カテゴリ: 雑記

自明のことですが、Slay the Spireは名作です。
なにしろ、おもしろいというだけでなく、マネージメントも学べてしまうのですから、最高です。

今回のエントリーでは、またもやエアロバイクを漕ぎつつSlay the Spireから学んだマネージメントの要素を振り返ってみようと思います。

今の手札で戦うしかない

スレスパは手札を出して戦うカードゲームです。つまり、手札にないカードは使えません。
そして、毎ターン持っている手札を全て使えるわけではなく、ターンごとに使えるのは配られる6枚+強化で足した枚数だけなのです。
あー今あのカードが手元にあればうまくいくのに、と思っても無意味です。だって、手元にないんだもの。
マネージメントも同様で、彼が今いてくれたらな、とか、自分が英語をスラスラ喋れたらな、とか思っても無意味です。あなたが今持っている手札でなんとかするしかないのです。

勝ちパターンは一つではない

スレスパはキーとなる強いカードを持っているだけで勝てるというゲームではなく、キーカードを活かすためのカードやレリックの組み合わせと相まって、勝ちパターンを作って始めて勝てるようになるゲームです(カードゲームは基本的に全てそうですよね)
そして、どんなカードやレリックをひくかはランダムなので、run(1ゲームの単位)ごとに勝ちパターンを変える必要があります。というか、状況に合わせて作りにいく勝ちパターンを変えないと、勝ち続けることができないのです。
マネージメントも同様で、チームの状態や外部環境に合わせてやり方を変えなければ頓挫してしまいます。自分の勝ちパターンに寄せるのではなく、今のチームにとっての勝ちパターンを見つけて、それを実装する必要があるのです。

準備がいまいちだとがんばっても勝てない

今の手札で戦うしかないということの裏返しですが、手札やポーションやレリックが揃っていない状態・勝ちパターンを作れていない状況でボスやエリートと戦っても勝てません。戦う前から負けが決まっているのです。
マネージメントも同様で、平時にちゃんと準備をしていなければ、問題が発生したときに対処することができません。平時も、後から振り返ると、常に戦前なのです。

準備しても常に勝てるわけではない

ここが大切なのですが、カードの引きが悪かったり、勝ちパターンと相性が悪い強敵と当たってしまうと、デッキ(手持ちのカードのセット)をどんなにうまく作れていても負ける時は負けます。でも、それでいいのです。負けたら次のrunを始めればいいだけなのですから。
マネージメントも同様で、どんなに準備をしていても、予想もしていなかった事態や考慮漏れや判断ミスにより、必ずどこかで酷い失敗をすることになります。でも、それでいいんです。ひとしきり振り返ったら、次のrunを始めればいいんです。

何かを得るためには何かを諦めなければならない

エリートと戦うとレリックを得られるのですが、高い確率で大きなダメージを受けるとこになりますし、エナジー(カードを使う際に消費されるリソース)を増やすレリックは必ず大きなデメリットを伴います。キャンプでカードをアップグレードしたければ、代わりに体力を回復する機会を諦めなければなりません。
これらのダメージやデメリットを負いたくないといって避け続けていると、勝ちパターンを作らないままに敵が強くなり、ジリ貧になります。
マネージメントも同様で、みんなにいい顔をしたり、抱えている組織課題を全て解決しようとすると、どこかで破綻してしまいます。何かを捨てなければ、何かを得ることはできないのです。

使い方が下手だと強いカードも使い物にならない

スレスパの攻略サイトを見ると、自分が使えないと思ってスルーしていたカードが実は相当な強カードだったことが判明することがあります。要は、カードの使い方・活かし方がわからずに「使えない」と判断していたってことです。
もちろんその逆もあって、自分の勝ちパターンにハマっているから便利に使っていたカードが、実は普通の使い勝手のものでしかないこともあります。自分の勝ちパターン自体がへぼい時が典型です。悪いのはカードではなくあなたの方なのです。
マネージメントも同様で、全然ダメだと思っていた人や、他所でそう見なされていた人が、使う人が変わると大化けするということは珍しくありません。また、あなたが優秀だと思っていた人が、単に(へぼい)あなたとの相性が良かっただけの普通の人ということもあり得るのです。

