以前のエントリーで、「キャリアは不正取得されたSIM無し端末の接続を拒めないんじゃないか」という趣旨のことを書いたのですが、こちらのエントリーを通じて、相変わらず中古端末にロックを掛ける処置は続いていることを知ったので、SBMのお客様センターに電話して根拠を聞いてみました。お客さまじゃないけど。

で、教えてもらった答えは、
ソフトバンク通信サービス契約約款第7章の第70条の1項9号と11号
とのことでした。

3G約款に置き換えると、第42条の1項9号と11号になりますね。
※リンク先はPDFなのでご注意!

なお、当該条項の内容は次の通りです。
  • (9) 携帯電話不正利用防止法第7 条第1 項又は第10 条の規定に違反したとき。
  • (11) 携帯電話不正利用防止法第9 条の規定に基づき、第19 条(3G サービス契約者の契約者確認)又は第26条において準用する契約者の契約者確認に規定する契約者確認を行い、契約者確認ができないとき。

  • 約款上の根拠がわかったら次は条文だ!ということで、携帯電話不正利用防止法7条1項をLAW launcherで引っ張ってきてみると、
    第七条 契約者は、自己が契約者となっている役務提供契約に係る通話可能端末設備等を他人に譲渡しようとする場合には、親族又は生計を同じくしている者に対し譲渡する場合を除き、あらかじめ携帯音声通信事業者の承諾を得なければならない。
    とあります。
    ※なお、9条は警察署長の確認要請関連、10条は端末貸与関連なので本件と無関係と判断

    ここで、中古屋さんで売ってるSIM無し端末が通話可能端末設備等に該当すれば、不正取得者は当然この要件を満たさないので、SBMは無事利用停止ができることになるのですが、通話可能端末設備等とは、「通話可能端末設備又は契約者特定記録媒体」(法5条1項)とあり、前者は通話が可能な通信端末を指し(法2条5項参照)、後者はいわゆるSIMを指す(同6項参照)ので、通話もできず、SIMも含まない中古端末(いわゆる普通に中古屋さんで売っている端末)には、7条は適用されないと考えるのが素直だと思います。

    ってことは、SBMに教えてもらった約款の条項は、不正中古端末の売買のケースでは、適用できないんじゃ・・・
    なんか見落としがあったりするのかな?


    日本では当然のようにキャリアとメーカーががっちりこってり垂直統合されているので、不正取得された端末に紐づけて通信サービスの提供を止められても、それほど違和感を感じないけど、そもそもこれっておかしいことなんだよね。
    例えば、自分がたまたまリサイクルショップで買ったピピッとコンロが実はかつて東京ガスのショールームから盗難されたもので、東京ガスに「このガスコンロは盗難されたものなので、ガスを止めます。適正に入手したことを証明してください。」って言われたら、どう思うよ。
    これがほんとのガス欠ですねって、うるさいわ。

    と、一つもうまいことを言えずに、携帯電話メーカーの阿鼻叫喚を尻目に総務省が作り上げようとした通信と端末の切り離しは、やっぱり無茶だったみたいだよ、母さん。と、遠い目で富士山を眺めた昼下がりでした。

    さて、昼休みも終わったし、仕事するか・・・
    天気いいなー。くそー。

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    ちなみに、SBMのお客様センターのおねいさんは、とても感じの良い人でした。