短歌をやってみた


世古さんにおすすめ頂いたことがきっかけで、2024年1月に短歌を始めました。
飽きるまでやろうという軽い感じで始めたのですが、8月くらいまで続きました。やっぱり創作って楽しいですね。自分と違う人生(生い立ち、性別、職業など)をシミュレートする楽しさ、みたいな。
作った短歌はこちら
お気に入りはこちら



抱負と結果


Xのポストによると1月3日に今年の抱負を立てていました。
で、その結果は以下の通り(1勝2敗)でした。
抱負1:4月に情報処理安全確保支援士をとる(ために必要なインプットを1〜3月でする)
結果1:ギリギリだったけど、無事取れた

抱負2:その後、英文契約書の対応スキルを「普通に見れる」といえる状態に戻す(ためにたくさん英文の契約書/規約を読む)
結果2:予定通り英語の勉強は再開したものの、数カ月後に本業で発生した突発事象により残業が増えたこともあり、「たくさん英文の契約書/規約を読む」は実現できなかった。他方で、久しぶりにちゃんと英語の勉強をしたことで、ゲームを英語版で遊ぶくらいには馴染めるようになった(わからない単語はまだ頻出するけど)
今はCoffee Talkを言語設定を英語にしてゆっくりやってます。

抱負3:年末までに体重を75kgにする(ために筋トレと有酸素運動を継続する)
結果3:逆に5キロ位太ってしまいました。平日は毎日有酸素運動を2時間弱やっているので、食べる方は節制しなくても大丈夫だろうと思って好きなように食べたのが良くなかったようです。
血液検査の結果も悪かったので、先週から奥さんに食事の管理をかなりきっちりしてもらうようにしたら、スルスル体重が落ちてきたので、来年こそ75kgと言わず、60kg台に落としたいと思ってます。
なお、ランチ後に腕立てや腹筋をする習慣がついたことで、腹筋のくびれ?ができるようになったのもちょっと嬉しい。(その下のドーナツ状の脂肪さえなければ…)

法務部スペースがちゃんとしたポッドキャストになってきた


世古さんと月イチで収録しているポッドキャスト「法務部スペース」の型が固まってきたたことに加えて、11月にいけこさんにアートワークを作成して頂いたことで、ポッドキャストらしい体裁が整ってきました。
ブログもそうだけど、たくさんの人に聞いてもらいたい、知ってもらいたいと思うと、やっていて苦しくなってしまうこともあると思うんだけど、法務部スペースについては、ただひたすらに話したいことを話して、聞きたいことを聞いているので、このまま楽しいなって思っていられるうちは(&世古さんにお付き合いいただけているうちは)続けていきたいなと思っています。
なお、レター(番組へのお便り)は年中無休で募集中です。どんなことでもいいので送っていただけると、おじさん二人がとっても喜びます。

利用規約本の第3版を出せた


雨宮先生、橋詰さんとの共著である良いWebサービスを支える「利用規約」の作り方の第3版を出すことが出来たのも嬉しいニュースでした。
この版では、起業家が弁護士へ適法性等の相談をするサービスが生成AIを利用したサービスになっているのですが、もし第4版を出す機会に恵まれたら、そのときはどんなサービスが目新しいものとして世間に認識されているのだろうかと思うと、ちょっとワクワクします。

仕事では、もうほんと色々ありました


いや、ほんと。




というわけで、2024年も楽しく過ごしてきましたが、2025年もこれまで通り元気にやっていきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いします!
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このエントリーは、2024年の法務系Advent Calendarの24日目です。(メリークリスマス!)
前日はYujin Genさんの「トランザクションロイヤーからスタートアップインハウスロイヤーになって気づいたこと」でした。




2024年は日経の記事の影響もあってか、例年以上に法務業務のアウトソーシングが話題に上ったように感じます。
そこで、今年のAdvent Calendarのエントリーでは、法務業務のアウトソーシングを通じて得られる効果について書いてみようと思います。

なお、本稿では、法務業務のアウトソーシングを以下の3パターンに分類します。
パターンA:法務部門からの案件ベースの依頼に対応してもらうパターン
ALSPやLPOなどの言葉が出回る前から行われていた法律事務所への依頼も、大きな意味では法務業務のアウトソーシングに該当すると考えています(なので、法務業務のアウトソーシングは別に新しい話題ではない)

パターンB:事業部等の依頼部門からの依頼に直接対応してもらうパターン
一定の領域に限定して直接外部の法律事務所が対応する窓口を設けたり、アサインした案件に外部の法律事務所が直接対応するのがこのパターンです。
日経の記事が取り上げたのはこちらのケースで、最近流行りのパターンでもあります。

パターンC:法務部員と同じような位置づけで能動的に対応するパターン
出向で実現することもあれば、「インハウスサービス」として業務委託で提供されることもあります。(出向はアウトソーシングには通常含まないと思いますが、インハウスサービスと機能が共通するため、便宜的にここに含めます)
存在を知らないとなかなか選択肢に入ってこないパターンですが、うまく活用できると法務部門の機能を劇的に高めることができます。

以下、上記のパターン分けを前提に、効果とコツとFAQについて書いてみます。

法務業務のアウトソーシングを通じて得られる5つの効果


専門性・知識の補充


A〜Cのいずれのパターンでも期待される、リソース拡充と並ぶアウトソーシングの最も基本的な機能の一つです。カバー範囲が広すぎて対応が難しい国外の法制度や、目まぐるしく変化するためキャッチアップしきれないプライバシー法制など、社内のリソースでは対応しきれない専門領域を、アウトソーシングによってカバーする動きです。
この効果を得るためには、専門性を持つ法律事務所・弁護士を知っていることと、必要なときに依頼できるだけの関係性があることが必要になります。
そのような知見やコネクションがないと、とりあえず大手に、ということになりがちですが、大手だから十分な効果を得られるともいえないのが難しいところ。(しかも、コストは高くなりがち)

