今回は、「チャレンジしようというけれど、みんながみんなチャレンジできるわけでもないよね」という話を書きます。

チャレンジにはコストがかかる

まず最初に強調したいのは、チャレンジはタダではない、ということです。
チャレンジは、既存の運用に異を唱えることから始まるわけで、必然的に慣れない仕事を伴いますし、うまくいかない可能性も高いものです。普通の人は、そんなことをわざわざやろうとするわけがありません。
つまり、放っておいてもチャレンジングな仕事をしたいと思っているのは一部の変な人に限られるというのがスタート地点となるはずです。

他方で、現状維持は、基本的には緩やかな衰退と同義なので、誰かがどこかのタイミングでチャレンジをしない限り、組織は徐々にダメになっていきます。そこで、組織を預かる者としては、メンバーに何とかしてチャレンジしてもらおうと躍起になるわけですが、発破をかけるだけではなかなかうまくいきません。
これは、個人にチャレンジのコストを負担させつつ成功の果実だけもぎ取ろうとしているからと考えると当たり前のことではあります。
つまり、メンバーにチャレンジをさせたかったら、チャレンジのコストを軽減する必要があるわけです。

チャレンジのコストの軽減方法

では、チャレンジのコストを軽減するためには具体的にどうするのが良いのでしょうか。

失敗を歓迎する

ポイントは、失敗を「許容」するのではなく、「歓迎」するというところです。失敗を許すのではなく、失敗を喜ぶ。もっといえば、失敗していないことに危機感を覚えるくらいでちょうどいい。
人は誰しも失敗なんてしたくはないので、歓迎すると言われても進んで失敗する人なんてそうそういません。
チャレンジの結果の失敗を目にした時にかける一言目は、「ナイスチャレンジ」の一択です。

チャレンジする際の仕組みを作る

チャレンジする際はここで宣言をしようとか、新しい取り組みを始める時はこのシートでリスクアセスメントをしようといった具合に、チャレンジの際の型や仕組みを作りましょう。
型や仕組みがあれば、最初の一歩を踏み出しやすくなります。

変化することを当然のこととする

変化によって得られるメリットは未確定のものであり、変化によって失われる便益は確定的です。また、人は失うものの価値を、得るものの価値の2倍高く評価する生き物なので、変化自体に異議を唱える人の主張の方が、変化を起こそうとする人の主張より正しく聞こえるものです。
この変化に対する抵抗に抗うためには、変えるか否かの是非を問わず、いつ、どう変えるかのが良いかだけを問うことが有効です。
変えないという選択肢を持たないことで、変化に対する許容度は格段に上がります。今がベストでない限り、変えないという選択肢が最善であることはありませんし、今がベストであるわけはないのです。

みんながチャレンジすべきというわけではない

他方で、どんなに負荷を軽減しても、チャレンジのコストはゼロにはなりません。なので、みんながみんなチャレンジをしなければならないと考えるべきではありません。できる人ができるタイミングにやればいいのです。

例えば、家族の介護や育児等で業務の負荷を重くしたくない方にチャレンジを求めるのは明らかに不適切でしょう。また、そもそも不確実性の高い業務への耐性という向き不向きの問題もありますからね。


ただ、自分でチャレンジできない人にもできる貢献があります。それは、他人のチャレンジのコストを上げない、ということです。
簡単なことです。邪魔しなければいいんです。もっといえば、応援してあげられたら最高です。
当事者でない立場から出されるアドバイスより、ずっとずっと役に立つことでしょう。