2020年12月

色々書こうと思ったことはあったんだけど、言葉にするとうまくまとまらなかったので箇条書きで振り返る。

ソーシャルゲームやってみた
これまで忌避してきたソーシャルゲームを1万円程度課金し、それなりに時間を使って遊んでみたところ、組織運営という意味では会社の組織と共通するところが多いなということに気づいた。
この点はちゃんとまとめてエントリーにしたいと思った。
あと、課金という単語が本来の語義と真逆の意味で使われているのがおもしろいですね。

プレイヤーとしての自分とマネージャーとしての自分
非常に優秀なメンバーに恵まれて、法務業務については、ほぼ」レビュー」と「権限移譲していない事項に関する意思決定」と「進捗確認」以外は稼働が発生しない状態になった。
この状態で存在意義を出すためには、マネージャーとして何らかの価値を発揮する必要があるということであり、それは言い方を変えれば「自分がいる組織と、自分がいない組織の差分」が、「自分の給与」とバランスしていないとならないということでもあり、これは中々しんどい。
ただ、これに向き合わずにプレイヤー業務に手を出したらそれは行き止まりでしか無いので、ちゃんと勉強して、マネージャーとしての価値を発揮していかなければならないということを改めて自覚した。
あと、マネージャーの仕事は、優秀なメンバーを採用することであるという意味がよくわかった。

リモートワークがワークする人しない人
半強制的にリモートワークでの業務遂行が必要になり、幸いにも業務フローはほぼクラウド/アプリ/ウェブサービスに寄せていたので何かを変える必要は生じなかったのですが、自分を律するのが思いの外難しかった。
やるべきことをやるべきタイミングでやれる人はリモートワークに向いているし、そうでない人は向いていない。これは、サボるという意味だけでなく、働きすぎという意味でも。
とはいえ、リモートワークは今後はある程度標準的な働き方になっている以上、自分を「リモートワークに向いている人」に寄せていかなければならないんだよな〜、と思った。

人を動かせる人
対面ではないコミュニケーションの機会が希少になったことにともない、コミュニケーションスキルの価値が高くなりました。
コミュニケーションスキルというと、なんとなくしゃべる上手みたいな印象を抱いてしまうのでもっとブレイクダウンすると、人を動かす力、ですね。
これからは、リモート環境下でも人に影響を与え、人を動かせる人の価値がどんどん高くなっていくと思います。(そして、その逆もまた真だと思います。残酷な話だけれど)

と言ったところで時間切れ。

2020年も各方面でたくさんの方にお世話になりました。
2021年も引き続き、よろしくお願いします。

契約書の締結日にうっかり2020年1月って書かないように、みんな気をつけましょうね〜
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僕がまだ駆け出しの法務担当者だった頃、きっかけは忘れてしまったけど、Business Law Journalの前身であったLexis企業法務という雑誌の創刊号を手にとったことを今でも薄っすらと覚えている。
それまでの法務向けの雑誌がまとっていた格調の高さを軽やかに脱ぎ捨て、等身大の法務担当者の目線で構成された記事に物珍しさを感じ、上司に掛け合って定期購入を開始することになった。

失礼な言い方になってしまうかもしれないけれど、僕に言わせると、BLJは、企業法務の雑誌ではなかった。
BLJは、企業法務担当者の雑誌だった。

BLJは、「読者交流会」という名の法務担当者を集めた飲み会を何度も繰り返し主催した。
一人3000円の会費なのに、その倍くらいの予算が必要なお店で、業種や年齢の垣根を超えて法務担当者が交流する場をなぜBLJ編集部が主催しているのかが不思議で、何度か「なぜこんなことを続けているのですか?」と、不躾にも質問したことがある。
もちろん、BLJ編集部としての(とても合理的な)狙いは確かにあったのだけれど、それは同時に、社内に人間関係が閉じがちな法務担当者にとって、間違いなく外の世界に向けて開かれた扉でもあった。

また、BLJは、無名の法務担当者に記事執筆の機会を与えてくれる場でもあった。
著名な企業の法務部長でも、時代の最先端を走るインハウスでもないけれど、日々悩みながら課題を解決し、知見を蓄積してきた法務担当者が、そのエッセンスを記事という形でBLJに発表し、人に読まれ、役に立ったという経験は、座席スポットライトを当て、観客をステージに引き上げるような営みだったと思う。そういった経験は、その人の一生を変えることすらある。


つまりBLJは、企業法務の雑誌ではなく、企業法務担当者の雑誌だった。


ある日、ライトニングトークという形態のイベントがエンジニア界隈で流行っているということを知った僕は、いつものノリでとりあえずやってみるかと企画してみたものの、当時所属していた会社は外部イベントに会議室を貸し出すようなタイプの会社ではなかったため、会場の確保がネックになっていた。
そこで、読者交流会でのツテでBLJ編集部に「御社の会議室を貸していただけませんか?」とダメ元で依頼してみると、すぐにOKしてくれた。
ただの読者でしかない一介の法務担当者が企画した前例のないイベントのために自社の会議室を貸し出す雑誌の編集部がどこにあるだろうか。ちなみに、BLJ編集部は会場を貸してくれるだけでなく、きっちりLTもしてくれた。さらに第3回目に至っては、読者交流会をマージして主催すら買って出てくれた。
正直ちょっとおかしいんじゃないかとは思うけど、別に不思議ではない。だって、BLJは、企業法務担当者の雑誌だからね。


何度か転職をし、そのたびに転職先でBLJの定期購読の決裁を取った。
僕は企業法務担当者だったから、企業法務担当者の雑誌であるBLJを定期購読をするのはとても自然なことだった。
定期購読が認められないときは、個人で定期購読をした。だって、僕は企業法務担当者だったから。