所詮はゲーム

くどくど書いてきましたが、どんなに名作であろうとスレスパは所詮ゲームの一つに過ぎず、あなたの人生ではありません。
マネージメントも同様で、所詮は会社などの特定の組織における役割の一つに過ぎず、あなたの人生そのものではありません。楽しければ楽しめばいいし、合わなければやめちゃえばいいんですよ。そんなもん。

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今から20年以上前に大ヒットした世界に一つだけの花では「ナンバーワンにならなくてもいい。元々特別なオンリーワン」と歌われていました。それとはちょっと意味は違いますが、掛け算や軸ずらしでライバルを減らしてナンバーワンをとりに行くという意味でオンリーワンも、一時期盛んにもてはやされていました。
でも、このオンリーワンというのはくせものだよな、というのが今回のテーマです。

存在価値の脆さ

人がナンバーワンまたはオンリーワンを目指すときは、その人自身の価値に着目しています。「その人が一番上手くやれる」「この人にしかできない」という具合ですね。
ただこれ、うまくいっている時はいいのですが、自分がオンリーワンはおろかナンバーワンにもなれないとわかったときには、呪詛の言葉となって我が身に降りかかってきてしまうのです。そしてキツいのは、ほとんどの人は、ナンバーワンはもちろん、オンリーワンで居続けることはできないということです。
うまく戦場を区切ってオンリーワンになれたとしても、そこに価値やニーズがあるとわかれば新規参入が起こってオンリーワンではくなりますし、その戦場が魅力的であればあるほど新参の人数もレベルも高くなり、自分の影は薄れていきます。そのときに自分の存在自体に価値があると考えている人は、足元が大きくぐらつくのを感じるはずです。
そして、さらに良くないことに、この足元の揺らぎは自分をもっと磨かなきゃ、みたいな清く正しいモチベーションではなく、嫉妬や不満のような黒い感情と結びつくものです。なにしろ、自分の存在価値を上げることは一朝一夕にはできませんから。

存在価値のことは忘れて提供価値に着目しよう

このような黒い感情から距離を置くためにどうすればよいでしょうか。
まず、人のことを気にしない、と言うことは挙げられると思います。ただこれはほとんどの場合は机上の空論でしかないんですよね。人のことを気にしない性格は確かに素晴らしいのですが、そういう人はそもそも人と自分を比較しないので、「ナンバーワン」とか「オンリーワン」みたいな基準に囚われていないはずだからです。
では、人と比較してしまう我々凡人はどうすれば良いかという話ですが、これは自分が今提供している価値に着目するしかないんじゃないかな、と思っています。
世界にどんなにすごい人がたくさんいたとしても、今、この場でこの取り組みをしているのはあなたであって、どこかにいるすごい人ではありませんし、隣に座っている自分より仕事ができる同僚でもありません。なので、現時点で自分が取り組んでいる仕事においては、外野にいるすごい人たちの存在は完全に無価値なわけです。
もちろん、すごい人があなたの業務にアサインされて、あなたが外されるということも起こりうるでしょう。しかし、そのような場合にも、新たにあなたがアサインされた仕事で価値を出すことに注力すればいいのです。あなたの代わりにアサインされたすごい人は、その人がどんなにすごかろうと、新しいあなたの仕事を担当することはできないのですから。

存在価値はいつのまにか上がるもの

ここまでしつこく「あなた自身の価値にこだわるな」と言っておいてなんなのですが、実際に存在価値というものは大切です。
昇進する時に見られるのは、建前はどうであれ「あなたがどういう人であるか」が主であり、転職の際にも同様です。
ただ、自分の上位互換のようなすごい人を見つめて、どうにもならないモヤモヤを抱えてうなだれていたり、嫉妬の炎を燃やすだけではあなたの存在価値は上がりませんが、日々の仕事で価値を提供し続けている人の存在価値は間違いなく上がっていきます。逆にいえば、あなたの前にいるすごい人は、日々あなたより大きな価値を提供していたからこそ、今、すごい人としてあなたの前にいるわけです。