リソースの拡充


パターンBとパターンCで得やすい効果です。
従来からの法律事務所と法務部のお付き合いで多かったパターンAでは、法務部門の省力化にはあまり効果がありませんでした。この悩みに応えるサービスとして、法務部門の業務の一部を肩代わりしてくれるサービスが登場し、普及したことにより、近年、法務業務のアウトソーシングに注目が集まるようになってきました。
本来内部でやるべき業務を肩代わりしてもらえるということは、慢性的な人材難に苦しんでいることの多い法務部門にとっては魅力的ですが、この効果を十分に享受するためには契約審査基準(プレイブック)の整備や雛形の整備などの事前準備が必要になります。それらがないと、対応方針について確認されることが多くなって手離れが悪くなってしまったり、法務部門による対応と毛色が違う対応をされてしまって依頼部門の不信を招くことに繋がりかねません。
また、特にパターンBにおいて、法務部門の空洞化につながるのでは、という危惧を示されることがありますが、アウトソーシング先は独自の判断で動くわけではないので、各メンバーに属人的に帰属している暗黙知を形式知化することを促すという意味では、むしろ空洞化とは逆に作用するような実感を持っています。社内のメンバーに属人的に知見が蓄積されている状態の場合、その人が辞めたらすっぽり空洞化してしまうという意味では、潜在的な空洞化リスクは高い状態であるということは意識する必要がありそうです。

リソースの安定供給


パターンBとパターンCで得やすい効果です。
社内のメンバーは退職する可能性もあれば、様々な理由で休職したり、休みをとることもあるため、稼働が不安定です(だからアウトソーシングよりも劣っている、というわけではなく、あくまで性質の問題です)が、その点、アウトソーシングは、「法律事務所」という単位で抽象化されていることが多いため、担当者の退職や休みによる影響を考慮する必要があまりありません。
会社に所属するメンバーは、会社の業績が傾くと将来の不安から転職してしまう可能性もありますが、アウトソーシング先からは、支払いが滞るようなことがない限り、取引を中断されることがないという意味でもリソース供給の安定性は雇用よりも高い場合が少なくありません。
また、パターンBとCは、法務部員の休職や退職の穴を一時的に埋める施策としても機能するという意味でも、リソースの安定供給に寄与してくれます。ただ、「リソースの拡充」の項目でお伝えしたとおり、事前の準備なくアウトソーシングを始めてもすぐには十分な効果を得ることは難しいため、リソースの問題が顕在化・深刻化する前に、アウトソーシングできる素地を作っておくということも、マネージャーの重要な役割の一つになってくるのではないかという気もしています。

コストとリソースの最適化


パターンBとパターンCで得やすい効果です。
雇用と異なり、繁忙期にだけ依頼し、閑散期には費用発生を抑えるといったことが可能でなアウトソーシングは、採用よりも機動的に供給リソースを調整できるため、急な需要の変化にも比較的迅速に対応する事が可能です。
雇用だけであれば、余剰人員を抱えないよう、慢性的な人材不足を許容しがですが、アウトソーシングを組み合わせることで、ちょうどいいリソース供給を実現しやすくなります。
単純な時間単価の比較ではなく、コストの柔軟性に着目すると、コストパフォーマンスに対する評価も変わってくる場合もあるのではないかと思います。

スタンダードの引き上げ


パターンCで得やすい効果です。
契約審査に長けたメンバーがいないチームや他社経験の少ない一人法務が回している法務では、契約審査の業務レベルを高めにくいというネックがあります。
そのような課題感がある場合には、熟練の外部人材に法務メンバーとして稼働してもらうことで、相対的な自社の法務のレベル感を把握でき、もしそれが低い場合には改善に向けて動き出すことが可能になります(こんなに回答が速いのか!こんなにリサーチが深いのか!など)。そして、実際に改善に向けて動く際には、その方向性や具体的な施策についてアドバイスを受けることも可能でしょう。
なお、パターンBでは、依頼者とアウトソーシング先のやり取りに接する機会が限定されるので、この効果を直接得ることは難しいのですが、高品質な対応をしているアウトソーシング先の横でずさんな仕事はしづらいという意味では、間接的に業務品質を向上させる効果は望める場合もあるのかもしれません。

よりアウトソーシングの効果を得るためのコツ


複数のサービスをトライアルし、比較検討する


法務部門が抱えている課題や依頼の傾向、使っているコミュニケーションツールやCLMツールなどによって、適したアウトソーシング先は全く異なるのですが、実際にお付き合いをしてみるまでは、合う合わないはわかりにくいものです。
そのため、月額10万円程度のトライアルを2〜3ヶ月回してみて、期待した通りのパフォーマンスを発揮していただけるのかや、ストレスなくやり取りできるのかを確認し、もし合わなければ別のサービスを試すといった動きが効果的です。

フィードバックをする


「先生へのご依頼」というスタンスではなく、二人三脚で法務業務を回していくパートナーというスタンスで、より良く業務を遂行するために必要なフィードバックは積極的かつ具体的ににしていきましょう。改善できることであれば、依頼側としては驚くほど迅速に改善していただけることがあります。
プロに対する敬意を持ってコミュニケーションする必要があるのは当然ですが、だからといってフィードバックをオブラートに包む必要はありません。同時に、希望に沿った対応をしてもらったときにも、何がなぜよかったのかを具体的に伝えるポジティブなフィードバックも、アジャストの為には有用です。

能動的・積極的にオンボーディングをする


自社の契約審査基準・プレイブックを整備したり、コミュニケーションツールやCLMのアカウントを発行したり、ファイルをスムーズに共有する仕組みを用意したり、依頼部署の特徴を伝えるなど、新たにメンバーを採用したときのようにオンボーディングをすることで、スムーズな立ち上げが可能になります。
言い方を変えると、アウトソーシング先のオンボーディングを通じて、メンバーを採用したときのオンボーディングのやり方が洗練されるという副次的な効果も得ることができます。
また、多くのサービスでは、サービスの利用開始時にキックオフミーティングを実施しますが、その際にアウトソーシングを通じて解決したい課題(特にリソース不足なのか、スキル不足なのかは重要です)やスピード感などの期待レベルを明確に伝えることも重要です。


法務業務のアウトソーシングのFAQ


アウトソーシングは、コストが割高なのでは?


