このエントリーは、法務系Advent Calendar 2022の23日目のエントリーです。
TMIの大井先生からバトンを受け取りました。
以前、twitterで法務担当者向けにキャリアの仕上がりの理想についてアンケートをとった際に、最も票数を獲得したのは法務部門の責任者でした。
それにもかかわらず、これまで法務部門長のしごとの全体像についてはあまり語られてこなかったのではないかと思います(単に僕が知らなかっただけだったらごめんなさい)。
そこで、今年の #LegalAC では、これまでのマネージャー業の棚卸しの意味も込めて、法務部門長のしごとを取り上げてみることにしました。
本稿では、法務部門長のしごとを、「チームを作る」と「チームを動かす」の2つに大きく分けました。
そして、さらに、「チームを作る」は「採用」と「育成」と「カルチャー作り」に、「チームを動かす」は「目標の設定」と「予算の策定」と「モチベート」と「アサイン」と「評価」に分けています。
チームを作る第一歩は、当然ながら採用です。
採用というと、「選考を通じて良い人を選ぶ業務」を想起してしまいますが、待ちの姿勢だけで自分の思い描くチームを作るのは、会社の魅力がとても高いような例外を除けば難しいはずです。そのため、この人と一緒に働きたいと思える人を普段から探し続けること、出会った良い人とつながりを持つことなども大切になります。
法務の採用については、私が法務マネージャーの範として私淑しているVISIONALの小田さんの全人格的な採用スタンスをロールモデルにしています。
全人格的ということは、取り繕えないということでもあるので、後述するカルチャー作りから採用は始まっているという言い方もできるのではないかと思います。
育成といっても、知識やスキルを直接教えることは誰でもできる以上、法務部門長のしごとというには語弊がありそうです。
では、何が法務部門長が取り組むべき育成なのかというと、それは、メンバー自身の成長を後押しすることだと思っています。
成長を後押しするといっても、直接インプットを求めるようなことは逆効果です(そういうことを言いたくなったら、学生時代に、親から「勉強しなさい」と言われたときの気持ちを思い出してくださいね。)。
そもそも、やる人は言われなくてもやるし、やらない人は何を言われてもやらないのがスタート地点です。だとすると、法務部門長が取り組むべきことは、小さな成長を見逃さずに称賛したり、できることを増やそうと努力することはいいことだというムードをつくったりすることを通じて、「やる人」になってもらうことかな、と。
最初から「やる人」を採ることも重要なので、採用とも密接に繋がっていますし、ムード作りという意味では後述するカルチャー作りにも繋がっています。また、めんどくさいことを言われずに必要な研修の受講や書籍購入ができるようにするという意味では、予算の策定も影響してきます。
カルチャーは、常にそこにあるものだと思うので、カルチャー作りというよりカルチャー変革と言った方がしっくり来るのですが、やや大仰になってしまうので、カルチャー作りとしています。
これは、行動指針や業務ルールの策定、日々のフィードバックなどを通じて組織のムードを変えていくという仕事です。
カルチャーづくりにおいて気をつけなければならないのは、居心地の良さや仲の良さみたいななんとなく良さそうなものではなく、組織目標を達成するために必要なカルチャーを定義し、それを目指すことだと思っています。
なお、良いカルチャーも、たった一人の声の大きな冷笑家や評論家が入ってくるだけであっという間に崩れ去ってしまうものなので、採用の際にはカルチャーブレイカーではないかをよく確認する必要があります。
組織として何を目指すのかを定めて明示するのが、目標の設定です。
法務がどの方向に向かうのかを示す旗印になる目標や、個人の目標策定の際に依拠できるのが良い組織目標だと思ってはいますが、なかなか難しいんですよね。
チームのミッションの策定も、組織目標に含んでいます。
何にいくら使うのかをスプレッドシートに書くことは最終的な作業で、実のところいちばん大切なのは、予算枠をとってくることだったりします。
予算枠はある程度の柔軟性はあるものの性質としてはゼロサムゲームなので、「お前が必要と言うならそうなんだろう」と決裁者に思ってもらえる信頼関係がとても重要になります。
予算がなければ採用もできないので、予算の策定は採用と密接に関連します。