残念ながら、僕を含む多くの人は、ナンバーワンはもちろん、オンリーワンになることもできないでしょう。でも、そんなこと別にいいじゃない。彼らは彼ら、僕は僕。素直に尊敬しつつ、自分の持ち場でがんばっていきましょう。
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今日の1人AC用のエントリーとしてマネージメント系のやつを一本予約投稿していたのですが、それを一日繰り延べてHuubleさんが主催してくださった法務の交流会について思いつくままに感想を書くことにしました。

外に出て、人と話さないと得られないものはやっぱりある

ここしばらくずっと夜の予定は入れないようにしていたので、他社の法務の方とお話しする機会もかなり限られていたのですが、やっぱり人と直接会って話さないと得られないものがあるな、ということを実感しました。
他方で、これはもっぱら僕のキャパの問題なのですが、一回でしっかり話せるのは2〜3人くらいまでだな、ということも再確認しました。
その意味で、立食パーティーとかでいろんな方と次々とコミュニケーションを重ねられる人はすごいですよね。あれは特殊能力の一種だと思う。

年齢は何の目安にもならない

昔から年齢はほとんど気にしていなかったけれど、自分が中年になり、若くて尊敬できる人とたくさん出会う機会を得たことで、ますますそう感じるようになった。
自分が若手だった頃は、すごい人はみんな歳上だったのだけれど、それは年齢を重ねたからというのが理由ではなくて、単なる年齢構成の問題であって、要は自分より年下の人数が単に少なかったというだけのことだったのこもしれない。もちろん経験による円熟という要素は間違いなくあるのだけれど、それはそれとして、すごい人は、若い頃からちゃんとすごかったのだ。

BLJは偉大だった

法務の交流会といえば、という文脈でBLJの話を複数の方から聞いて、やはりあの雑誌は、法務担当者にとって特別なものだったのだろうな、ということを実感した。
初めてお会いしたのはBLJの読者交流会でしたね、という話が通じなくなる日も近いのだと思うと、少し寂しく感じるとともに、今回のような新しい取り組みがその代わりになっていくのだろうな、とも思った。

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今年は思いつきでAdventCalendarを一人でやってみようと思ったのですが、どうなるんでしょうか。
まだ先だと思っていた12月が、いつの間にか1時間後に迫っています。
がんばれ、自分!

---書いたらこの下にリンクを貼っていくつもり---
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昨日、法務部スベースという名前で世古さんとやっているpodcastで気づいて大興奮したのですが(大興奮している様はこちらからどうぞ)、アレオレには2種類あるみたいなんですよ。みなさん、ご存知でした?

1つ目は、あれ俺詐欺のそれで、もはや説明不要だと思いますが、要は手柄の横取りってやつですね。で、今回存在に気づいたのはもう一つのアレオレで、それは「あれやったの俺たちなんだよね」の略です。

左利きのエレン(ジャンプ+で読める&Netflixにドラマ化された作品があります)の登場人物に「流川俊」がいます。彼はコピーライターを志望していましたが願いは叶わず広告代理店で営業を担当しています。
天才アートディレクターの神谷は、制作したCMがカンヌで受賞したことを、担当営業だった流川に電話で知らせて、それを聞いた流川は「おめでとうございます!」と喜ぶのですが、これを受けた神谷の一言が痺れるのです。
おめでとうじゃねえよ。やったな、って言え
〜Netflix版第4話より

神谷さんは、「このプロジェクトは、俺たちの仕事だ」と言っているんですよね。
これを受けて流川は、自分の仕事に強い誇りを持てるようになります(その直後にどん底に突き落とされるわけですが、まぁそれはそれとして)

こんな具合に、あれは俺たちがやった仕事だと、自分事として語れる人が多いプロジェクトは良いプロジェクトだと思うし、そういう人を作れるかは、マネージャーの腕にかかっているんですよね。
神谷さんのような一言を、伝えるべきタイミングで伝えるべき人に伝えられる、そして、アレオレな人をたくさん生み出す、そんな人に自分もなりたいな、と強く思ったのでした。
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多数の事業会社を抱えるホールディングスとして協働する仕組みを作るのはむずかしいが、個々のメンバーは戦闘力が高いので普通に回すだけなら問題ない、というチームを半年くらい受け持っていたときの振り返り。うまくやれたとは到底言えないけど、多くの学びがあったとは思う。
今見ているチームとは性質が真逆なので、その意味でも気づけたことが多かった。