依頼する業務内容がアウトソーシング先の専門分野の場合は、処理に要する時間がそうでない人と比べて非常に短くなるので、絶対的なコストは抑えられる場合もありますが、アウトソーシングサービスのタイムチャージの単価は、インハウスを含む大抵の法務部員の概ね2倍〜5倍のため、基本的にはコストは割高にはなります。
そのため、人件費との比較ではなく、社内にない知見を活用できる、必要になったときだけ起用できる、社内では確保できない量のリソースを利用できる、というメリットを買うという観点で、そのメリットに見合ったコストなのかを見ていかないと判断を間違えてしまうことがあるという点には注意が必要だと思います。

アウトソーシング先は社内の事情に疎いので、ワークしないのでは?


アウトソーシング先は社内の事情に疎いということは基本的には*間違いなく、なんのケアもしなければその点が障害になりうるということは、抽象的にはその通りだと思います。他方で、契約審査においておさえておかなければ業務に支障が生じる「社内の事情」として、一体どのようなものがあるかについては具体的に明らかにしたうえで判断する必要もあると思います。
もし、契約審査基準・プレイブック・オンボーディングマニュアルといった形で、上記のような情報がすでに明文化されている場合は、その情報をアウトソーシング先に渡すことでスピーディにキャッチアップしていただくことができますし、もしそのような明文化が行われていない場合は、まずは「社内の事情」の明文化をしたうえで、それが本当に社外の人材に対応できないことなのかを具体的に検討することをおすすめします(アウトソーシングだけでなく、新たなメンバーを迎える際にもオンボーディングツールとして使えるので無駄にはなりません。)。なお、法務業務のアウトソーシングに対応していることを明示的に打ち出して法律事務所は、すでに業務の遂行方法や社内の立ち位置が多様なクライアントから業務を受託していることや、インハウス経験の豊富な弁護士が対応することなどにより、法務部門が考える以上に「社内の事情」に対する柔軟性は高く、また高い解像度で理解もしている印象です。

* 創業者の同級生の弁護士が創業から支援しているとか、法務部員の入れ替わりにより、最古参のメンバーよりもアウトソーシング先のほうが「社歴」が長いといったケースでは、例外的に従業員よりもアウトソーシング先のほうが社内の事情に精通している、ということもありえます。

どんなタイミングが始めどき?


以下の理由から、アウトソーシングする必要が生じてからではなく、できるだけ速いタイミングで小さく始めることをおすすめします。
理由1:最初からうまくいくとは限らない
特にパターンBやCについては、アウトソーシング先にしっかりパフォーマンスを発揮していただくためにはオンボーディングがある程度必要であり、オンボーディングのために必要なポイントは、やってみなければ見えないものでもあります。
その意味で、ある程度余裕があるタイミングでアウトソーシングを始めてみて、何が不足しているのか、何があればより良くなるのかの肌感覚を掴んでおくことが重要です。

理由2:選定先と自社との相性が良いとは限らない
アウトソーシング先の性質は様々であり、画一的な業務を大量かつ安定的にさばくことに長けた法律事務所もあれば、高い専門性を活かして特定領域の業務品質をジャンプアップさせてくれる法律事務所もあります、その差異は小さくなく、また外から見えづらいものです。
そのため、まずはトライアルをしてみて、お互いのニーズと供給がどの程度マッチしているかを確認するとともに、相性がいま一つの場合には機動的に別のアウトソーシング先を試すといった動きが必要になります。

理由3:依頼したいときに依頼できるとは限らない
従来から行われていたパターンAに加えて、2025年以降は、パターンBとパターンCの法務業務のアウトソーシングも急速に広まっていくことが見込まれます。もし、供給が需要拡大の波に追いつかないと、しばらくは(特に評判の良い法律事務所には)依頼したくても受けてもらえない、またはインハウスロイヤーの経験があったり、アウトソーシング対応の経験豊富な弁護士をアサインしてもらいにくくなるといったことも予想されます。
そのような状況になるかは不透明ではありますが、まずは取引を開始しておくことは予防措置としては有用です。

理由4:料金プランは比較的柔軟
パターンBで同一類型の契約審査を大量に外注するような場合でなければ、大抵のサービスでは月額10万円のような従来の顧問料と同等の基本料金から契約できるプランが用意されており、小さいコスト負担でアウトソーシングを開始することは十分に可能です。しかも、大抵の場合はLegal Techサービスと異なり契約期間の縛りは緩めです(そもそも民法651条もあるわけですし)
まずは小さく始めて、導入効果を実感できたり、より効果的な起用方法の勘所が掴めたところで本格的に利用するという動きが許容されやすいということは、特にアウトソーシングに不慣れな法務部にとっては大きなメリットとなります。

アウトソーシング先に頼ってしまうと、社内のメンバーのスキルアップに繋がらないのでは?


パターンBで特定の領域の契約類型をすべて外注する場合や、パターンCで特定の領域に関する依頼を外部のメンバーに委ねる場合にこのような不安が生じます。
確かに、実務経験を積む機会がアウトソーシング先に奪われてしまう以上、アウトソーシングに出した業務についてのスキルアップの機会は少なくなることは避けられません。ですが、そのようなスキルを社内の人員が保有する必要があるのかについては一考の余地はあるとも思います。
社内のリソースは有限である以上、何かを辞めなければ、新しい何かを始めることはできません。現状も、将来予測としてもリソースが潤沢であるような会社でない限り、なし崩し的に「やりきれなかった…」として何かを諦める状態を避けるためにも、辞める対象と辞め方を能動的に選択する必要はあるのではないかと思います。




最終日の明日は、keibunibuさんです〜
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法務のイネーブルメントについて、寿司やさんの修行から鮨アカデミーに進化すべきと連呼したいたら、金子さんに寿司教室にお誘いいただき参加してきました。
出不精な性分なので一瞬ためらったものの、金子さんの「とにかく現場現物です!」という言葉に背中を押されて参加した結果、めっっっっっっっっっっちゃくちゃ学びがありました。まさに、「とにかく現場現物」だな、ということを実感

