出不精な性分なので一瞬ためらったものの、金子さんの「とにかく現場現物です!」という言葉に背中を押されて参加した結果、めっっっっっっっっっっちゃくちゃ学びがありました。まさに、「とにかく現場現物」だな、ということを実感。
忘れないうちに、「汎用性がありそう&大切そうなこと」を書き残しておきます。
必ずできるようになる、という宣言
冒頭、主催者の方が「このセッションが終わったら、皆さんは全員必ず寿司を握れるようになっています」と、繰り返しおっしゃっていました。
最初は半信半疑だったものの、「全員できる」「これまでもそうだった」と言われると、そうなのかな、という気持ちになるものです。
できるようになった未来を想像させる
これもまた冒頭の説明で、「寿司を握れたらかっこよくないですか?」「握り方は大きく3種類ありますが、今回は最も”映える”縦返しをレクチャーします」「外国の方に寿司を握れるっていうだけで話題になります」といった具合に、寿司を握れるようになったら楽しそう、いいことありそうという未来へのイメージを具体的に想像させるメッセージはやる気を増幅させてくれました。
できる自分とできない自分だったら、対象が何でも「できる自分」の方がいいものですからね。
サンドポックスを用意する
練習を開始するにあたって、ティッシュペーパーと輪ゴムで練習用のシャリ玉とネタを作るよう指示されました。これは単に練習で本物のシャリとネタを使うともったいないからというだけでなく、失敗しても素早く何度でもやり直せるという意味で、とても有用でした。
本物のシャリだと手にくっついちゃうので、同じプロセスを繰り返し練習する妨げになっちゃいますからね。
手順はステップバイステップで解剖する
寿司を握る手順は動画になっているのですが、「右手でシャリを取って軽く整形」→「ネタを左手でつまんで手のひらに乗せる」→「左手の人差し指でわさびを取ってネタにつける」といった具合に明確にステップ分けされています。
各ステップの極めて短いので、各ステップでどう動けばよいのかが誰にでもわかります。
多くの人が躓くポイントは具体的に注意喚起
「水は想像の3倍付けてください。手についている水が足りないと、シャリが手にくっついちゃいます」とか、「人差し指でシャリを押さえるときは、左手の指の腹をアーチ状に盛り上げる」といった具合に、うまくいかなそうなポイントについては具体的にどうすればよいかのアクションが示されるので、対応に迷いにくくなります。
手を動かしながら動画をみる
レクチャーを受けた後、ティッシュのシャリ玉とネタを使いながら練習をするのですが、その際にもレクチャー動画は流されっぱなしで講師のアドバイスもちょくちょく入ります。
何度も握りのプロセスを繰り返しながら正してやり方と比較することになるので、高速に振り返りの機会が発生し、どんどんできるようになってくる実感を得られました。
正しいやり方を一方的に流しながら練習は各自かってにやるというやり方は、かなり効率的なように感じました。
手順を覚えたら早めに本物で試す
自分としてはまだ不安だな、というタイミングで「では本物のシャリとネタを使って握ってみましょう」と促されます。
本物でやってみると「シャリの整形がうまくいかない」「ティッシュではできていた手順が飛ぶ」「握っている途中でシャリがバラけちゃう」といった問題が明らかになり、ティッシュではわからなかった改善ポイントが浮き彫りになります。
本物で試した後サンドボックスに戻る
これは講師から促されたわけではないのですが、本物でいくつか握った後、ふとティッシュに戻ってみると格段に上達している事に気づきます。シャリと違って手にくっつきませんし、形も崩れないので難易度は圧倒的にティッシュの方が低い以上、考えてみれば当然のことではあるものの、「あ、うまくなってる」という実感はとても嬉しいものです。
握って食べてまた握るというループ
握ったお寿司を乗せるお皿には概ね10貫くらいしか乗らない一方で、寿司ネタは20貫分くらい提供されます。ということは、握っていると乗せる場所がなくなるわけで、握っては食べ、また握るという
ループを繰り返すことになります。
食べてみないとわからないこと(シャリが大きすぎるなとか、握り過ぎだなとか)があるので、その反省が次の握りに反映されるという意味でも高速PDCAのきっかけとなります。
良い素材を使うことで約束された勝利を演出
寿司教室では豊洲直送の素晴らしいネタと、ミシュラン掲載店が使っているブランド米・すし酢を使ったシャリが提供されました。素材が命の寿司において素材が良いということはつまり、「誰が握っても美味しいものが出来上がる」ということを意味します(素人が握ってもうまいが、寿司職人が握ると超うまくなるというだけ)。
自分の握った寿司を食べてみたらめちゃうまかった、という経験がもたらす勘違い力はかなり強力なので、モチベーションがぐっと高まります。
動画と講師の実演は別物
最初のシャリ玉を作るところがどうもうまくいかないよね、というところで金子さんが講師の方に声をかけて眼の前で1貫握っていただいたのですが、「こんなに凹ませるのか」とか「最初のシャリを取るところでほぼ整形できてるんだ(すごいな)」とか、動画ではよくわからなかったことが見え、またその場で直接質問ができるという意味でも動画と実演の違いを実感しました。実演は強い。
寿司と法務はかなり違う
実際違いがあることはさすがに僕でもわかっていたのですが、その違いの解像度がものすごく高くなりました。と同時に、寿司と法務とで共通する点もあるということも再確認できたので、今後も鮨アカデミーを法務のイネーブルメントのメタファーとして使っていく所存です(あんまり伝わらないのだろうけど)