振り返りの読み返しでこれを見つけたときは、「え、Audibleって再開したの今年だったんだっけ?」と本気で驚いた。そのくらいAudibleは日常に入りこんでいる感覚。
聴き放題サービスとはいえ、話題の本は結構な確率で収録されているので、ランニングする習慣のある方にはAudibleを強くお勧めします。


これ、今はかなり明確になっていて、それは「小規模法務チームのオペレーションのベストプラクティス(守破離の守)を作る」というものです。昔から興味・感心を持っていたことだけれど、言語化したときにあぁ、自分がやりたかったのはこれだったのか、と納得できたのが不思議な感覚だった。
まぁ、数年したらまた別の何かを見つけているのかもしれないけれど。


今はこのときとちょっと考え方が変わっていて、少人数チームでタスク確認ミーティングが機能しない場合、チームとしての機能が破綻している可能性があると思っている。他の人が何をやっているか、どういう状況かに興味がないというのは、結構やばいよね、という意味で。


法務未経験のメンバーの立ち上げを強く意識した1年だったので、こういう系の投稿も多かった。
読み返したときにはすでに記憶から抜け落ちているので、(自分が書いたことだから当たり前だけど)そうだよね、なんて感じで同意しちゃってなんだかおもしろかった。


おぅ、結構良いこと言ってるじゃない、と自画自賛した。惜しむらくは、これも記憶からきれいに抜け落ちていたということ。なんとかならんのか、この揮発性の高さ。


今年始めたことの一つにSpacesはあるなー。
一人喋りもやってみたけど満足感はほとんど得られず、自分は語りたいのではなく、誰かと対話をしたかったのだということを自覚した。
2023年も対話を楽しんでいこうと思います!


2022年夏に大きな山を超えたこともあり、業務外活動を再開できたのも今年の大きなトピック。仕事100%になると充実感は得られるけど、どんどんすり減っていくんだよね。
この「数週間前に聞いた」というのも互助会の突発イベントで、忙しがっていたら触れることができなかったものなので、ゆとりは重要だよねということを実感しています。


その閉塞感はキャリアの行き詰まりからくるものではなく、自分の能力の伸びの停滞からくるものでは、という指摘は、残酷だけど向き合う必要があるものだよね。
たった4ヶ月前のことなのにこれも忘れてたw


名言オブジイヤー2022はこちらでした。

といったところで、2022年は大変お世話になりました。
2023年も引き続きよろしくお願いいたします!


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Audibleとの最初の出会いは、チケット制(月に1冊相当のチケットをもらえる月額制)だったころ、英語学習用に洋書を流し聞きするために登録したことだったんだけど、このときは通勤時間を聞く時間に充てていたのでいまいち集中できず、コスパの悪さも相まって半年くらいで退会してしまった。
その後、聴き放題になったことをきっかけに再開してみたところ、これがランニングのお供として最適だということに気づいた。

良いと思ったポイントはいつくかあって、まずひとつ目はAppleWatchだけで聴けること。ランニングにiPhone本体はもって行きたくないので、AppleWatchアプリがあって、AppleWatchだけでさくっと聴けるのはすごく楽。事前に同期しておかなければならないのは手間ではあるものの、1冊聞き終えるのに数日はかかるので、同期するのは1ヶ月に1回も無いくらいで済むからあまり気にならない。数ヶ月前からAppleWathcアプリのバージョンアップに伴って倍速再生ができなくなり、使い物にならなくなっていたんだけど(1.7倍くらいで聞かないと読み上げが遅すぎるのです)、最近解消された。

次に、ラインナップがかなり充実していること。
Audibleのサイトを見ると分かる通り、話題になったビジネス書がかなりの確立で収録されているし、僕はあまり聞かないんだけど小説も話題作は結構はいっている感触。
あと、ビジネス書は今読む必要性があるわけではないので積みがちなジャンルだと思うんだけど、ランニング起点で読み進められるので、積まずに済むというのも良いポイントだと思う。