忘れないうちに、「汎用性がありそう&大切そうなこと」を書き残しておきます。

必ずできるようになる、という宣言


冒頭、主催者の方が「このセッションが終わったら、皆さんは全員必ず寿司を握れるようになっています」と、繰り返しおっしゃっていました。
最初は半信半疑だったものの、「全員できる」「これまでもそうだった」と言われると、そうなのかな、という気持ちになるものです。

できるようになった未来を想像させる


これもまた冒頭の説明で、「寿司を握れたらかっこよくないですか?」「握り方は大きく3種類ありますが、今回は最も”映える”縦返しをレクチャーします」「外国の方に寿司を握れるっていうだけで話題になります」といった具合に、寿司を握れるようになったら楽しそう、いいことありそうという未来へのイメージを具体的に想像させるメッセージはやる気を増幅させてくれました。
できる自分とできない自分だったら、対象が何でも「できる自分」の方がいいものですからね。

サンドポックスを用意する


練習を開始するにあたって、ティッシュペーパーと輪ゴムで練習用のシャリ玉とネタを作るよう指示されました。これは単に練習で本物のシャリとネタを使うともったいないからというだけでなく、失敗しても素早く何度でもやり直せるという意味で、とても有用でした。
本物のシャリだと手にくっついちゃうので、同じプロセスを繰り返し練習する妨げになっちゃいますからね。

手順はステップバイステップで解剖する


寿司を握る手順は動画になっているのですが、「右手でシャリを取って軽く整形」→「ネタを左手でつまんで手のひらに乗せる」→「左手の人差し指でわさびを取ってネタにつける」といった具合に明確にステップ分けされています。
各ステップの極めて短いので、各ステップでどう動けばよいのかが誰にでもわかります。

多くの人が躓くポイントは具体的に注意喚起


「水は想像の3倍付けてください。手についている水が足りないと、シャリが手にくっついちゃいます」とか、「人差し指でシャリを押さえるときは、左手の指の腹をアーチ状に盛り上げる」といった具合に、うまくいかなそうなポイントについては具体的にどうすればよいかのアクションが示されるので、対応に迷いにくくなります。

手を動かしながら動画をみる


レクチャーを受けた後、ティッシュのシャリ玉とネタを使いながら練習をするのですが、その際にもレクチャー動画は流されっぱなしで講師のアドバイスもちょくちょく入ります。
何度も握りのプロセスを繰り返しながら正してやり方と比較することになるので、高速に振り返りの機会が発生し、どんどんできるようになってくる実感を得られました。
正しいやり方を一方的に流しながら練習は各自かってにやるというやり方は、かなり効率的なように感じました。

手順を覚えたら早めに本物で試す


自分としてはまだ不安だな、というタイミングで「では本物のシャリとネタを使って握ってみましょう」と促されます。
本物でやってみると「シャリの整形がうまくいかない」「ティッシュではできていた手順が飛ぶ」「握っている途中でシャリがバラけちゃう」といった問題が明らかになり、ティッシュではわからなかった改善ポイントが浮き彫りになります。

本物で試した後サンドボックスに戻る


これは講師から促されたわけではないのですが、本物でいくつか握った後、ふとティッシュに戻ってみると格段に上達している事に気づきます。シャリと違って手にくっつきませんし、形も崩れないので難易度は圧倒的にティッシュの方が低い以上、考えてみれば当然のことではあるものの、「あ、うまくなってる」という実感はとても嬉しいものです。

握って食べてまた握るというループ


握ったお寿司を乗せるお皿には概ね10貫くらいしか乗らない一方で、寿司ネタは20貫分くらい提供されます。ということは、握っていると乗せる場所がなくなるわけで、握っては食べ、また握るという
ループを繰り返すことになります。
食べてみないとわからないこと(シャリが大きすぎるなとか、握り過ぎだなとか)があるので、その反省が次の握りに反映されるという意味でも高速PDCAのきっかけとなります。

良い素材を使うことで約束された勝利を演出


寿司教室では豊洲直送の素晴らしいネタと、ミシュラン掲載店が使っているブランド米・すし酢を使ったシャリが提供されました。素材が命の寿司において素材が良いということはつまり、「誰が握っても美味しいものが出来上がる」ということを意味します(素人が握ってもうまいが、寿司職人が握ると超うまくなるというだけ)。
自分の握った寿司を食べてみたらめちゃうまかった、という経験がもたらす勘違い力はかなり強力なので、モチベーションがぐっと高まります。

動画と講師の実演は別物


最初のシャリ玉を作るところがどうもうまくいかないよね、というところで金子さんが講師の方に声をかけて眼の前で1貫握っていただいたのですが、「こんなに凹ませるのか」とか「最初のシャリを取るところでほぼ整形できてるんだ(すごいな)」とか、動画ではよくわからなかったことが見え、またその場で直接質問ができるという意味でも動画と実演の違いを実感しました。実演は強い。

寿司と法務はかなり違う


実際違いがあることはさすがに僕でもわかっていたのですが、その違いの解像度がものすごく高くなりました。と同時に、寿司と法務とで共通する点もあるということも再確認できたので、今後も鮨アカデミーを法務のイネーブルメントのメタファーとして使っていく所存です(あんまり伝わらないのだろうけど)


すし
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AZX総合法律事務所の雨宮美季先生、橋詰卓司さん(はっしーさん)との共著、良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方 の改訂第3版が本日発売です。

改訂の背景や概要については、はっしーさんのブログ(企業法務マンサバイバル)の『利用規約の作り方』改訂第3版は何をアップグレードしたのかをぜひご参照ください。

本書の帯には「最新動向を踏まえて大幅アップデート」と記載されているのですが、この「動向」は法改正にとどまるものではなく、サブスクリプションサービスの隆盛、AIの急速な普及、利用者サイドの意識の変化といった事業環境の変化を視野に入れているのが本書の強みなのではないかと思います。
第2章の冒頭で弁護士に相談する起業家が持ち込んだビジネスは、11年前の初版では「出会い系サービスを起点にクーポン販売をする」といったものでした。そして、5年前の改訂版では「出会い系サービス起点でCtoC仲介やポイント課金」というアイデアにチャレンジし、今回の第三版では、ついに祖業?の出会い系サービスから大胆に業態変更をして、「AIを使ったアバター作成サービスのサブスク課金」にチャレンジしています。(改訂作業が始まったタイミングでは突拍子もないビジネスアイデアだと思っていたのですが、現実がものすごいスピードで追いついてくることに驚愕しました・・・)
これだけを見ても、本書が「法律の解説書」にとどまらない、「事業を起点に、法律とどう付き合っていくか」のガイドであることがおわかりいただけるのではないかと思います。

