とは関係ないけど、誰でも簡単にカッコいいプレゼン資料を作れるというふれこみだったKeyNoteは、本当にすごかった。

資料作成(下書きも含めて)に数時間。
エフェクトを付けるのなんて、1時間もかからずに完了したからねぇ。

見栄えにあまり留意しなくていいというのはこんなにも快適なことだったのかと感心しました。

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この前、昼休みに思い付きで「コンプライアンス違反が起こるパターン」をまとめてみたんだけど、それだけじゃ何にも産み出せていないので、さらにもう一日分の昼休みをかけて「パッと思いつくコンプラ違反の事例との関連付け」もやってみたら、シートがすんごく汚く・見づらくなったこととの引き換えに一つわかったことがありました。




それは、ほとんどのコンプラ違反事例が「ばれない」ことを前提にしてるということ。
いや、考えてみれば当たり前のことなんだけど、こう「ばれないと思ってた」に矢印が怒涛のように突き刺さる様を見ていると、実感がわいてくるわけです。
「ばれない」っていう期待というか思い込みは怖いな、と。

コンプライアンス研修ではよく、「人に見られているとしても同じ行動を取るのか?」という判断基準を与えることがあるけど、結局のところ「ばれない」って思ってる人にそんなこと言っても全然意味ないんだよね。
だって、「同じ行動はとらないけど、ばれないからまぁ大丈夫」ってなっちゃうわけだから。

といことは、「ばれないと思わせちゃうかどうか」がコンプライアンス違反が止まるか否かを画するわけなので、コンプライアンス研修ではまず、知識とか意識とかの前に、「何かやったらばれるかんな!」ってことを強調することから始めなきゃならないのかもしれません。
もちろん、この脅しが空振らないようにするための当然の前提として、「何かやったらばれる」体制・システムの構築も必要になります。
今までは、どちらかと言うと「やらせねぇよ」という観点で体制・システムを考えていましたが、もしかすると、正解は「やったら見逃さねぇよ」の方なのかもしれません。

ここら辺を見なかったことにして「そもそもコンプライアンスとは、法令遵守にとどまる概念ではなく・・・」とか、「下請法と言う法律によって、資本金3億円以下の事業者に・・・」とか、「今や会社が潰れるような事態にも・・・」とか言ってみたってあんまり効果ないんだろうな、なんて思ったりしました。

んでは、また!

おっきい図はこちらから
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コンプライアンス研修を今まで何度か受け、また自分で企画してきて確信に至ったんだけど、例外的なケースを除いて、コンプライアンス研修では何が良くて、何が悪いのかを教えてちゃダメなんだと思う。
ほとんどのコンプラ違反の場面では、「それが悪いこととは知らなかった」わけではないので実際の効果として期待薄だし、何よりコンプラ意識が低い段階ではコンプラ離れを加速させてしまう。

じゃぁ、何を伝えれば良いのかというと、それは、「(きれいごとではない)コンプライアンスに取り組む必要性」と、「コンプライアンスは、実現するのがすごく困難であるという事実」なんじゃないかと今は考えている。

その上で、個別の知識については、コンプラ研修の外に知識習得用の予備校的なスタイルで習得してもらう。

つまり、コンプラ意識の醸成と知識の習得を完全に切り離してしまった方が良いんじゃないか、と。

近々コンプライアンス周りの整備を担当することになりそうなんだけど、今まで各個撃破のような対応しかしてこなかった反省を踏まえて、今回はちゃんと戦略を立てながら進めてみたい。
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磯崎さんのコラム投資契約を結ぶ際の3つの重要ポイントを読んで、大切なことだけど普段契約書を読んだことのない人には大変だよなぁ、と思ったので、少しでもこんな方々の役に立つことができればと思い、簡単なガイドを書いてみました。

その1:契約書を読む前に、この契約で実現したいことを再確認する
契約書を読みなれていない人は、契約書案が手元に届いても、いきなり読み始めるのはうまいやり方ではありません。
なぜなら、契約書を読みなれていないと、契約書の記載から条件を読み取るのはとても大変だからです。

では最初に何をすればよいかというと、それは、この契約で、自分は何を実現したかったんだっけ?ということを再確認することです。
自分は何を実現したかったのか、とは、つまり投資を受ける契約でいえば「現金を●月●日までに自分の口座に振り込んでほしい」ということであり、物品を買う契約であれば「ある商品を●月●日までに自分の手元に納入してほしい」ということです。この段階では細かいこたぁどうでもいいので、「これがなかったら契約するなんてありえん」というコアが何かを明確にしましょう。

そして、この再確認が終わったら、自分が実現したかったことが、契約書にちゃんと書かれているかを確認するしてください。
この確認作業は、「契約書に何が書いてあるかを頭から読み解いていく」ことよりもずーーーーーっと簡単なので、さくさくっと終わらせることができるのではないかと思います。