そして、ランニングと聞く読書の相性が抜群に良いこと。通勤時間はつい携帯を見たり、仕事のことを考えたりしてしまって意識が別のところに行きがちだけど、ランニング中は外からの刺激が少ないので本から意識が逸れにくいし、ある程度まとまった時間同じ行為を続けるので細切れになりにくい。CMではランニング以外に家事をしながら聞いているシーンも使われているけど、ランニングのような同じ単純作業を長時間するわけではないので、集中するのは結構難しいんじゃないだろうか。

こんな感じで今年いろいろな本を聞いたんだけど、中でも良かったものをいくつかご紹介します。

三体シリーズ
いわずと知れた三体三部作に加えて、公認されたファンブック?の三体Xも聴き放題。めちゃくちゃ長いので、本だと相当気合を入れないと読み始める気になれないんじゃないかと思う。
これを三体を聞いていた期間は、地球外生命体が存在することが当然の事実として自分の中で認識されていたし、今でもそういう感覚はそこそこ残っている。本格SFを読んだことがなかったので、インパクトがより大きかったのかも知れないけど、読了後の感想は「すごいものを読んでしまった」。

起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男
経営者の軌跡を追った本は好きなジャンルの一つなんだけど、そういう好みの問題を超えて抜群におもしろかった。リクルートがつまづきながらも成功して大きくなるサクセスストーリーだけでなく、その後の孤立やリクルート事件を巡る駆け引きも生々しく描かれていて、ドラマがあった。

アナロジー思考
伝わりにくい例え話をすることに定評のある私ですが、例え話が好きな理由を自覚できたのはこちらの本を聞いたから。
事象の抽象化と共通点の抽出を通じて、全然関係なさそうな2つの物事に強い共通性があることを発見したときの快感を共有したいってことなんだけど、なかなかわかってもらえずに悲しい思いをしているので、みんなもこれを聞いて伝わりにくい例え話を好きになってほしい。

ストーリーとしての競争戦略
戦略の競争力を、因果関係の太さと長さで説明してくれる。
↑のアナロジー思考とも通じるなるほどね、感があった。

ランニングしていてAppleWatchもってる方には、Audibleおすすめです!

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1ヶ月前、facebookで衝撃的な投稿を見かけた。
GMOインターネットグループ監査等委員取締役の橘さんが逝去されたとの、奥様による代理投稿。
追って、GMOから、プレスリリースも出された。

僕は、橘さんとそれほど親しくお付き合いをさせていただいていたわけではない。にもかかわらず、一方的に頼れる兄貴分のような信頼感を抱いていた。
飄々としていて、真面目な顔でおもしろいことを言い、教えを請えば快く応じてくださる方だった。
一度、職務発明制度を作るためにお話をお伺いした後、ランチをご一緒させていただいたことがあった。貴重なお話をお伺いさせていただいたこともあるし、そもそもこちらからお声掛けしてお時間を頂いたので、せめてランチ代くらいは持たせてくださいとお伝えしたら、おどけた調子で「こういうものはおとなしく払わせておけ」と訳のわからないことをいわれて結局ごちそうになってしまった。
LTのイベントをやるから何か喋ってくださいとお願いしたら、二つ返事で引き受けてくださり、抜群におもしろいLTをしてくださった。

GMOの開示には、同種の開示では見かけたことのない一言が添えられている。
人間味溢れる優しいお人柄は、共に働く仲間たちの心のよりどころとして前進する力を与えてくれました
という一文が、それだ。

繰り返しになるけど、僕は橘さんとそれほど親しくお付き合いをさせていただいていたわけではない。でも、このIRをみて、僕も、橘さんのような人になりたいって衝動的に思ったんですよ。ほんとうに。衝動的に。

橘さん、ありがとうございました。
あなたは、おもしろくて、かっこよくて、頼れる兄貴でした。
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2019年の3月に思いつきで始めた法務互助会(立ち上げ当時はIT法務互助会)ですが、早いものでそろそろ満2年になります。

おかげさまで、個別のお声掛けを除けば積極的な勧誘等を行っていないにもかかわらず、安定的に加入のご希望もいただいている状況です。(業務が忙しくなると承認が遅くなり、しばらくおまたせしてしまうこともあります。すみません)
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※初月は特異値(110人)なので除外しています