他方、事業目線の法律解説書は、表面をなぞっているだけで少しでも典型的なパターンを外れたり、一歩踏み込んだりした論点にはまったく触れられていないことも少なくありませんが、本書は、実務上重要なポイントについては、むしろ思いっきり踏み込んでいるのも特徴の一つです。
例えばCtoCサービスでお金の受け渡しをプラットフォーマーが行うことが資金移動業に該当しないのか、という論点については、結論だけでなく、為替取引の定義から実務的な落とし所までしっかり解説されていますし、個人情報を第三者提供する際には結局どうすればよいのかという問いについても、ポジションを取った回答を記載しています。

私自身、業務上参照することを確信している一冊に仕上がっていますので、ウェブサービスやアプリに関する事業を営む皆様にもお手にとっていただければと思います。

IMG_1351良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方 の改訂第3版

初版、改訂版に続いて、今回も共著者の雨宮先生とはっしーさんからは多くのことを学ばせていただき、このことが私自身にとって何よりの報酬だと思っています。
また、技術評論社の藤本さん、傳さんには、きめ細やかな進行管理や校正、ご助言を頂き、安心して原稿に向き合うことができました。
ありがとうございました!
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年始に世古さんから短歌の本をおすすめいただき、いつもの読書の対象として読んでみたところ、一瞬で短歌の虜になってしまった。
その本がこちら「あなたのための短歌集

短歌の何がそんなに僕を惹きつけたのか、自分でもよくわかっていないんだけど、後で読み返すために、今感じていることを書き残しておこうと思う。
なにしろこういうのって、すぐに忘れちゃうものですからね。

情景と心情


短歌の形式的なルールは57577という文字数以外にはないらしい。文字数の数え方に決まりはあるみたいだけれど、そもそも字余り・字足らずが一定程度許容されている以上そこに大きな意味はない。
なのに、57577のリズムで作られた文章がすべて「短歌」に見えるかというと、そんなこともないのがおもしろい。
誰にとっても当てはまる短歌らしさを定義することは多分できないのだろうと思うんだけど、今のところ僕にとっての短歌は、情景と心情が織り込まれているもの、ということになっている。
この「織り込まれている」というのが(個人的には)ポイントで、別に両方書いてある必要があるわけではなく、情景を描写しただけなのに心情がスドンと伝わってきたり、心情を書き連ねているだけなのに明確な情景が背後に透けて見えたりするものの方が好みだったりする。
自作のもので「情景と心情」のどちらも描けなかったものがこちら。これはたまたま31文字になっただけの文章であって、僕にとっては「短歌」という感じではない(ということも作ってみないとわからなかったので、それはそれで意味があったよな、とも今書いていて思った)


抽象化


短歌に許された文字数はたったの31文字なので、具体を描写すると1平方センチメートルくらいしか描くことができない。なので、決定的な1平方センチメートルを切り抜けるような特異なシーンでもない限り抽象化が必須になるのだけれど、これがめちゃくちゃおもしろい。
朝ジムに行く途中に温かい日差しを浴びてとても気持ちよかったので、日差しでなにか詠もうと思った結果出てきたものがこちら。もう、朝ですらないけど、僕の中では「日差しの気持ちよさ」という同じものを見ている。幼虫が蛹の中でドロドロに溶けて蝶になる、みたいな(たまにドロドロのまんま蛹から流れ出てきちゃったりもするんだけれど)


想定外


世古さんのこちらの歌を初めてみたとき、体調悪いときに家族が果物を用意してくれた情景が浮かんだのですが、スレッドの解説を読むと違う情景を詠われたものであることがわかります。
でも、その解釈違いやすれ違いがまたおもしろいんですよね。余白の大きさは、俳句や詩よりもずっと広いように思える。文章を使った絵画みたいな。で、一度解説を読むと、次からはその情景が浮かんでくるわけで、その意味では「だまし絵」みたいでもある。


口ずさんだときの気持ちよさ


口ずさんだときにリズムが気持ちいいのも好き。
こういうやつは、もう内容なんてどうでもいいと言えちゃうくらい。
例えばこれ。内容は、世古さんと全く話を合わせずに短歌アカウントを作ったのに、たまたま「_tanka」を後ろにつけるという対応をしたことをおもしろ半分に57577にしただけのどうしようもないものなんだけど、「末尾のアンダーバー短歌」というリズムが好きすぎて、お気に入りだったりする。こんなどうしようもないものをお気に入りにしているなんてちょっとどうかと思うけど、そういう個人的な好みを持てる懐の広さもまた、短歌のいいところなのかもしれない。


見逃していたもの


短歌を作るようになってから、いろんなものに目が留まるようになったし、過去の記憶を違う視点で眺めるようになった結果、いろんなものを見落としていたんだな、ということに気づいたりもした。見ていたんだけど意識していなかったということに、短歌のネタにしてみて気付いた、とか。
例えばこれは、作っているうちに「ありがたいことだなぁ」なんてしんみりしちゃったりしてね。


誰でも今日からできる


短歌をやってみて実感したんだけど、良し悪しにこだわらなければこれほど簡単な創作活動はなかなかないんじゃないかと思う。写真も手軽ではあるけれど、被写体は必要になる。その点短歌は、脳があればいつでもどこでも手ぶらで始められるし、5分でできちゃったりもする。しかも、そこから始まる推敲もまた楽しいんだよね。
スマホの下書きに思いついた歌を入れておいて、時々立ち上げて推敲して、また閉じる。粘土細工みたいな感じで。

というわけで、2024年は飽きるまで短歌をやってみようと思っています、というお話でした。
ご興味持たれた方は「idの末尾のアンダーバー短歌」で!
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12月1日から続けてきた一人Advent Calendarも、このエントリーで終了です。
もともと25日分全部書く必要があったわけではないし、気持ちとしてもやれる範囲でやれたらいいんじゃないかな、と思って始めたことですが、結局毎日書いちゃいました。
というわけで、最終日はインタビューで振り返りをして締めくくりたいと思います。