その2:自分の義務に、無茶なことが書いてないかを確認する
さて、無事実現したいことが契約書にちゃんと書いてあることが確認できたら、次は「自分の義務」としてどのようなものが規定されているかの確認です。
義務には「●●しなければならない。」というものと、「●●してはならない。」という2種類があることに注意して、蛍光ペンで自分の義務が書いてある部分にラインを引いてしまいましょう。
和文の契約では「●●するものとする。」という。日本語的にどうなの?という書き方で記述されることもあります。
 また、英文契約では、義務には助動詞「shall(禁止義務の時はmay notも)」が義務の目印になります。
そして、ライン引きが終わったら、自分の会社がこの義務をちゃんと守ることができるのかを想像してください。
想像してみて「こりゃ無理だわ」と思った義務については、削除する必要があります。
カッコつけずに「無理ですごめんなさい」と先方に伝えましょう。
なお、文句を言うと、相手方の担当者が「これは紙上の問題で、実際は無視でいいっすよ」と優しい言葉をかけてくれることもありますが、不思議なことに、いざもめ事になると、優しかった担当者の姿が見えなくなってしまったり、担当者の姿は見えても優しさをどこかへ置き忘れてしまっていることがとても多いのでぜひご注意ください。

その3:意味が判らない条項は、思い切って削除する
その1、その2が終わったら、ようやく頭から契約書を読んでもいい頃合いです。
が、結局のところ、読んでも意味のわからない記載はゴロゴロ出てきてしまうと思います。
ここで気をつけてほしいのが、「読んで意味がよくわからない記載については、なぜか自分に有利なように推測してしまう」という、悲しき人間の性です。
ですが、残念なことに、相手方が作った契約書に書いてある意味のわからない記載が自分に有利な意味を持つことはほとんどありません。
そのため、専門家に頼れないケースでは、意味が判らない条項は削除してしまった方が安全ということになります。
ガシガシ削除すると間違いなく先方からは文句を言われますが、後で振り返ってみると意味が判らない条件をのむよりよっぽどマシなことも多いので、がんばる価値はあると思います。


といったところで昼休みが終わりました。
午後もがんばりましょー。
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最初に断ってしまいますが、いつも通り、タイトルと内容はあまり関連していません。

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今年は、みずほFGと東京電力という、前期に大問題を引き起こした会社の株主総会に立て続けに出席した。

どちらの総会も当然のように荒れ、ヤジと怒号が飛び交う中、株主はここぞとばかりに質問の場で大演説をぶちかまし、動議が出され、そして粛々と決議事項が可決されていった。

中でも東電の総会は、Twitterで詳細な実況をする方が複数登場し、その日のニュースでも大きく取り上げられえたこともあって、その異様な雰囲気は多くの人に知れ渡ったことと思う。
その夜、東電に対するネガティブな感情が文字になってTL上を駆け巡っているのを眺めながら、一体どうすればよかったのか、自分だったらどうしたのか、ということについて考えざるを得なかった。

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株主総会で会社が想定していない決議がなされてしまうと実務上多大な支障が生じることが明らかである以上、協力株主から委任状や当日の協力を取り付けようとするのは当然の行動であり、非難されるいわれはない。
総会を始める前から勝負が決まっている状態になっていることについても、それはひとえに会社に賛同する議決権が多かったと言うだけのことであって、ほめられこそすれ、貶められる筋合いのものではないのは明らかだ。
また、株式会社の性質上、株主総会の場で渦巻いていた「明らかに反対/賛成の挙手の方が多いのに、なぜ可決/否決されるのだ!」という問いが完全に的をはずしたものであることにも疑問の余地はない。
さらに言えば、株主総会は数カ月の綿密な準備を経てピンポイントで実施される失敗の許されない一大イベントであって、もしかすると取消のネタになるかもしれないような不規則な(他社と横並びでない)対応などは徒にするべきではないということも理解しているつもりだ。

今回の東電の総会だって上記の観点から見ればなんらおかしなことはないのに、それでも違和感をぬぐい去ることはできない。


どうすればよかったのか、しばらく悶々と考えて出た結論は、「出席した株主に、この総会は茶番・無意味だ、と思わせないよう努力する」ことだった。
文字にすると青臭くて自分でも苦笑いしてしまうけど、でも、特に今期の東電のような総会では必要なことだったと思う。

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例えば、株主質問の場で超早口でわけのわからないことを捲し立てた挙句、「全員原子炉に入って死ね!」と絶叫した株主がいたけれど、それに対して東電側が、「わけのわからない捲し立て」の部分からかろうじて聞き取れたキーワードを質問事項とし、そのことについて答えたという場面があった。
この心底くだらないやり取りを聞いて、「東電は『質問に答えた体』が必要なんだ」と多くの人が感じただろう。
また、「決議の時挙手を求めていながら数えているふしがない」という別の株主質問に対し「ちゃんと数えています」と答えた場面もそうだ。
こんなことを言われて、茶番だと思わない人がいたら、むしろ驚愕してしまう。

「茶番と思わせないため」に、何も独立したアクションを総会に取り入れろなんてことを言いたい訳じゃない。
ただ、一つ一つの対応に、「目の前の株主と真摯に向き合う」という意思を込めるだけでよかったと思う。
(頭の中に渦巻いている思いをうまく文章にできなくて、夢見がちな抽象論のような書きぶりになってしまうのがもどかしくてたまらない)

もちろん、株主総会だからといって株主に媚びを売る必要があるわけではないし、普段であれば、株主の側だってそこまでの期待はしていない。

でも、今の東電は「普段」ではない。
周りを敵に囲まれる中、東電にとって株主は数少ない味方の一人だ。
それにもかかわらず、1万人近い株主を前に自分たちの声をダイレクトに届けられる機会をみすみす棒に振った(というより、逆に不満を募らせることになった)という損失は、これから逆風の中前進を続けなければならない東京電力にとって、思いの外大きなものになるのではないかと思えてならない。
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