また、所属人数が増えているというだけでなく、アクティブユーザーの数も順調に延びており、マンネリ化することもなく、日々活発に相談や知見共有、求人の募集や紹介などが行われています。
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先日、ファンをはぐくみ事業を成長させる 「コミュニティ」づくりの教科書という本を読んだことをきっかけに、法務互助会をコミュニティとして捉え直したところ、いくつか気づいたことがあったので、メモ代わりにエントリーに残してみようと思います。

コミュニティにおいては、「受動的な参加者」は構成員ではない


コミュニティづくりの教科書では、コミュニティを
・参加者が目的意識を持って能動的に活動に関わっており、
・参加者同士が対等にコミュニケーションできる
という特徴を持った人の集まりである、と定義しています(kindle位置No.183)

この定義に従うと、能動的に活動に関わっていない方を参加者として許容する団体は、コミュニティではない、ということになります。

法務互助会でも定期的に前回の退会判定時から一度もポストがなかった方のアカウントを停止する処理を行っていましたが、その理由はシンプルに「投稿促進」を目的としていました。ですが、このような処理は、「ある団体が能動的に活動に関わっていない方を参加者として扱ってしまうと、その団体はコミュニティではなくなってしまうという」という意味で、より本質的な問題だったのだなぁ、と、同書を読んで気づきました。
もちろん、後述するように能動的な関わりには「投稿」以外も含まれるので、「関わり」を正しく評価しきれていないという問題は残るものの、コミュニティの目的に照らすと「参加し続けるためには投稿しなければならない」というルールは最適だったように感じます(ちなみに、僕の記憶が正しければ、このルールは法務互助会の共同運営者である橋詰さんが発案されたものだったと思います)

と聞くと、めんどくさいな、とか、煩わしいな、と感じる方も少なくないのではないかと思います。
そして、お金を払ってサービスを受ける通常の取引と比べると、コミュニティに「参加」するということは、実際めんどくさくて、煩わしいことは間違いなと思うのです。(地方出身の方は、地元のコミュニティへの「参加」を思い出していただければ、その煩わしさをご理解いただけるのではないかと思います。)
そう考えると、人が関与できるコミュニティの数は、キャパシティによる差こそあれ、一定の上限があるはずで、だとすると、今後コミュニティが増えていった場合は、「参加者」をコミュニティが奪い合いうという現象が起こるのかもしれません。

人の集まりは、一定のコミュニティ的要素を含んでいる


コミュニティ運営に関与して気づいたことの一つに、あらゆる組織の中心は程度の差こそあれ、コミュニティ的な色合いを持っているということがあります。
例えば法務担当者の団体として最も大きい経営法友会は、通常の参加企業は単なるお客様でしかありませんが、その運営メンバーは(僕の勝手な想像ですが)能動的に企画等の活動に関わり、対等にコミュニケーションを交わしているのではないかと思うのです。
また、企業の中の特定の組織やプロジェクト、そして会議体も、そのようなコミュニティの性質を持つことがあります。さらにいえば、コミュニティの性質、つまりメンバーによる組織への能動的な関わりを獲得したチームは、とても強いのではないかと思うのです。

こういった視点を持てたのもコミュニティの運営に関わった副次的な効果だと思うので、良い経験だったな、と感じています。

コミュニティへの関わり方の種類


コミュニティに能動的に関わるといっても、その関わり方は多種多様であるということも実感しています。
法務互助会での経験を基にざっくりと分類すると、以下のような感じになります。
  • オペレーター
    コミュニティの運営者。世話人。
    ポリシーを決めたり、(互助会では発生したことはないけど)揉め事が発生したら仲裁をしたり、入退会処理/ban/投稿削除処理などを行う役割。

  • コントリビューター
    コミュニティにネタ(コンテンツ)を提供してくれる方。
    知見や求人情報のような価値がわかりやすいコンテンツを載せるだけでなく、質問や、アンケートなどもコンテンツの一種なので、この役割に含む。

  • スプレッダー
    コミュニティの存在を広めてくれる方。
    広報的な広げ方だけでなく、互助会が役に立てそうな法務担当者の方に「こんなコミュニティがあるよ」と紹介してくれるのもこの役割。

  • サポーター
    上記3つの役割を支援してくれる方。
    イベントをする際にピザを取りに行ってくれたり、小さいところで言えばコントリビューターのコンテンツ投稿に対してリアクションemojiをつけたりする。