一人Advent Calendar、お疲れ様でした。
ありがとうございます。

まずは終わってみての率直な感想をお願いします
思いついたタイミングは仕事が落ち着いていたので行けるかな、と思ったのですが、すぐに忙しくなってしまって、始める前が一番やばいな、と思っていました。
終わってみれば、前日に書いて予約投稿する、というルーチンで回しきれたので、意外にできるもんなんだな、というのが完走です。

そもそもなぜ今回、一人でAdvent Calendarをやってみようと思ったのですか?
毎年恒例の法務系Advent Calendarにエントリーしようと思ってのぞいたら埋まっていたので、「だったら一人でやればいいじゃないかな」と思ってしまったのがきっかけです。前述のとおり、思いついたときはそこそこ仕事に余裕があった状況だったので。

ところが、その後仕事が忙しくなってしまった。
そうなんです。ゆとりがあったのは一瞬でしたね。
なので、朝の運動時間を使って書くことでなんとか辻褄を合わせた感じです。

エアロバイクを漕ぎながら、とおっしゃっていた方法ですね
はい、エアロバイクを漕ぎながらガガッと30分〜50分くらいで書いていました。
その際にLivedoorBlobのスマホアプリを使っていたのですが、想像していた以上に使いやすかったので助かりました。逆に、漢字変換のヘボさとか、謎に読点を入れてくるといった日本語入力のヘボさの方に悩まされましたね。

普段より短い時間で書くことで、なにか違いはありましたか?
えぇ、読む人がどう思うかをあまり気にしなかったという違いがありました。気にしなかったというより、気にしていたら毎日アップできなくなっちゃうので、意識的に頭から読む人のことを追い出していた、という感じです。これまでは、ブログには読む人の役に立つことを書こうと思っていたのですが、このくらいの力の抜き方でも良かったのかもな〜と思いました。

テーマは事前に考えていたのでしょうか?
そうですね。テーマは25個あらかじめ用意していましたが、結局使わなかったり、書こうとしたもののそのテーマでは書けなかったというものも結構ありました。他方で、「ブログを書くぞ」と意識してからネタにできそうなトピックを発見したらiPhoneのメモに残して補った感じです。

取り上げなかったテーマにはどんなものがあったのでしょうか?
「面接不合格の理由」とか、「契約法務における具体と抽象」とか、「人柄マネージメントの限界」とか、「役職定年と隠居」とかですね。「AppleWatchのナビで徒歩移動すると発見がある」や「slack直リンクの作り方」みたいな、140文字でも書けちゃいそうな物もありましたが、25個テーマを出すことが目的になっていますね、これ(笑)

さいごに、やってみて気づいたことや発見があれば教えて下さい
書くことで思考の整理になるんだな、ということはよくわかりました。
頭の中で考えていることや、本から仕入れた知識を自分の言葉でアウトプットすることで、自分のものになる感覚がありましたし、そもそも「このテーマについて書けないぞ」ということを自覚することを通じて自分の理解の甘さや思考の浅さに気づけたということもありました。
あと、Twitterではどんどんかけるのにブログになると難しくなるということから、140文字という文字数制限の偉大さを再確認しましたね。

本日はありがとうございました。メリークリスマス!
ありがとうございました。メリークリスマス!
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毎年恒例のやーつですが、今年から「tweetで振り返る」ではなくなりました。
これを書いている瞬間のポスト数は3899で、月平均は325、1日10ポストって感じでした。

1月


この企画で過去ポストを振り返って初めて、こんなこと言っていたことに気づいてびっくりした。
まさかね、という…

今年も11月にてひどい失敗をしている(本業の方ではないのでセーフ!セーフ!)ので、あー、1年に1回はてひどい失敗をしているんだな、ということを再確認しました。
成長してくれ、自分!

2月


読み返して「あーわかる」と思ったし、これは多分、一生そう思い続けるんじゃないかという気もする。
昨日、たまたまマネージメントの向き不向きについての話題になったんだけど、結局のところ、良いマネージャーであろうと試行錯誤できるかが重要で、「自分はできる」と試行錯誤を辞めてしまったら終わりという意味では、「一生そう思い続ける」ことでもいいのかの、とも思う。

意外にすぐ飽きちゃった。

3月


確かにいい言葉だと思ったけど、すでに綺麗サッパリ忘れていた。


4月


そうなんだよな〜。かといってうまくやらなくてもOKかというと、当然そんなこともなく。

スピードに限らず、最近こればっかり言ってる。人と比べず、過去の自分と比べよう、って。その意味でもBlog書いたり過去のポストを振り返るのって結構有用だと思う。

5月


これはほんとそうだと思う。細谷功さんの具体と抽象とかアナロジー思考を読んでから、意識的な抽象化の重要性を強く意識するようになった。

その後、toCの会社に移った結果「特商法はともかく」じゃねーよ、半年前の自分!ってなっている。

6月


リーガルリスクマネジメントの教科書は、今年読んだ法務本の中で一番記憶に残っているし、実務に反映された量はダントツだったと思う。マンガパートがあるということで敬遠してしまっているのであればもったいない。

自分にとって、内部監査室はしっかり機能しているのが当然で、それを織り込んで法務の施策を考えてしまうところがあるんだけど、そんな素敵な環境はなかなかないのよね。内部監査を機能させることは法務以上に難しいはず。

7月


先日久しぶりに忘年会に行って思ったけど、大人数の忘年会って話も聞こえづらくなるし時間も長くかかるから、やっぱりオフィシャルなイベントはランチ会の方がいいんじゃないかという思いを新たにした。夜の飲みは気の合う少人数で行った方がいいと思うんだよね。

なので、Querieでご質問いただけるのは本当にありがたいんですよね。

8月


え、これ8月だったっけ…。という衝撃。会社の枠を超えて毎週オンラインで集まって1時間議論する、みたいなことが気軽にできるようになったのはリモートワークの恩恵ですよね。