ただ、僕はいつまでも企業法務担当者で居続けることはできなかった。
ビジネスパーソンとして担当領域を広げるチャレンジをしたかったし、法務という枠を超えたチームマネージメントにも携わりたかった。


そのうち僕は、BLJをあまり読まなくなってしまった。


そして、先日、BLJが休刊するという報に触れた。


最初によぎった感想は「残念」でも「しょうがない」でもなく、「申し訳ない」だった。
一方的に世話になり、勇気づけられ、機会を提供されながら、いつの間にか定期購読すらしていなかったことに、申し訳ないと思った。
ただの読者なのに、自分でもちょっと変だと思うけど、本当にそう思った。

自分ひとりの購買行動で何が変わるというわけではないけど、「最終号が自宅に届いた」というtweetを見かけるたびに、なんども申し訳ないと思った。

そんな経験はないけれど、一方的に世話になっておきながら自分の都合で不義理をしてしまった親戚の訃報に触れたときは、こんな感情を抱くんじゃないかと思う。

もう一度だけ言うけど、BLJは、たしかに企業法務担当者の雑誌だった。

ありがとう、Business Law Journal
またいつか「うちにはまだ届いてないぞ」ってtweetしたいね。

メリー・クリスマス!
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法務系アドベントカレンダー2020二日目のエントリーです。



はじめに


当初はアドベントカレンダーのネタとして、何かしらのTipsネタを書こうかとも思ったのですが、せっかく普段触れない人の目に触れる可能性のある機会なのでもうちょいエモいことを書いてみようと考え直し、法務の人の大好物である「法務の存在意義」を取り上げることにしました。

さて、今も昔も、法務の人は「法務の存在意義」みたいな話題が大好きです。
ただ、法務であろうが営業であろうがディレクターであろうが広報であろうが、会社に雇われている以上、存在意義を最も抽象化すると「企業価値の最大化」に行き着くはずなので、法務の存在意義も、結局の所、どうやって企業価値の向上に寄与しているのかという観点を離れることはでぎせん。

では、法務は、というか法務であるあなたは、どうやって企業価値の向上に寄与しているでしょうか。

コストはほんとに減ってる?


企業価値を向上させるためには、収益最大化するというわかりやすいものに加え、収益とは直接結びつかない社会貢献という形でも寄与することができます。
また、収益については売上とコストが影響し、コストはさらに足元のコストと、潜在的な将来コストに分解することができます。(もちろん、他の分類の方法もあると思います)
これを図式化したものがこちらです。
image
さて、法務としてあなたが貢献しているのは、上記のどのポイントでしょうか。

おそらく、ほとんどの方が「将来コスト(リスク)の最小化」を挙げたのではないかと思うので、それを前提に次の質問をします。

あなたの寄与によって、将来コストは、どのくらい下がったのでしょうか。
その下がったコスト分と、あなたに対して会社が負担しているコストである「人件費+法定福利費+福利厚生費+交通費(これは今発生していないかもですが)などなど」との差分が、地に足のついた「あなたの存在意義」だと思うのです。


あなたが会社にとって有益なのは、あなたに支払っているコスト以上にあなたが会社に価値を返している場合に限られます。もしそれが釣り合っていない場合には、あなたは会社や他のメンバーにとってのお荷物でしか無いわけです。そうなると、もはや法務の存在意義をクリエーション機能、ナビゲーション機能などとかっこよく論じている場合ではありません。法務以前に、あなた自身の存在意義が危機に晒されているのです。

また、業務効率化を推進することにより、足元のコスト削減に寄与している、とおっしゃる方もいるかも知れません。しかし、その削減したコストって、本来必要なコストだったのでしょうか。
法務として、本来不要な障壁を高々と築き上げ、それを壊したことを指して業務効率化とうそぶいていないでしょうか。
それは、一般的には業務効率化ではなく、マッチポンプと呼ばれている行為です。

法務は有用だからといって、あなたが有用とは限らない


こんなこと言うと、私が法務の存在意義を否定しているように捉えられてしまうかも知れませんが、そんなつもりは全くありません。
もしそんなことを考えていたら15年も法務を生業とすることなどできなかったでしょう。
みなさんと同様、私も、法務は会社にとって間違いなく必要な存在であると自信を持って断言できます。ですが、それをもって、私や、あなたが会社にとって必要な存在であるとは言えないのです。
つまり、会社にとって法務は必要だが、同時に、会社は私やあなたのような法務を必要としていないということは両立しうるのです。

会社や上司や同僚が何を求めているか、ではなく、企業価値の向上に寄与しているか


おそろしいことに、企業価値の向上に寄与していない法務であっても、それを指弾されることは多くはありません。なぜなら、法務の価値を法務以外の人が正確に見積もることは難しいからです。
そのため、企業価値の向上に寄与していないことに気づかずに禄を食み続け、気づけば何十年も会社に寄生していたということも起こりうるのです。

このような状態を避けるためには、会社や、上司や、同僚があなたに何を求めているかを一旦離れて、企業価値の向上にどの程度寄与しているかという視点で自分を見つめ直す必要があります。修正が早くて助かった、という評価は、実は不要な修正を素早く行ったことに対する賛辞かもしれないのですから。

リーガルテック花盛りの今だからこそ、今の業務をツールを駆使して効率化するのではなく、企業価値の向上に寄与しない業務をやめることで、より本質的な業務効率化に向き合う必要性がより固まっているように思うのです。

後半駆け足になってしまいましたが、この辺で。


3日目はdtk1970さんです〜
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