    このような役割を参加者が分担することで、コミュニティは生き続けることができると思うのです。
    もっと直接的に言えば、これらの役割のいずれも担わない方(語弊を恐れずに言えばフリーライダー)を許容しないことが、コミュニティを健全に存させるコツなのかもしれません。
    ただ同時に、参加者が「役割を担わなければ」と義務的に思うようであれば、そのコミュニティはすでに寿命が近いのだろうとも思います。
    フリーライダーを排除した結果、僅かな人しか残らないのであれば、そのコミュニティは役割を終えたものとして潔く閉じてしまったほうが良いのではないかと、今では考えています。


    最後に


    2つしか書いていないのに「最後に」もないだろうとは自分でも思いますが、とりあえず言語化できたのはこの2つというだけで、法務互助会を通じて気づいたこと、考えさせられたことは他にもたくさんあります。
    冒頭で記載したとおり、法務互助会の勢いはまだまだピークアウトしていないので、今後も積極的に関わることを通じて、コミュニティに関する知見を獲得したいと思っています。

    過去を振り返ると思いつきで新しいことを始めると、たいてい良い経験につながっているので、みなさんもなにかいいことを思いついたら色々考えずにとりあえずやっちゃうといいと思いますよ(いつもどおり無責任)

    (追記)
    大切なことを書き忘れてました。
    法務互助会に興味を持たれた方は、こちらからエントリー可能です。
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    色々書こうと思ったことはあったんだけど、言葉にするとうまくまとまらなかったので箇条書きで振り返る。

    ソーシャルゲームやってみた
    これまで忌避してきたソーシャルゲームを1万円程度課金し、それなりに時間を使って遊んでみたところ、組織運営という意味では会社の組織と共通するところが多いなということに気づいた。
    この点はちゃんとまとめてエントリーにしたいと思った。
    あと、課金という単語が本来の語義と真逆の意味で使われているのがおもしろいですね。

    プレイヤーとしての自分とマネージャーとしての自分
    非常に優秀なメンバーに恵まれて、法務業務については、ほぼ」レビュー」と「権限移譲していない事項に関する意思決定」と「進捗確認」以外は稼働が発生しない状態になった。
    この状態で存在意義を出すためには、マネージャーとして何らかの価値を発揮する必要があるということであり、それは言い方を変えれば「自分がいる組織と、自分がいない組織の差分」が、「自分の給与」とバランスしていないとならないということでもあり、これは中々しんどい。
    ただ、これに向き合わずにプレイヤー業務に手を出したらそれは行き止まりでしか無いので、ちゃんと勉強して、マネージャーとしての価値を発揮していかなければならないということを改めて自覚した。
    あと、マネージャーの仕事は、優秀なメンバーを採用することであるという意味がよくわかった。

    リモートワークがワークする人しない人
    半強制的にリモートワークでの業務遂行が必要になり、幸いにも業務フローはほぼクラウド/アプリ/ウェブサービスに寄せていたので何かを変える必要は生じなかったのですが、自分を律するのが思いの外難しかった。
    やるべきことをやるべきタイミングでやれる人はリモートワークに向いているし、そうでない人は向いていない。これは、サボるという意味だけでなく、働きすぎという意味でも。
    とはいえ、リモートワークは今後はある程度標準的な働き方になっている以上、自分を「リモートワークに向いている人」に寄せていかなければならないんだよな〜、と思った。

    人を動かせる人
    対面ではないコミュニケーションの機会が希少になったことにともない、コミュニケーションスキルの価値が高くなりました。
    コミュニケーションスキルというと、なんとなくしゃべる上手みたいな印象を抱いてしまうのでもっとブレイクダウンすると、人を動かす力、ですね。
    これからは、リモート環境下でも人に影響を与え、人を動かせる人の価値がどんどん高くなっていくと思います。(そして、その逆もまた真だと思います。残酷な話だけれど)

    と言ったところで時間切れ。

    2020年も各方面でたくさんの方にお世話になりました。
    2021年も引き続き、よろしくお願いします。

    契約書の締結日にうっかり2020年1月って書かないように、みんな気をつけましょうね〜
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