世の中には、転職者が転職先で孤立しないようにするためのtips(現職を落とす形での前職との比較は避ける、とか)や、早く成果を出せるようになるためのコツ(キーマンを特定しよう、とか)を読む機会はあるのですが、心を守るという軸での話はあまり見かけないな、と思ったので、3年に一度転職するkataxさんに、この点について再度お話をお伺いすることにしました

こんにちは。転職してそろそろ3ヶ月ですが、お仕事の調子はいかがですか?

こんにちは。
業界が変わったこともあり、慣習がわからない、相場感をつかめないという難しさは日々感じています。ただ、チームメンバーがみんないい人なので、難しさを感じつつも日々楽しくやれてます。


それは何よりです。
ところで、会うたびに名刺が変わるので名刺交換をする意味がないと言われるほど節操なく転職しているkataxさんですが、転職による環境の変化に馴染むのはもうお手のもの、という感じなのでしょうか?


いえ、全くそんなことはないです。さすがに緊張することはもうありませんが、転職直後はパフォーマンスは毎回ガクンと落ちるのでできない自分と否応なく向き合う羽目になりますし、人間関係もリセットされるのでその再構築もしなければならず、心の負荷は毎回かなり重いものを感じています。


そうだったんですね。では、転職直後の心の負荷はどのようにかわしているのでしょうか?

正直、そういうものだと思って首をすくめて体が新しい環境に馴染むのを待つしかないのだろうとは思います。とはいえ、そういているうちにバリバリ働いている周りの同僚に比べて自分は何をやっているんだ…という思いが首をもたげてきちゃうのが怖いところではあります。そして、焦って塹壕から飛び出したところに砲弾が直撃して瀕死、みたいな。
他方で、いつまでも塹壕の中でうずくまっていると、「なんだこいつ?使い物にならんぞ」ということになるわけで、結局はバランスなんですけどね。


どうやってバランスを取っているのですか?

まずは、焦らないことです。焦った人は判断ミスをしますからね。
そして、焦らないために重要なのは、自分が首をすくめながらもやれていることに着目することだと思っています。


やれていること、ですか?

そうです。
先ほどお伝えした通り、転職直後は誰しもたいていパフォーマンスが大きく落ちるものです。なので、転職前はもっとやれていたのに、とか、自分は持ってできるはずと思ってしまいがちなのですが、これは焦りそのものですよね。
なので、今日できたことに着目するんです。そして、明日できるようになることを積み上げていく。
塹壕の底でうずくまっているだけでなく、少しずつ安全な顔の出し方を学んで反撃していくイメージです。


理屈としてはわかりますが、うまくいくものですか?

まぁ、確かに、こんなことをいわれて「確かに!」とすぐに納得するのは、金持ちになる壺とかがんが治る浄水器を買わされるリスクが高いタイプだけで、普通の人は「そうは言っても…」ってなりますよね。
でもですよ。だからこそ、意図的にそうする必要があると思うんです。
こう考えればうまくいく、ではなく、塹壕から飛び出そうとする自分を押し留め、塹壕の底でうずくまる自分を奮い立たせるために、無理やりそう考えるんですよ。

あと、もう一つ重要なのは、できる同僚と自分を比較しない、ということですね。


といいますと?

転職者、特に即戦力枠で入ってきた方の中には、自分がチームで最も仕事ができる人でなければならないと気負っている方が一定割合でいらっしゃる印象です。
そういう方は、チーム内で最も仕事ができる人と自分を比べてその差を見ることになりますが、それだと差分が圧倒的すぎるんですよね。


そして、その圧倒的な差に怯んでしまうということですね?

そうです。もちろん、壁は高い方がいいと言った感じで果敢に挑めるマッチョな方はそれでもいいのですが、僕を含む多くの普通の人は卑屈になってしまったり、競争心が変な形で発露して微妙な空気をチームにもたらしてしまったりしがちです。

そもそも、まともな会社は転職者がすぐに100%のパフォーマンスを発揮することなんて期待していないので、最初からトップを目指す必要なんてないんですよ。


では、転職者は何を目指せば良いのでしょうか

一つ目は、いいやつだと思ってもらうことだと思います。
こいつを塹壕の中で死体にさせたくない、とテーマメンバーに思ってもらえる人は、自然とな穴倉から引き上げてもらえますからね。

もう一つはチームに具体的な価値をもたらすことだと思います。
たくさんでなくても、トップレベルでなくても、独自性がなくてもいいんです。来てくれて良くなったね、楽になったね、と思われるくらいのところをゴールにするだけでいい。


なるほど、そのくらいならやれるかもしれません。
そろそろお時間だと思いますので最後に一つだけ良いでしょうか?

もちろんです。


今回、塹壕のメタファーでがんばりましたが、正直、あれ、イマイチでしたよ。
それでは、今日はありがとうございました。

あ、ありがとうございました…