アサインも、本人の希望と業務をすり合わせて担当を割り振るだけでは不十分です。
例えば、権限移譲を通じて成長を促したり、高頻度のローテーションで変化を当然のこととして受け入れるカルチャーを育んだりすることもアサインのしごとに含まれます。
また、本人が気づいていない「向いている業務」の発見を手伝うことも、アサインによって実現できることの一つです。
やる気の有無でパフォーマンスは大きく変わり、部門長の振る舞いによってメンバーのパフォーマンスは大きく変わるという意味で、メンバーのモチベートは部門長の最重要業務の一つです。
褒めてやる気にさせる、みたいな小手先のテクニックではなく(そういうのはたいてい透けて見えちゃうものなんですよね)、カルチャーや組織目標への共感や、成長実感などでモチベートできるようになると、好循環が回り始めるのでぜひそういう状態を目指したいですね。
目標設定の段階で達成できた場合の評価について認識合わせをするという意味で、目標設定も評価の一部に含んでいます。
評価は育成、カルチャー作り、組織目標の設定、アサイン、モチベートと密接に関連しているものなので、評価は部門長の業務の集大成と言えるものだと思います。
例えば、評価を通じて「来期はこれに取り組もう」ということに合意できれば、メンバーは「これ」をうまく進められるように努力をしてくれるかもしれませんし、率直なフィードバックを受け入れるカルチャーを作れていれば、傷つけないように過度に配慮するあまり何のダメ出しをしているのかわからないという状態を避けられるかもしれません、と言った具合に。
別の言い方をすれば、評価をいい感じに回せているかは、部門長のしごとをうまくやれているかを端的にあらわしているのかもしれません。
もし、このエントリーを読んで部門長の仕事っておもしろそうだな、とか、出世に興味なかったけど、ちょっと目指してみようかな、なんて思ってくれる方が一人でも出てくれたらめっちゃ嬉しいです。
感想、反論、励まし、一緒に働きたいというお申し出は、@kataxまたはマシュマロまで!
TMIの大井先生からバトンを受け取りました。
はじめに
以前、twitterで法務担当者向けにキャリアの仕上がりの理想についてアンケートをとった際に、最も票数を獲得したのは法務部門の責任者でした。
【法務担当者向けアンケート】キャリアの仕上がりの理想は?
— KATAOKA Genichi (@katax) October 2, 2022
それにもかかわらず、これまで法務部門長のしごとの全体像についてはあまり語られてこなかったのではないかと思います(単に僕が知らなかっただけだったらごめんなさい)。
そこで、今年の #LegalAC では、これまでのマネージャー業の棚卸しの意味も込めて、法務部門長のしごとを取り上げてみることにしました。
アウトライン
本稿では、法務部門長のしごとを、「チームを作る」と「チームを動かす」の2つに大きく分けました。
そして、さらに、「チームを作る」は「採用」と「育成」と「カルチャー作り」に、「チームを動かす」は「目標の設定」と「予算の策定」と「モチベート」と「アサイン」と「評価」に分けています。
チームを作る
採用
チームを作る第一歩は、当然ながら採用です。
採用というと、「選考を通じて良い人を選ぶ業務」を想起してしまいますが、待ちの姿勢だけで自分の思い描くチームを作るのは、会社の魅力がとても高いような例外を除けば難しいはずです。そのため、この人と一緒に働きたいと思える人を普段から探し続けること、出会った良い人とつながりを持つことなども大切になります。
法務の採用については、私が法務マネージャーの範として私淑しているVISIONALの小田さんの全人格的な採用スタンスをロールモデルにしています。
全人格的ということは、取り繕えないということでもあるので、後述するカルチャー作りから採用は始まっているという言い方もできるのではないかと思います。
育成
育成といっても、知識やスキルを直接教えることは誰でもできる以上、法務部門長のしごとというには語弊がありそうです。
では、何が法務部門長が取り組むべき育成なのかというと、それは、メンバー自身の成長を後押しすることだと思っています。
成長を後押しするといっても、直接インプットを求めるようなことは逆効果です(そういうことを言いたくなったら、学生時代に、親から「勉強しなさい」と言われたときの気持ちを思い出してくださいね。)。