今年最も響いたコンテンツは、やっぱりLIGHT HOUSEだったな(もういいよ、と言われそうw)

9月


一昨日のエントリーでも書いたけど、ChatGPTとの対話が人との対話と同じくらいの頻度で行われるようになったら、人とのやり取りにもChatGPTとの対話スタイルが逆流してきて、無配慮でストレートなスタイルになるということはありそうな気がしている。

というか、部門運営もコミュニティ運営の一形態なんだよね。これだけ転職が容易になった時代においては、特に。

10月


フルリモートの会社か、フルリモートにすることも可能な会社かの違いって結構大きいんですよね。そして、フルリモートにすることも可能な会社の方が、出社組との意識の差が生まれてしまうせいでチームビルディングの難易度は高くなるとも思う。

結局、今でも原因がわからないので、ローカルに保存してGoogleDriveに上げ直すという超絶無駄な一手間が発生している…なんなの、これ。

11月


今月の苦行はここから始まりました。思いつきで軽々しく発言をするもんじゃないですね。

一人ACのせいで12月全然はかどらなかったけど、これからまきかえしていきます!

12月


自分としての今年最大のできごとは、やはり転職でした。


2024年も、引き続きよろしくお願いいたします〜
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契約書のドラフティングを高速化するTipsに続いて、Wordマクロについてもご紹介します。

Wordマクロ作成の準備


Wordのツールバーに「開発」は表示されていない方は、「ファイル」→「オプション」「リポンのユーザー設定」で開くリボン設定の画面の右側の「開発」にチェックを入れてください。
そうすると、BoostDraftの左(いないと思いますがインストールしていない方はヘルプの左)に「開発」が表示されているはずです。
「開発」から「マクロ」を選択し、「編集」を押して表示する画面に以下の諸々を貼り付けることでマクロを使えるようになります。
なお、上記の各マクロには、「リポンのユーザー設定」の「ショートカットキー:ユーザー設定」の「分類」内の「マクロ」からショートカットキーを設定できます。

蛍光ペンを引く


Sub 黄色の蛍光ペンを引く()
Selection.Range.HighlightColorIndex = wdYellow
End Sub

Sub 蛍光ペンを消す()
Selection.Range.HighlightColorIndex = wdNoHighlight
End Sub


文字通りです。蛍光ペンを引く方をコピペしてwdYellowを別の色に変えると更にべんりになります。
いちいちツールバーから蛍光ペンを選択するのはもうやめにしましょう。
時間の無駄です。

カーソル移動


PowerToysやAutoHotKey等でグローバルなカーソル移動ショートカットキーを設定していない方でも、せめてWordではカーソルキーを使うのをやめにしましょう。
ホームポジションから手を話すことは罪なのです。
Sub 左移動()
Selection.MoveLeft Unit:=wdCharacter, Count:=1
End Sub

Sub 右移動()
Selection.MoveRight Unit:=wdCharacter, Count:=1
End Sub

Sub 下移動()
Selection.MoveDown Unit:=wdLine, Count:=1
End Sub

Sub 上移動()
Selection.MoveUp Unit:=wdLine, Count:=1
End Sub

Sub バックスペース()
Selection.TypeBackspace
End Sub

Sub デリート()
Selection.Delete Unit:=wdCharacter, Count:=1
End Sub


カッコ記入スタンバイ


細かい話ですが、カッコを書いてカッコ内にカーソルを移動させると0.5秒短縮できます。1億回やれる5000万秒の節約です。600日近く節約できるわけです。すごいですね。
Sub カッコ内記入()
Selection.TypeText Text:="()"
Selection.MoveLeft Unit:=wdCharacter, Count:=1
End Sub

Sub カギカッコ内記入()
Selection.TypeText Text:="「」"
Selection.MoveLeft Unit:=wdCharacter, Count:=1
End Sub


履歴の表示・非表示・初版表示の切り替え


修正履歴を表示していると、(令和のアプリケーションとは思えませんが)特に大きなファイルだと動作が重くなってしまうので、切り替えが0.5秒でできると便利です。1億回やれば(以下略)
Sub 履歴表示()
With ActiveWindow.View.RevisionsFilter
.Markup = wdRevisionsMarkupAll
.View = wdRevisionsViewFinal
End With
End Sub

Sub 履歴非表示()
With ActiveWindow.View.RevisionsFilter
.Markup = wdRevisionsMarkupNone
.View = wdRevisionsViewFinal
End With
End Sub

Sub 初版表示()
With ActiveWindow.View.RevisionsFilter
.Markup = wdRevisionsMarkupAll
.View = wdRevisionsViewOriginal
End With
End Sub


終わりに


上記は汎用性が高い(大抵の人にとっては便利な)マクロの例ですが、特定の会社でのみ有効だったり、特定の人にとってだけ便利な操作も色々あるのではないかと思います。
なんとなく避けている方も少なくないマクロですが、慣れればなくてはならない相棒になりますので、毛嫌いせずに色々試してみることをお勧めします〜。
(今日はまじで書く時間がなかった。危なかった…)
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2023年はChatGPTのビジネス利用が盛んに喧伝された年でした。なにしろ、ChatGPTを毎日使っていない人は、人生を悔い改めたほうが良いとさえ言われましたからね。
ただ、僕は正直全然ChatGPTを有効活用できておらず、大喜利生成マシーンとして何度か遊んだあとは放置している状態でした。

しかし、そんな中、delyの金子さんからChatGPTの使い方をハンズオンで教えていただく機会をいただき、「なるほど、こう使えばいいのか」と理解をして以来、かなり有効活用できるようになりました。
ポイントはこんな感じです(金子さんから学んだことを自分が理解できた限りで文章に起こしたものなので、文責はすべて私にあります。念の為。)
  • 答えがない問の対話の相手として使うと、時間をものすごく節約できる
  • 芯を食った回答を引き出せないときは、前提情報の入力が足りていないのが理由
  • 最初から前提情報をすべて入れようと思わない(最初から芯を食った回答を引き出せるとは思わない)ようにして、ダメ出しや追加情報で回答精度を上げていくことを意識する
  • ダメ出しは遠慮なくストレートに。前の入力や出力をコピペして具体的に指摘すると良い。
  • 回答に対する感情のフィードバック(がっかり、嬉しい、とか)も重要
  • 会話のシミュレーションをさせるのも良い。アドバイスを引き出した後、成功したパターンの会話と、失敗したパターンの会話を作らせると適用される場面がよく分かる 
おもしろいな、と思ったのは、ダメ出しがかなり「人間臭い」やり取りだったことです。「ピンとこないな」とか「そんなにうまくいくわけ無いよね」とか。
当たり前ですが、ChatGPTはどんなにダメ出しをされてもめげずに打ち返してきます。そして、ダメ出しが上手だと、どんどん回答が芯を食ってくるようになるんです。

この、やり取りでどんどん回答がブラッシュアップされていく様子はすごいなと思いましたし、指摘を指摘としてピュアに受け止められたら、人もすごい勢いで成長するのかもしれないな、という具合に、AIから人の方向への連想も発生して興味深かったです。

 他方、ChatGPTにストレートかつ繰り返しダメ出しすることに慣れてしまうと、人との対応にも配慮が薄くなって、パンチ力のあるフィードバックをしがちにならないかな、という懸念も感じたりしました。気持ちを無視したらそっちの方が早いということを知ってしまった人が、まどろっこしいお気持ちケアをどれだけ熱心にやれるかということを考えると、心許ないな、と。
そう考えると、物心ついた頃から生成AIをパートナーにしてきた世代と、そうでない世代とのコミュニケーションの質が変わったりするのかもしれません(ChatGPT後の世代は言い方に配慮が足りない、みたいな)

もう一つ、11月から思いつきで情報処理安全確保支援士というIPAの情報セキュリティの検定試験の勉強を始めたのですが、このパートナーとしてもすごく優秀であることに気づきました。
参考書やウェブサイトの解説には1から10まで書いてあるわけですが、自分にとって必要なのはそのごく一部です。その一部を検索ではなく、質問で引き出せるのはとても便利でした。加えて、もう少し突っ込んだ情報が欲しい時は、「詳しく」とオーダーすれば応えてくれます。
相手が人間だったら、タイミングや「前も同じこと質問したよな」みたいなことをどうしても気にしてしまいますが、ChatGPTには当然そのような配慮は不要です。
情報セキュリティのように正確な情報がウェブ上に公開されている分野においては、ものすごく有用だな、ということを実感しています。
そして、これは情報を食わせることで容易に他分野に展開することが可能になるはずなので、ここ数年で自習の方法は様変わりするのだろうな、という予感も抱きました。特に、法律学習の分野ではめちゃくちゃ有効な学習手段になるんじゃないかと思います。
具体的なやりとりはこんな感じです。
IMG_1303
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今回は、「チャレンジしようというけれど、みんながみんなチャレンジできるわけでもないよね」という話を書きます。

チャレンジにはコストがかかる

まず最初に強調したいのは、チャレンジはタダではない、ということです。
チャレンジは、既存の運用に異を唱えることから始まるわけで、必然的に慣れない仕事を伴いますし、うまくいかない可能性も高いものです。普通の人は、そんなことをわざわざやろうとするわけがありません。
つまり、放っておいてもチャレンジングな仕事をしたいと思っているのは一部の変な人に限られるというのがスタート地点となるはずです。

他方で、現状維持は、基本的には緩やかな衰退と同義なので、誰かがどこかのタイミングでチャレンジをしない限り、組織は徐々にダメになっていきます。そこで、組織を預かる者としては、メンバーに何とかしてチャレンジしてもらおうと躍起になるわけですが、発破をかけるだけではなかなかうまくいきません。
これは、個人にチャレンジのコストを負担させつつ成功の果実だけもぎ取ろうとしているからと考えると当たり前のことではあります。
つまり、メンバーにチャレンジをさせたかったら、チャレンジのコストを軽減する必要があるわけです。

チャレンジのコストの軽減方法

では、チャレンジのコストを軽減するためには具体的にどうするのが良いのでしょうか。

失敗を歓迎する

ポイントは、失敗を「許容」するのではなく、「歓迎」するというところです。失敗を許すのではなく、失敗を喜ぶ。もっといえば、失敗していないことに危機感を覚えるくらいでちょうどいい。
人は誰しも失敗なんてしたくはないので、歓迎すると言われても進んで失敗する人なんてそうそういません。
チャレンジの結果の失敗を目にした時にかける一言目は、「ナイスチャレンジ」の一択です。

チャレンジする際の仕組みを作る

チャレンジする際はここで宣言をしようとか、新しい取り組みを始める時はこのシートでリスクアセスメントをしようといった具合に、チャレンジの際の型や仕組みを作りましょう。
型や仕組みがあれば、最初の一歩を踏み出しやすくなります。

変化することを当然のこととする

変化によって得られるメリットは未確定のものであり、変化によって失われる便益は確定的です。また、人は失うものの価値を、得るものの価値の2倍高く評価する生き物なので、変化自体に異議を唱える人の主張の方が、変化を起こそうとする人の主張より正しく聞こえるものです。
この変化に対する抵抗に抗うためには、変えるか否かの是非を問わず、いつ、どう変えるかのが良いかだけを問うことが有効です。
変えないという選択肢を持たないことで、変化に対する許容度は格段に上がります。今がベストでない限り、変えないという選択肢が最善であることはありませんし、今がベストであるわけはないのです。

みんながチャレンジすべきというわけではない

他方で、どんなに負荷を軽減しても、チャレンジのコストはゼロにはなりません。なので、みんながみんなチャレンジをしなければならないと考えるべきではありません。できる人ができるタイミングにやればいいのです。

例えば、家族の介護や育児等で業務の負荷を重くしたくない方にチャレンジを求めるのは明らかに不適切でしょう。また、そもそも不確実性の高い業務への耐性という向き不向きの問題もありますからね。


ただ、自分でチャレンジできない人にもできる貢献があります。それは、他人のチャレンジのコストを上げない、ということです。
簡単なことです。邪魔しなければいいんです。もっといえば、応援してあげられたら最高です。
当事者でない立場から出されるアドバイスより、ずっとずっと役に立つことでしょう。
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