そもそも、やる人は言われなくてもやるし、やらない人は何を言われてもやらないのがスタート地点です。だとすると、法務部門長が取り組むべきことは、小さな成長を見逃さずに称賛したり、できることを増やそうと努力することはいいことだというムードをつくったりすることを通じて、「やる人」になってもらうことかな、と。
最初から「やる人」を採ることも重要なので、採用とも密接に繋がっていますし、ムード作りという意味では後述するカルチャー作りにも繋がっています。また、めんどくさいことを言われずに必要な研修の受講や書籍購入ができるようにするという意味では、予算の策定も影響してきます。
カルチャー作り
カルチャーは、常にそこにあるものだと思うので、カルチャー作りというよりカルチャー変革と言った方がしっくり来るのですが、やや大仰になってしまうので、カルチャー作りとしています。
これは、行動指針や業務ルールの策定、日々のフィードバックなどを通じて組織のムードを変えていくという仕事です。
カルチャーづくりにおいて気をつけなければならないのは、居心地の良さや仲の良さみたいななんとなく良さそうなものではなく、組織目標を達成するために必要なカルチャーを定義し、それを目指すことだと思っています。
なお、良いカルチャーも、たった一人の声の大きな冷笑家や評論家が入ってくるだけであっという間に崩れ去ってしまうものなので、採用の際にはカルチャーブレイカーではないかをよく確認する必要があります。
チームを動かす
組織目標の設定
組織として何を目指すのかを定めて明示するのが、目標の設定です。
法務がどの方向に向かうのかを示す旗印になる目標や、個人の目標策定の際に依拠できるのが良い組織目標だと思ってはいますが、なかなか難しいんですよね。
チームのミッションの策定も、組織目標に含んでいます。
予算の策定
何にいくら使うのかをスプレッドシートに書くことは最終的な作業で、実のところいちばん大切なのは、予算枠をとってくることだったりします。
予算枠はある程度の柔軟性はあるものの性質としてはゼロサムゲームなので、「お前が必要と言うならそうなんだろう」と決裁者に思ってもらえる信頼関係がとても重要になります。
予算がなければ採用もできないので、予算の策定は採用と密接に関連します。
アサイン
アサインも、本人の希望と業務をすり合わせて担当を割り振るだけでは不十分です。
例えば、権限移譲を通じて成長を促したり、高頻度のローテーションで変化を当然のこととして受け入れるカルチャーを育んだりすることもアサインのしごとに含まれます。
また、本人が気づいていない「向いている業務」の発見を手伝うことも、アサインによって実現できることの一つです。
モチベート
やる気の有無でパフォーマンスは大きく変わり、部門長の振る舞いによってメンバーのパフォーマンスは大きく変わるという意味で、メンバーのモチベートは部門長の最重要業務の一つです。
褒めてやる気にさせる、みたいな小手先のテクニックではなく(そういうのはたいてい透けて見えちゃうものなんですよね)、カルチャーや組織目標への共感や、成長実感などでモチベートできるようになると、好循環が回り始めるのでぜひそういう状態を目指したいですね。
評価
目標設定の段階で達成できた場合の評価について認識合わせをするという意味で、目標設定も評価の一部に含んでいます。
評価は育成、カルチャー作り、組織目標の設定、アサイン、モチベートと密接に関連しているものなので、評価は部門長の業務の集大成と言えるものだと思います。
例えば、評価を通じて「来期はこれに取り組もう」ということに合意できれば、メンバーは「これ」をうまく進められるように努力をしてくれるかもしれませんし、率直なフィードバックを受け入れるカルチャーを作れていれば、傷つけないように過度に配慮するあまり何のダメ出しをしているのかわからないという状態を避けられるかもしれません、と言った具合に。
別の言い方をすれば、評価をいい感じに回せているかは、部門長のしごとをうまくやれているかを端的にあらわしているのかもしれません。
おわりに
もし、このエントリーを読んで部門長の仕事っておもしろそうだな、とか、出世に興味なかったけど、ちょっと目指してみようかな、なんて思ってくれる方が一人でも出てくれたらめっちゃ嬉しいです。
感想、反論、励まし、一緒に働きたいというお申し出は、@kataxまたはマシュマロまで!
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